Myゴルフダイジェスト

【わかったなんて言えません】Vol.48 史上初の「5人プレーオフ」勝敗を分けたもの

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんで言えません」。今週のゲストは、先週に引き続き同じ学年の仲良しでもある浅地洋佑。2人を含めた5人でのプレーオフとなった19年ANAオープン、勝負を分けた2人の頭の中を振り返ってもらった。

前回のお話はこちら

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん

ご指名/浅地洋佑

東京生まれ。ツアー2勝。ジュニア時代から注目され11年プロ入り。調子を崩す時期があるも復活し、19年ツアー初優勝

時松 男子ツアー、少し前までは先輩ばかりで、僕たち若手のつもりでいたよね。それがクラブハウスで「おはようございます!」って丁寧に誰かが挨拶していて、振り向くと若い選手が僕に挨拶していたりして(笑)。

浅地 うん、でも気軽に「おはよう!」なんて返せなくない? だって、その人が年下かどうかわからないじゃん。

時松 そう、僕が知らないだけで、実は何歳も年上かもしれない! 僕たちの年代って、先輩も後輩も多いから、一緒にラウンドして33ホールぐらいまわってから「歳、おいくつですか?」って確かめるまで、「おはようございます」か「おはよう」でいいのか、わからん!(笑)。

浅地 とりあえず知らない選手にはすべて、「おはようございます」で間違いなし!

時松 それにしても、新顔がツアーで頑張っているよね。昨年のVISA太平洋マスターズで初優勝の香妻(陣一朗)は九州出身やからよう知っとるけど、ツアー選手権で2位の古川(雄大)プロは、それこそ年上か年下かもわからん落ち着きようで(笑)。

浅地 僕たちより4歳も年下だって! だから年下に刺激を受けて、僕たちも頑張らないとね。とくに僕はまだ男子ツアーの平社員だからいいけど、源ちゃんは選手会長で役職があるんだから。

時松 若いなんて、もう思っていられないね!

浅地
 ところで源ちゃん、いつ結婚するの? って、あちこちから聞かれるでしょ。

時松 
自分が早く結婚したいっていうよりも、両親を安心させたいなというのはあるよね。洋佑は結婚して、ゴルフ変わった?

浅地 いままでよりちょっと頑張るようになった(笑)。試合に行ったら手ぶらで帰らないようにしないと。

時松 そういえば、ホテルの部屋に炊飯器を持ち込んで自炊しているもんね。金銭感覚も、しっかりしてる!

浅地 コロナ禍で外食も控えたいし、節約もできるしね。だけど、家族ができたからってゴルフも守りに入ってしまってはいけないかなとも思う。

時松 僕の場合、独身のいまでも、もっと攻めにいけばよかったと思う場面あるよね。たとえば、史上初の5人(ショーン・ノリス、スンス・ハン、嘉数光倫、そして浅地と時松)によるプレーオフで洋佑がツアー2勝目を挙げたANAオープンもそう。あの本戦の最終18番、奥から3メートルのバーディトライ、ボギーでプレーオフに残れなかったら嫌だという考えが脳裏によぎったんだよね。

浅地 あの源ちゃんのパット、バーディを決めれば源ちゃんが優勝だったからね。でも、下りのパットだったし、バーディを狙いにいったらかなりオーバーして、3パットしてボギーになって優勝争いから脱落、という結果もあり得たのも事実だね。

時松 そう、僕はバーディを狙えず、打ちすぎてのボギーを恐れてジャストタッチで合わせにいって、わずかに届かなかった。結果的にパーは取れてプレーオフには残れたんだけど、試合後に思ったのは、あそこでバーディを狙える攻めの気持ちがないと、優勝というのはモノにできないんだなと。僕はまだまだ甘いなって。

浅地 負けたという結果を知っているから、あそこはバーディ狙いで攻めるべきだったと思うんだよ。あの場面なら、僕でも攻められなかった。

時松 本戦で攻められなかったし、5人によるプレーオフでは攻めようと。5人もいたら、パーで勝てるはずない。誰かがバーディだろうからここは狙わないと、と。

浅地 いや、僕は逆に、第2打を打った順番が3番目で、ノリスも源ちゃんもバーディが取れそうにない位置につけたから、パーでも次のホールにいけるかなと。だから少し気を楽にして打ったら、寄ってくれてバーディ。

時松
 そう、みんな1打目からバーディを狙っていたからこそ、どこかでミスをして、結果的にミスをしなかった洋佑1人だけがバーディで優勝。

浅地 源ちゃんは輪厚が得意なだけに、攻める気持ちもあって当然だよね。だけど僕は、輪厚の18番って、なかなかバーディは出ないよな、っていう考えがあった。だから、誰かしらボギーを打って脱落するだろうし、パーでも残れる。勝負は次のホールだと。

時松 そこがゴルフの面白さでもあるよね。同じ状況で、同じ舞台にいた2人でも、これだけ異なる思考で、僕は本戦では攻められず、プレーオフでは攻めた結果、敗れて。洋佑はプレーオフで冷静な判断で勝って。それにしても、僕、いつになったらプレーオフで勝てるんやろ(苦笑)。

「守り」が攻めにもなる。

「難しい18番、誰かしらボギーを打つだろうから、パーで粘って、次のホール勝負と思ったんです」(浅地)

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月21日号より