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【PGAツアーHOTLINE】Vol.4 ジャスティン・ローズ<後編>「2つのドリル」

ARRANGE/Mika Kawano

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOT LINE」。第4回のテーマは前回に引き続きジャスティン・ローズのパットについて。

前回のお話はこちら

カップインの18センチ手前で
顔を上げる

ジャスティン・ローズのショートパットが劇的に向上した裏には「タイムライン」と「ハリケーン」という2つのドリルの存在があります。

1つ目の「タイムライン」はパットを打ったあと、頭と視線を構えたときのまま動かさないドリル。ボールの行方は見ないで転がりをイメージし、打球がカップの手前6フィート=約18センチに到達したな、と思った瞬間、視線をボールに向けるというもの。「『タイムライン』はグリーンのスピードを把握するのに役立ちます。試合会場に着いて最初に行うのがこのドリルです」とローズ。


ポイントはボールを見るタイミングです。グリーンが速ければ当然ボールがカップに到達するまでの時間は短く、遅ければその逆。ローズはグリーンが速くても遅くても顔を上げるタイミングをカップの18センチ手前というルールを作り、コースによって速さの異なるグリーンに対応しているのです。

マスターズの初日には「65」をマーク。平均パット数は1.39という数字をマークし、オーガスタのグリーンのスピードをしっかりとつかんでいた。試合のときも、ボールのラインを必ず狙う方向にセットしている

「タイガーも、パッティングで一番大事なのはグリーンのスピードを把握することだといいます。この強さならどれくらいの速さで転がるのか? ボールの軌跡をしっかりイメージして、目線はボールのあった位置に固定。視線を上げたときに、カップの18センチ手前をボールが通っていればオーケー。このドリルをやっておけば、その週(日)のグリーンのスピードを把握できたことになります」

アマチュアはカップインを願うあまり打ってすぐ顔を上げがち。それがミスを誘発しています。ルックアップを防ぐ意味でも「タイムライン」は有効なドリルといえます。

2つ目の「ハリケーン」はカップの周りのさまざまな位置にボールを置き1球ずつ違う距離、違うラインをカップインさせるドリルです。

「3フィート(約90センチ)から8フィート(約2.5メートル)の距離にボールを置き、その都度アライメントを確かめてボールの転がりをイメージしながらストロークします。同じところから何球も続けて打つより、ひとつとして同じ状況がない異なる場所から打つことが、より実戦に即した練習になるのです」

コーリー・ヨシムラ
PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月15日号より