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【人気連載アーカイブ】イザワの法則2015 1年間安定したゴルフをするには?

KEYWORD 伊澤利光

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」。1年間を通じて、安定した成績を残すのもプロならではの技術。どうしたらそれが可能になるのだろうか。

前回のお話はこちら

パットの調子を保つことが
スコア安定のポイント

GD 2001年の賞金王の時と違って、2003年の賞金王の時は自分としては不満の残るシーズンだった、ということでした。

伊澤 そうですね、その年は2勝しかしていないのに、賞金王でいいのかという気持ちはありましたね。

GD しかし、2勝“しか”していないのに、最終的に賞金ランクでトップになるということは、裏を返せば、それだけシーズンを通して安定した成績を残し続けた、ということではないですか?

伊澤 そういう捉え方もあるでしょうけど…、私としては、プロというのは「勝ってナンボ」だと思っていますから。どの試合だって、出るからには全部、勝つつもりでプレーしているので、「2位で満足」ということもなければ、「トップ10だからまずまず」ということもないんです。

GD プレーオフの2位も1打差の3位も、実質はあまりかわらないと。

伊澤 負けたら「ちくしょう」と思うのは同じじゃないですか。展開的に勝てそうな試合だったら、なおさら負けると悔しいですよ。

GD そういう意味では、2003年は、成績は安定していたものの、フラストレーションがたまる1年だったということでしょうか。

伊澤 そうですね。

GD ただ、賞金王を争うほどの安定感というのは、普通はなかなか難しいと思うのですが…。2001年の賞金王は、フェアウェイキープ率が原動力だとおっしゃっていましたが、2003年の安定感のカギは、何だったのでしょうか。

伊澤 今、振り返って考えると、やっぱりパットでしょうね。パッティングが良かったので、ショットの出来がそこそこでも、大崩れせずに済んだというところはあると思います。

GD 当時は、自分自身でも、パットに自信を持っていたのでしょうか。

伊澤 2001年に賞金王になって、そこからツアーの仲間に、「パター上手いね」とほめられることが多くなったので…。プロ同士だと、本当にうまくないとあまり褒めないということもあるので、周りからそう言ってもらうことで、自信がついた部分はあります。

GD ピンチになっても、パターで凌ぐ場面が多かった?

伊澤 というより、今日は「パットが入らない」という日が少なかったというイメージでしょうか。調子がよくても、相性が悪くて、なかなか上位にいけないコースというのがあって、そういう場合、大抵、グリーンで苦労していることが多いんです。

GD タッチが合わないとか、そういうことですか。

伊澤 というより、ラインが全然読めない(笑)。典型的なのが輪厚ですね。あそこのグリーンだけは、なぜだか、いつ行ってもよくわからない。みかねて、いろんな人がアドバイスをくれるんですけど、みんな言うことがバラバラなんで、参考になりませんでしたね(笑)

伊澤’s ワンポイント
コントロールするならグリップを2センチ短く握る

飛距離よりも方向性を求められる場面では、普段よりも指2本分くらい、グリップを短く握ること。これだけ短く握ると、振りやすさがかなりアップするので、自然とスムーズに振れる

フルスウィングではなく、いつもの8割程度の力で振り切る

フォローまでヘッドを走らせる

「置きにいく」のと「当てにいく」のは、全然違う。方向性を重視する場面でも、ボールの先までヘッドを加速させる意識がないと、スウィングは安定しない。

ボールを飛ばしたいときも、曲げたくないときも、インパクトに集中するのは逆効果。体が力んでしまい、スムーズなスウィングができなくなる

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位(当時)の4位入賞。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2015年11月号より