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【人気連載アーカイブ】イザワの法則2015「1年後の進歩が想像できない練習は意味がない」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。「苦手意識」なんて持つことは、まさに「百害あって一利なし」と伊澤利光プロ。どうしたら苦手意識を払拭できるだろうか。

前回のお話はこちら

スコアの波をなくすには…

GD 1年間、ツアーを転戦する上では、伊澤プロにとっての(札幌GC)輪厚Cのように「苦手」というコースが出てきてしまうのは、ある意味仕方のないことではないでいでしょうか。

伊澤プロが「どうしても傾斜が読み切れない」と話した札幌GC輪厚C。ANAオープン開催コース

伊澤 1年間、安定した成績を残すとか、5年とか10年の期間、ツアーで戦い続けるということを考えると、コースでもなんでも「苦手」を極力作らないほうがいいんです。今回は上手くいかなかったけど、やり方を変えれば次は上手くいく、と思っている方がいい。

GD 確かに、「苦手意識」を作るのは簡単でも、それを払拭するのには、大変な労力が要るでしょうね。

伊澤 その通りです。「昨年ダメだったから、もしかしたら今年もダメかもしれない」というのは、究極のネガティブ思考で、そういう思考に陥った時点で、その試合は勝つ見込みがゼロになったといってもいいくらいです。私たちプロは、シーズンオフはもちろん、シーズン中でもほぼ毎日欠かさず練習したり、トレーニングしたりしているわけですから、昨日よりも今日、今日よりも明日は、少しずつでも進歩しているはずですよね。それを、1年も積み重ねたら、きっと相当な進歩になるはず。昨年のトーナメントで上手くいかなかったことも、「今年はできる」と思えなかったら、頑張って練習する意味はどこにあるんだって感じです。

GD なるほど、練習の目的意識が高ければ、「苦手」となりそうな状況も、必ず乗り越えられるはずだと。

伊澤 私は練習を続けていれば、すべての分野で、過去の自分よりも磨きがかかっていると実感できる時が必ず来ると思っています。それが3カ月後なのか、1年後なのかというのは、わからないですけど。ただ、どうしても「嫌いな」ホールはありますね(笑)。

GD 例えば?

伊澤 うーん、三好CC(東海クラシック開催コース)の16番(西コース)とかは嫌ですね。

GD 約190ヤードのパー3で打ち上げ、グリーンは細長で左傾斜、左は谷、右はバンカーの有名なホールですね。

伊澤 このホールだけは、「乗らなくてもいいかな」という気持ちで、右のバンカー方向に打っていくこともありましたね。右のバンカーはそれほど難しくないんですが、なんとなく寄らないことが多くて…。うん、やっぱり嫌ですね(笑)。

GD まあ、ひとつくらいは苦手なホールがあるほうが、普通だとは思います。ところで、プロと違ってアマチュアは、スコアや調子が、ほぼ日替わりで上下するということも珍しくありませんが、それをなくすにはどうしたらいいと思いますか。

伊澤 やっぱり、アプローチとパットをたくさん練習することだと思います。もし、30ヤード以内に来たら、そこから必ずプロの代打が使えるとしたら、少なくともハーフで3つ、4つはスコアが良くなると思いませんか? 結局、スコアを安定させるのは、そこなんですよ。

伊澤’s ワンポイント
コントロールショットは短く持つ。それだけでトップが少しコンパクトになる

グリップを短く持って、トップの高さを少しだけ制限するだけで、あとは基本的に普段通りに振っていく。フォローも最後までしっかり振り切るほうがボールは曲がらない

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位(当時)の4位入賞。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2015年11月号より