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PGAツアー年内最終戦を制したT・グーチ。「軍資金が底をついた」どん底からのサクセスストーリー

PGAツアー年内最後の試合「RSMクラシック」で、30歳のテーラー・グーチが初優勝を飾った。自らを“ジャーニーマン”と呼ぶ苦労人のこれまでのゴルフ人生とは?

ノーボギーの『64』で最終ラウンドを締めくくり、大会最少ストロークタイ記録となる22アンダーで勝ったグーチ。勝利者インタビューの席に着くと、「トロフィをかかげて記者会見に臨む、こういうシーンを何度も夢見てきました」と感無量。

オクラホマ州立大学ではR・ファウラーの2年後輩。プロ転向と同時にスターダムにのし上がった先輩とは違い、グーチの歩みは遅かった。9歳でキッズ世界ジュニア選手権で優勝し、「全米アマ」に何度も出場するなど、地元では知らない者はいないエリート。しかし14年にプロデビューしてからは、下部ツアーでも苦戦を強いられレギュラーツアーに定着するまで5年かかった。

「16年に3度目のQスクールに出場したことを思い出します。セカンドステージの3日目に、出だし4ホールで3オーバーと最悪の状況に立たされたのです。軍資金が底をついて稼がなければならないのに、これじゃらちがあかない。で、突然頭をよぎったのは『Best Buy(家電量販店)で働いて日銭を稼ごう』ということ。あのときのプレッシャーを思うと、初優勝のプレッシャーは大したことがなかった」とグーチ。

幸いセカンドステージはクリアしたが、もししていなかったら「グーチ」の名札を胸につけ家電量販店で働いていたかもしれない。

昨シーズンは2年連続3度目のプレーオフシリーズ進出を果たし、ポイントランクは68位。今季は6試合に出て優勝1回を含むトップ10入り3回で、現在フェデックスカップのポイントランク堂々の1位に浮上した。

「ツアー選手権に勝つのが究極の目標」というジャーニーマンの旅は続く。

今季の獲得賞金はすでに2億5000万円超え。最終戦のビッグボーナスも夢じゃない(Photo by Sam Greenwood/Getty Images)

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月14日号より