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【イザワの法則】Vol.42 練習でいちばんチェックしてほしいのは“出球の方向”です

長いシーズンの間中、ずっと「絶好調」を続けることは不可能に等しい。だとすれば、どうやって調子の波を制御するのか。調子が下がったときの対処法、あるいは、調子が下がらない方法はあるのだろうか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

調子の良しあしには
バイオリズムも関係している?

女子ツアーは開幕して約1カ月、男子ツアーも3月28日に開幕を迎えましたが、ツアープロであればまずはここに調子のピークを一度持ってくるというのが、オフのひとつの目標となります。シーズンは長いですから、その中で調子の浮き沈みがあるのは仕方ないとしても、開幕から数試合はやっぱりある種の「手応え」がほしい。そうでないと、オフの練習が間違っていたんじゃないかとか、余計なことを考え出したりして、調子が上がらない原因を自ら作り出してしまうこともあるからです。

とはいえ、いくら調子がよかったとしても、それが持続するのはせいぜい3週間で、そこからゆるやかに調子は落ちて、また何かのきっかけで上がっていくというのが普通です。調子が下降気味になってくると、感覚的にも数字的にもショットの精度が下がってくるのですぐにわかるんですが、じゃあその原因は何なのかと考えると、結局、バイオリズムの問題なんじゃないかと、今は思っています。どんな人にもバイオリズムの波はあって、はっきりとした症状があるわけではないけど、体調がよくないということはあると思います。そういうときは、どんな仕事でもパフォーマンスが下がると思いますし、それは、プロゴルファーも同じということですね。


練習では何よりも
「出球」を重視すべし

20代の頃は、調子が下がると何かスウィングに原因があるんじゃないかと思って、たとえば丸山(茂樹)くんなんかに、「ちょっと見てよ」ということもありましたが、そういうときにはっきり悪いところが見つかるということは、滅多になかった気がします。今は、自分が「選手兼コーチ」なので、携帯で動画を撮って定期的にチェックしていますが、やっぱり明らかに「ここが不調の原因だ」というようなところは、見つからないことがほとんどです。まあ、携帯の画面は小さいので、細かいところまではよくわからないという面もありますが。

アマチュアの場合は、ラウンド自体が月に1回ということも多いですから、それに毎回、調子のピークを合わせるというのは難しいかもしれません。ただ、練習のときから、「出球」がきちんと自分の狙った方向に出ているかどうかを気にしておくと、ラウンドでも大きく調子を崩すことが少なくなるとは思います。アマチュアはどうしても、空中での曲がり幅や、最終着弾地点のほうを気にしがちですが、それより大事なのが「出球の方向」です。狙ったところにボールが出ないとなると、自分の想定の範囲を超えてブレ幅が広がってしまうので、林まで曲がったり、OBが出たりします。逆に、出球さえ安定していれば、左右どちらに曲がったとしても、大抵はコースの幅の中に収まるわけです。

練習場では、まずマットの線の通りにボールを打ち出すことを意識して練習してみてください。安定してマットの線に出せるようになったら、そこからどちらかに曲げる練習をすると、ゴルフの幅がグッと広がりますよ。

1、2試合だけ不調な場合
原因はスウィング以外であることが多い

最終目的地より最初が大事

出球の方向は、インパクトのフェースの向きに大きく影響される。スタンスの向きをスクエアにしても、出球が狙ったところに出るとは限らない。クローズでもオープンでも、自分が振りやすい立ち方で、出球の方向が安定する振り方を探すといい

伊澤利光

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より