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【PGAツアーHOTLINE】Vol.17 サム・バーンズ<前編>タイガーをも臆さない強心臓の25歳

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOT LINE」。第17回は、今季すでに1勝を挙げ、世界ランク13位につけるアメリカのサム・バーンズを取り上げる。

ARRANGE/Mika Kawano

Photo by Sam Greenwood/Getty Images

緊張をほぐすためにタイガーも“利用した”

サム・バーンズをご存じですか? 25歳にしてすでにPGAツアー2勝。今秋のサンダーソンファームズ選手権でも優勝し、目下フェデックスカップのポイントランクで2位につける若手の有望株です。

17年アマチュア時代に出場したPGAツアーのバルバソル選手権では21歳の誕生日と最終日が重なるなか、6位タイの好成績を収め、自らのバースデーを最高の形で祝福。

同年にプロ入りし、まだ下部ツアーを主戦場にしていた18年は、ホンダクラシックでタイガーと同組でラウンド。そのときのエピソードは今も語り草になっています。

ティーショットでタイガーをアウトドライブすると、レジェンドの肩に腕を回し「こんなに大勢のギャラリーが僕のために集まってくれたなんてヤバイよね?」とタイガーに話しかけたのです。

これは極度の緊張にさらされた21歳が無理やりそれを和らげるためとっさに取った行動。ツアーで生き残るための術を探った瞬間でもあリますが、それにしてもタイガーの前に出るだけで緊張する選手が多いなか、大した度胸です。


1996年生まれの25歳。ルイジアナ州立大ゴルフ部で、アマチュア時代から活躍。パワフルなスウィングが特徴で300ヤード以上飛ばすが、昨シーズンのストロークゲインドパッティングは全体の9位とオールラウンダーだ

伝説の人をアウトドライブしたバーンズの飛距離には定評があります。18年コーンフェリーツアーでマークした平均飛距離は320ヤード。PGAツアーに昇格してからゲームプランを変更し、やや飛距離は落としましたが、平均305ヤードで30位前後につけています。飛んで曲がらないドライバーの精度は彼にとって大きな武器。

しかしそれだけではありません。すでに世界ランクトップ20圏内に名を連ねるバーンズの卓越したパッティングセンスは、若かりし日に母が与えた環境の賜物。当時彼が夢中だったアメリカンフットボールをもう1年続ける代わり、母が裏庭に設えたパッティンググリーンで練習することが交換条件だったそうです。

2つのスポーツを天秤にかけていた頃、バーンズはカーター・トムズという少年と出会います。カーターくんの父親は01年の全米プロチャンピオン、デビッド・トムズ。粗削りだった彼のゴルフが劇的に変わったのはトムズのお陰。次回はバーンズがなぜ現在の栄光を勝ち取るに至ったのか、トムズのアドバイスの全貌をお話ししましょう。

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より

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