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【PGAツアーHOTLINE】Vol.3 ジャスティン・ローズ「1.5mのパット」<前編>

KEYWORD

ARRANGE/Mika Kawano

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOT LINE」。第3回のテーマはジャスティン・ローズのパットについて。

“5年計画”で成功率を10%上げた

1.5メートルのパットをジャスティン・ローズは「とても厄介」と言います。「それが入らないとスコアがメチャクチャになってしまう」とも。

アマチュアにとっても1.5メートルはぜひ入れたい距離ともいえるし、だからこそプレッシャーがかかる難易度の高いパットでもあります。実はトッププロ集団のPGAツアーでも、1.5メートルが入る確率は平均80%をわずかに上回る程度。言いかえるとプロでさえ5回に1回外していることになります。

17歳で全英オープン4位に入った直後にプロ入りしたローズですが、デビューから21試合連続予選落ちの大誤算。それでも血のにじむ努力で這い上がり、13年には最高峰のメジャー「全米オープン」で優勝を飾りました。ところが、その当時も1.5メートルの確率は73%で、ツアーの平均を大きく下回っていたのです。

そこで彼は弱点克服のため5年計画を立て、ショートパットに特化した練習に取り組みました。その結果、18年には1.5メートルの成功率が85.5%にアップ。ストロークゲインドパッティングも122位から21位に急上昇し、その年の年間王者に輝きました。リオ五輪で金メダルを獲得したのはご存じの通り。

果たして彼は5年計画でどんな練習に取り組んだのでしょう? 「厄介だ」と本人がいう1.5メートルを確実に沈めるため、もっとも大切にしているのが「アライメント」。

「セットアップの際にボールに入れた線を狙ったスポットに合わせます。合わせたら、その線の延長上にシャフトを置き、正しい向きにセットできているかを確認します。この地道な作業がショートパットをマスターするために重要なんです」(ローズ)

練習の初めには必ず「パーフェクトパット」という練習器具を使って、ラインを正確に測ってからそのラインに対して練習する

さらに大事なのは、ストローク中、体を揺さぶらずバランスを保ったまま丁寧に打つこと。当たり前のようですね? そうなんです。ローズは基本を忠実に行うことで5年間で10%以上カップインの確率を上げたのです。彼は“上達に近道なし”の奥義を身をもって示したのです。

そしてローズにはまだ「とっておきのドリルがある」と言います。次回は彼が実践している『タイムライン』と『ハリケーン』、2つのドリルをご紹介しましょう。


コーリー・ヨシムラ
PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前


週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より