「前傾姿勢で正拳突き」金谷拓実が語る理想のスウィングイメージとは?
昨シーズン、最終戦で3位に入り、マスターズ出場を決めた金谷拓実。スウィング改造に取り組んでいるという金谷が意識しているポイントとは?
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/太平洋クラブ銀座
インパクトを長くしようと
無理にひざを流していた
昨年は欧州や米国で海外挑戦をするも、なかなか思うような結果が出せなかった金谷拓実。最終戦でマスターズの切符をつかんで意地を見せたが、その試合のあと金谷は一本の電話をもらっていた。電話の相手は大学の先輩、松山英樹だった。
「テレビ中継を見てくれていたみたいで、『終盤のほうとかドライバー以外は当てるだけになっていたね』と言われ、ドキッとしました。忙しい方なのに、よく見ているなぁと(笑)。本当、その指摘は図星で、自分でも何とか当てようとして左ひざも流れていたんですよね。実際、昨年はもう11月ぐらいから真っすぐ飛ばないからって、左ひざを送るようにしていたんです。左ひざを流してインパクトを長くしようとしていましたが、それだとなかなか安定しないですよね。本当はひざを流さずにインパクトを長くしたい。でもそれが終盤できなかったのは、スウィングの崩れというよりは、体力面での要因が大きかったんです」(金谷)
ひざが流れなければヘッドが自然に走る
松山に指摘を受けたように、調子が悪くなったり、体力が落ちてくると、金谷の左ひざは暴れ出す。「いかに左ひざを流さず飛距離を伸ばすか」が海外挑戦へ向けた喫緊の課題でもあった。
「やっぱりひざが流れないほうがヘッドが走りやすくなりますからね。ひざが流れるとクラブと体が平行に動いて、スピードはロスしてしまいます。回転のなかで自然とヘッドが走る状態になれば、初速がアップして飛距離につながってくると思うんです」と語る。
実際に金谷は、昨年からトレーナーさんと二人三脚でスウィングの改善に取り組んできたという。
「ひざを流さない意識といっても、そこだけで改善できるものではない。今はバックスウィングで右股関節をしっかりと入れてタメを作るように仕向けています。結果的に、切り返し以降で左のお尻なども使えてひざが流れなくなるようにという狙いです。実際に右股関節が入っていないなというときは、間がないまま切り返しがスタートするので、そうなるとひざを流してインパクトを合わせるしかないですからね。今は、バックスウィングでいかに股関節を入れるかを意識しながら、スウィングしていますよ」
具体的なトレーニング方法は、「企業秘密です!(笑)」とのことだが、体の動かし方、股関節の入れ方は、本人が詳しく解説してくれた。
スウィングイメージは
股関節を入れながら正拳突き
「前傾した状態で、空手の“正拳突き”のイメージですね。肩をタテに動かすように、バックスウィングで右肩を引いて、フォローで左肩を引く。右を引いているときに、合わせて股関節を入れる。その際に右サイドに体重を乗せようとか、無理に股関節を入れようとか特に考えないほうがよくて、前傾しながら右サイドを引いて、自然に右股関節が入った状態を作ります。股関節はあくまで体を上手く使うようにするきっかけなんです。切り返し以降は、右肩を下に、左肩を上に引く動きをして、バックスウィングの逆をやるだけ。上手く入れ替えができているときは、左の臀筋が使えて、結果的に左ひざも流れず、ヘッドも走ってくれるんですよ」
金谷が目指すのは「初速175マイル」(メートルに換算すると約78㎧。21年シーズンはマックスで170.6マイル)。あと5マイル伸ばすことができれば、「キャリー300ヤード」も見えてくる。金谷拓実の挑戦、期待を込めて見守っていこう。
右股関節が使えているときは、左のお尻も使えるようになる。「お尻を使おうと思って意識的に動かすのではなく、自然とお尻が使えている状態がベスト」(左)/右の股関節が入っていないと、トップも浅くなり、クラブも外から下りやすい。左ひざを流して無理やりインパクトゾーンを長くするが、「当てるだけ」に(右)
週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より
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