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【PGAツアーHOTLINE】Vol.19 マックス・ホーマ<前編>「遅咲きのボールストライカー」

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアー HOTLINE」。第19回は昨シーズン2勝を挙げたマックス・ホーマについて。

ARRANGE/Mika Kawano

Photo by Sean M. Haffey/Getty Images

ジャスティン・トーマスは雲の上の存在だった

マックス・ホーマはまだ日本ではあまり知られていませんが昨シーズンPGAツアーで2勝を挙げ世界ランク30位台につけるトッププロのひとりです。

タイガーがホストを務めるジェネシス招待では21年大会3日目に当時世界ランク1位のダスティン・ジョンソンとプレーし、格上を凌駕。タイガーが16歳ではじめてプロの試合に出た伝統のリビエラCCでトロフィを掲げたのです。


1990年生まれの31歳。カリフォルニア大バークレー校のゴルフ部出身。13年にプロデビューしているが、なかなか成績をあげることができなかった。19年にウェルズファーゴ選手権で初優勝、その後2勝を挙げている(PHOTO/Blue Sky Photos)

しかし今でこそアメリカでは知る人ぞ知る存在ではありますが、そこに至るまでのホーマのゴルフ人生は決して順風満帆ではありませんでした。

ツアーで活躍している選手の多くはアマチュア時代から群を抜いており、数々のタイトルを引っ提げプロ入りするのが王道です。でもホーマはジュニア時代の実績もなく、ようやく頭角を現したのは大学4年生になってから。

「皆と違ってエリートでもないし、ことゴルフに関しては自己評価が低いタイプでした。圧倒的に自信がなかったんです」と当時を振り返ります。

「ジュニアからカレッジまでジャスティン・トーマスを見てきましたからね。あのレベルに達するのは無理だと思いました。大学4年でやっと上位争いできるようになったけれど、トーマスのいる世界に自分が属しているとは到底思えなかった」と3つ年下のライバルを引き合いに出します。

自信のなさはそのまま成績に表れます。デビューからPGAツアー参戦132試合目までは予選落ちが半分以上の72回。それでも19年のウェルズファーゴ選手権で初優勝を挙げてブレーク。遅咲きながら21年は2勝と目覚ましい活躍を見せています。

果たして「ゴルフに自信がなかった」本人の現在の自己評価は?「自分を信じ始めています」とホーマ。彼の自信を支えているのが切れ味鋭いショット。近年のスタッツではティーショットからショートゲームに至るまですべての部門(飛距離以外)で上位に入っており、ティーからグリーンまで満遍なく精度の高いショットを繰り出しています。

ボールストライカーのホーマが意識しているのはいかにテークバックでクラブを正しい軌道に乗せるか。次回は彼が実践している、とっておきのプレーンドリルをご紹介しましょう。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月25日号より