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稲見萌寧に報奨金1000万円「たくさんの人に喜んでもらえてよかったです」【東京五輪】

日本女子オープンの会場にて稲見萌寧の「東京五輪2020」報奨金授与式が行われた。

PHOTO/Tadashi Anezaki

同式には竹田恆正(日本ゴルフ協会会長)、永田圭司(オリンピック対策本部本部長)、倉本昌弘(オリンピック対策本部強化委員長)らが出席。日本ゴルフ協会と日本女子プロゴルフ協会から500万円ずつの報奨金が授与された。銀メダルを獲得した稲見は、「こういう機会に改めて表彰をしていただいてとても光栄です。自分がメダルを取ることでたくさんの人に喜んでもらえて、大変うれしく思います。私がメダルを取りたいと思った一番の理由は、オリンピックであればゴルフを知らない人にも見てもらえますし、これからプロを目指すジュニアたちに夢と希望を与えられると思ったからです。日本で開催されたオリンピックで代表になれたことは本当にうれしく思います。実はすごく出たい試合でした」

同式で花束を授与された日本選手団の女子コーチ服部道子は、「稲見選手はどんな人とラウンドしてもマイペースでプレーできますから安心して見ていられました。男子のいい流れのまま女子で形にできたことがよかったです。稲見選手が大舞台での強さを見せてくれました」

今年のオーガスタナショナル女子アマで、日本人として初優勝した梶谷翼が日本ゴルフ協会から特別表彰された。日本女子オープンもこの実績が考慮され、出場権が特別に与えられ、見事予選を突破した

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月19日号より

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  • PHOTO/Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki、KJR 東京五輪の銀メダルに続き、先日のニトリレディスで優勝するなど、勢いが衰えない稲見萌寧。そんな稲見の強さの秘密は、小さい頃から腕を磨いてきたショートコースにあった。 稲見萌寧 1999年7月29日生まれ、東京都豊島区出身。都築電気所属。日本ウェルネススポーツ大学在学中。18年プロテストに合格し、19年のセンチュリー21レディスでツアー初優勝。ツアー通算8勝 「砲台グリーンも薄芝もぜんぜん怖くないんです」 東京五輪で銀メダルを獲得した稲見萌寧が、先日開催された女子ツアー「ニトリレディス」で逆転優勝、今季7勝目を飾った。ツアー開幕前にインタビューしたとき、稲見はこう語っていた。「北谷津(ショートコース)で育ったので、ペタペタの薄い芝とか、小さいグリーンや砲台グリーンなんかもぜんぜん怖くないんです。小学生のときからずっとショートコースで練習してきたので、アイアンは得意ですね」1999年生まれの22歳。東京・池袋で生まれた稲見は、10歳でゴルフを始めた。「父と一緒にゴルフを始めたのですが、最初から空振りとかなくて、ボールに当たるし、ちゃんと真っすぐ飛んでいたんです。それで1カ月後にはプロを目指そうと決めていました」東京ではゴルフ環境がよくなかったため、小学6年生のとき、父親と2人で千葉に引っ越した。そして練習場として選んだのがショートコースのある「北谷津ゴルフガーデン」だった。いち早くジュニア育成に取り組み始めていた北谷津ゴルフガーデンは、小学生だった稲見にとっても最高の環境。学校から帰宅すると、15時すぎには北谷津に来てショートコースをグルグル回るのが日課だったという。5月以来の優勝となったニトリレディスは、女子ツアーでもトップクラスの難度を誇る小樽CC(北海道)が舞台。そんな難コースで稲見はパーオン率89%(4日間平均)を達成。しかも最終日は、18ホール中17ホールでパーオンに成功。そんな彼女のアイアンの上手さは、ショートコースで培ったものなのだ。ショートコースでは物足りない、上達するには本コースでラウンドしたほうがいい、と思うアマチュアも多いかもしれない。だが、グリーンを狙うショットはアイアンかウェッジというケースが大半。上達のためには、ショートコースを活用するのが実は近道なのかも? ショートコースで培った稲見萌寧3つの強さ 1. 卓越した距離感 北谷津のショートコースは18ホールあり、最長127Y、最短55Y。100Y以内の距離感が磨かれたのは言うまでもない。稲見の「絶対距離感」はショートコースでの練習の賜物なのだ 2. アプローチのバリエーション ショートコースはグリーンが小さく、砲台タイプも多い。そのためグリーンを外すと難しいアプローチが残る。左足上がりやつま先下がりなど、アプローチの引き出しの多さも稲見の強さのひとつだ 3. ライへの対応力 1年中、北谷津のショートコースを回っていた稲見は「ほぼ土みたいなベアグランドもぜんぜん気にせず打てます」と語る。さまざまなライで打っている経験こそが、ライへの対応で生かされる 北谷津GCの所属プロに聞いた スコアメイクのカギはすべてショートコースに詰まっている! 解説/篠崎紀夫 北谷津ゴルフガーデン所属。ショートコースで腕を磨き、4年でプロテストに合格。07年ANAオープンで初優勝。19年からシニアツアーに参戦し、ツアー2勝を挙げている 研修生として北谷津ゴルフガーデンに入社した篠崎紀夫プロは、ショートコースで腕を磨き、4年でプロテストに合格している。そんな篠崎プロに「ショートコースで本当に上手くなれるの?」と聞いてみた。「間違いなく上手くなりますよ。ショートコースは、ほぼフルショットができません。中途半端な距離でグリーンを狙いますから、必然的にコントロールショットが身につきます。それに思った以上にグリーンが小さいです。西コースのグリーンは2グリーンなので、本コースの1/4程度の大きさしかありません。ほとんどのゴルファーはワンオンできないはずです。そうなるとアプローチで寄せることになりますが、砲台グリーンやピンが近いなど、難しいアプローチが求められます。そのため、寄せの技も自然と磨かれます。傾斜の手前でワンクッションさせたり、フワッと高く上げたりなど、アプローチのバリエーションは確実に増えると思います。 それに天然芝で打てるのは大きいでしょう。練習場のマットではミスがわかりづらいですが、芝で打てば、結果はすぐわかります。芝で打つことで、ラウンドに必要な実戦力も上がっていきます」スコアメイクに不可欠な距離感、ショット力、アプローチのバリエーション、そしてコースマネジメントなど、ショートコースならすべてが学べるのだ。もうひとつ大きなメリットがある、と篠崎プロは教えてくれた。「北谷津は最長でも127Yですから、ほとんどのホールでウェッジを使用することになります。ウェッジはバッグのなかでいちばん重いクラブです。その重いクラブでコントロールショットができれば、軽いクラブの扱い方がよくなるんです。重いクラブでゆっくり振ったり、振り幅を調整したり、カットに打ったり、低く打ち出したりといった技術をマスターすれば、それより軽いクラブ(アイアンやウッド)の操作は簡単です」練習場で球を打つより、天然芝からピンを狙うほうが実戦力は身につくし、技術レベルも飛躍的に上がる。ショートコースを侮ってはいけないのだ。 距離感やアプローチが自然に身につく 【上手くなる理由1】中途半端な距離ばかり 北谷津のショートコースはすべてパー3。その距離も56Y、93Y、74Y、69Y、107Yなど、中途半端な距離ばかり。どのくらいの振り幅や力感で打てばグリーンに乗るのか? その感覚がゴルファーの距離感を作ってくれる 【上手くなる理由2】重いウェッジを多用する コントロールショットが苦手な人は、クラブをゆっくり振れない、振り幅を調整できないことが原因。クラブのなかで最も重いウェッジのコントロールができれば、他のクラブの扱い方も必然的に上手くなる 【上手くなる理由3】アプローチの機会が多い ショートコースは基本的にグリーンが小さい。「北谷津はグリーンが硬く締まっているのでボールが止められず、外すことのほうが多いはずです。だから自然とアプローチのバリエーションが増えるんです」(篠崎) 【上手くなる理由4】実戦力が上がる 本コースと同じ芝から打てるのは、技術的にもマネジメント的にもいいことばかり。ラウンドの実戦力はコースでしか身につかない、と篠崎プロは断言する 「横尾要や池田勇太、市原弘大もみんな北谷津で育ったんです」(土屋社長) 続いて北谷津ゴルフガーデンの土屋大陸社長に話を聞いた。「ウチのショートコースで育ったのは(稲見)萌寧だけではありません。横尾要、池田勇太、市原弘大、木下裕太、葭葉ルミなど、25人くらいのプロが巣立っていきました。私の自慢はオリンピアン(池田と稲見)が2人生まれたことですね。たくさんのジュニアが育ってくれたのは、千葉晃プロ(故人)の尽力なくして語れません。30年近く前からジュニア育成に取り組んでいた千葉プロによって指導体制や競技会などが整備され、プロを目指す子どもたちが集まってくれるようになりました。その意味では、萌寧は最後の世代に近いかもしれません。最近はゴルフ部が増えるなど、ジュニアの環境も変わりましたから。いま思うと歴代のプロのなかでもコースを回った回数、レンジで球を打った数は、ダントツで萌寧が多いです。ジュニアのときは営業終了まで必ず練習していましたし、本当に“練習の虫”でしたね」ツアーの合間に練習で訪れる稲見は、今も変わらず練習の虫だ。 220Y・80打席のドライビングレンジ稲見のお気に入りは西コース(左)2階建てのドライビングレンジが、ショートコースに併設されている。コースを回って球を打つのもよし、球を打ってからラウンドするもよし。平日午前は3時間の打ち放題も実施中。(右)西コースはグリーンが小さく、プロでも乗せるのが難しいという。北谷津メンバー制度があり、正会員(入会金3.3万円、年会費1.65万円)になるとメンバー料金でお得にプレーできる 北谷津育ちのプロたちコース入り口には歩測できる看板(右)ドライビングレンジの壁にはジュニア時代のプロの写真がたくさん貼られている。横尾要、池田勇太、市原弘大、木下裕太、中里光之介、丸山大輔、葭葉ルミ、稲見萌寧、西郷真央、吉田優利などが育っている。(左)ショートコース側の入り口の道路には、10Y刻みで看板が設置されている。歩測することで距離感をつかむのが狙いだ。ジュニア育成のためのもので、子どもたちも楽しく訓練できる >>関東近郊オススメのショートコースはこちら 週刊ゴルフダイジェスト2021年9月21日号より こちらもチェック!
  • PHOTO/Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、KJR 技術の高さに加え、プレーオフ無敗と勝負強さも併せ持つ稲見萌寧。そんな稲見の強さの秘密を周辺取材から探ってみた。 いなみ・もね。1999年生まれ、東京都出身●2009年9歳でゴルフを始める●2015年中京テレビブリヂストンレディスでアマチュアとして10位タイに入る●2018年プロテスト一発合格QTで失敗。その直後奥嶋誠昭コーチに師事●2019年センチュリー21レディスで初優勝●2020年スタンレーレディスでプレーオフを制し2勝目●2021年前半戦で5勝を挙げ東京五輪日本代表に。五輪で銀メダルを獲得 メンタルの強さは練習のたまもの 1年前に東京五輪が開催されていたら、出場権すらなかった稲見萌寧。今年5勝という結果を残し出場した東京五輪では見事、日本人初のメダリストに輝いた。そのすごさについて、稲見が11年前から通う練習場、北谷津ゴルフガーデンの土屋社長に話を聞いた。「彼女の強さは、“満足”という言葉がないことだと思います。たとえ優勝したとしても次の日は朝から北谷津に来てとことん練習。そんなに練習するの? と、こちらが思うくらいです。でもあの練習量があるからこそ、どんな場面でもいつも通りのプレーができるんだと思います。銀メダルを取った日だって記者会見やらなんやらで、帰ったのは夜中と言っていたのに、翌朝には北谷津で練習していましたからね(笑)」 北谷津ゴルフガーデン・土屋社長の証言「彼女の辞書に満足という言葉はない」 「優勝した日も“ 満足” をせずに練習するひたむきさがメンタルの強さの秘密。銀メダルを取った次の日でさえ練習に来ていました」 奥嶋コーチの証言「どんなときでも普段通りにできる」 「どんな試合でも自分のやるべきことがわかっていて変わらないのがスゴイ。オリンピックの舞台でもいつもとまったく変わりませんでした」 トーナメントカメラマンO氏の証言「ショットに入る瞬間の集中力」 「笑顔が印象的な彼女ですが、ショットに入る瞬間の集中力は他の選手とは少し違う。レンズ越しにスイッチが入る瞬間がわかる選手」 唯一の課題は飛距離 「本人も話していますが、飛距離に関してはもう少しほしいですね。飛ぶほうが有利であることは間違いないです。飛んで曲がらない選手になってほしい」(奥嶋コーチ) 月刊ゴルフダイジェスト2021年10月号より
  • PHOTO/Takanori Miki THANKS/樫山ゴルフランド 先日のオーガスタ女子アマで、日本人として初の優勝を果たした梶谷翼。世界一に輝いた彼女のコーチを務めるのは、渋野日向子をメジャー優勝に導いた青木翔コーチだ。まさに“世界一請負人”ともいえる青木コーチが、梶谷のスウィングを解説。 左尻の引きが強い捻転を生む 連続写真を見てまず目がいくのは、大きく深いトップではないでしょうか。いわゆるオーバースウィングですが、翼は現状この形でスムーズに振り切れているので、小さくするなどの修正は必要ないと考えています。トップの形はどうであれ、リズムよく振り切れていることが大切なので、今はこれがベストです。この深いトップからクラブを高速で引き下ろしてくるうえでポイントになるのが左のお尻。下の写真のハーフウェイダウンでは、左のお尻が起点となって積極的に左サイドに体重移動が行われています。このとき、胸の正面はまだボールの右側を指していて開いていません。バックルは目標側、胸はまだ正面より右。この上下の捻転差が飛距離を生み出しています。強いて言えば、もう少し左足を踏み込んで重心が移ると、もっと良くなると思っていますし、いま取り組んでいます。 左のお尻を力強く引くことで上下の強い捻転が作られる 皆さんのお手本にもなるのがテークバックです。下の写真では、まだ手元が腰の高さですが、腹筋を使いしっかりと体を回してクラブを上げていることがわかります。腕、肩が同調して動いているので、テークバックの再現性が高くなり、かつ手打ちになりにくいのでミスが減ります。 腹筋を使って引き上げる。腕と肩が同調して動いている 翼は腹筋を使ってクラブをコントロールするために、ウェッジで左手の片手打ち練習をよくしています。頭が浮き上がらないように押さえながら打つ練習もかなり地味ではありますが、こうした積み重ねが、大舞台でもブレない安定したスウィングを作り出しているのです。 梶谷翼の1Wスウィング<正面> 梶谷翼の1Wスウィング<後方> 週刊ゴルフダイジェスト2021年4月27日号より