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【スウィング研究】中島啓太「理想的な下半身の使い方が再現性の高いインパクトを生む」

9月にパナソニックオープンを制したアマチュアの中島啓太。さらに11月のアジアパシフィックアマも制し、来年のマスターズ、全米、全英オープン出場を決めた。日本期待の星のスウィングを、プロコーチの江連忠が解説。

PHOTO/Tadashi Anezaki

中島啓太
なかじまけいた。2000年6月生まれ。埼玉県出身。178センチ。ゴルフは6歳から。2021年、日本アマ、パナソニックオープン、アジアパシフィックアマで優勝。アマ世界ランク1位

解説/江連忠
ETGA校長。米国でジム・マクリーンに師事、最先端のゴルフ理論と動作解析のノウハウを学ぶ。1993年プロ入会。1996年レッスン・オブ・ザ・イヤー。2000年片山晋呉、2001年伊澤利光、2007年上田桃子を賞金王、賞金女王に導く

コリンやJ・Tと比べても
引けをとらない完成度

中島くんは、物静かな反面、発言はとてもしっかりしている印象。感情を内に秘めて外に出さないが芯は強靭。スナイパーみたいですね(笑)。こういうタイプはゴルフに向いていますし長続きします。

アドレスはスクエアスタンスでグリップはウィーク。力みのない自然体の構えで隙がありません。球筋を無理に決めないニュートラルな構えもとてもいいです。始動からバックスウィングは静かでゆったり、力感なくクラブが自然に動いていきます。


トップも柔らかく、ねじれが強く若々しい。球筋を無理に作らないのでクラブフェースの向きもスクエアです。ダウンスウィングも同様に静かに腕がスッと下り始めます。右ひじが左ひじよりも低い位置を保っているのでアッパー軌道でインパクトできています。これが低スピンの大きなキャリーにつながっています。下半身はブレがなく安定、インパクト前後で左足裏がめくれても粘れているので、顔の向きと目線が変わりません。だから再現性が高い。フェースローテーションを使わず、体の回転で打っているのがわかります。フェース面の向きを変えず遠心力を使う飛ばし方で、ハンマー投げのようです。

スウィングの再現性は下半身がつくるもの。その下半身の使い方が理想的で、完成度高いですよ。このまま世界で戦えると思います。例えば、コリン・モリカワやジャスティン・トーマスのスウィングと比べても引けをとりません。経験値の違いだけです。

CHECK 1
シャットでもオープンでもない
ニュートラルなバックスウィング

下半身のリードでテークバック。上半身や腕に力みがないので柔らかく深いトップの体勢が生まれる。フェースの向きは45度上向きのニュートラルなポジション

CHECK 2
左足裏がめくれても下半身が粘れている

右ひじが低くヘッドも低い位置からアッパーに振り抜くドライバーのスウィング。両足の踏ん張りが強く、インパクトに向かって左足がピンと伸びても地面をつかみつづけるように粘る。これが安定した軌道を生む

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月14日号より

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