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【ゴルフに運はつきもの】最終回「運にもいろいろあるけれど……最後は“運命”」

最強のサラリーマンとしてアマチュア時代に輝かしい成績を収め、49歳でプロ転向した“中年の星”こと田村尚之プロ。群雄割拠のシニア界で気を吐く異色プロが、自身のゴルフについて、そしてシニアツアーの裏側について語る。

ILLUST/Masahiro Takase

前回のお話はこちら

また新しい年が始まりますね。2023年はどんな年になりますかね。コロナ禍も落ち着いて、とにかく平和で良い年になることを、切に願っています。

2022年はどの男子ツアーも女子ツアーも、若手選手がどんどん出てきましたね。男子では河本力選手、桂川有人選手、岩﨑亜久竜選手など、やはり飛距離が出る選手が活躍していました。

河本選手はほかの選手を10ヤード以上引き離して、ドライビングディスタンスはダントツだし、桂川選手はドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率を数値化したトータルドライビングの1位でした。岩﨑選手もドライビングディスタンスは約300ヤードの飛ばし屋です。

やはり男子ツアーでは飛ぶ選手が有利なんですよね。

そういう状況下で、シーズン2勝した稲森佑貴選手は大したもんですね。ドライビングディスタンス262ヤードは河本選手と50ヤード違うわけですから。フェアウェイキープ率が78パーセントというダントツの数字だから成せる技ですよね。

フェアウェイからのアイアンはほぼ100パーセントでオンさせるそうです。これがゴルフの面白いところですよね。

2023年のトーナメントでは、ギャラリー制限がまたさらに緩和されるでしょうから、皆さんにはぜひ会場で飛ばしの迫力と、プロらしい技を見ていただきたいですね。

女子ツアーはさらに若手が活躍しましたね。

新人プロでも複数回優勝したり……とにかく新しい選手が出てきますから。まるでたけのこのようですね。時代の流れなのかなあ。

とくに若い選手には、技術はもちろんですが、しっかり「考える」力を養ってもらいたいですね。そのうえで、アメリカツアーにもどんどんチャレンジしてもらいたいです。

ちなみに今回で、この連載は終了とさせていただきます。

「ゴルフに運はつきもの」、我ながら実に良いフレーズだったと思います。だって、ゴルフは本当に運任せな要素が多いんですから。

スタート時間の違いによる天候の有利不利、フェアウェイに打ったボールがディボット跡に入ることもあり、逆に林に行ったボールが木に当たってフェアウェイに出てくることもあったり……。幸運、不運、運にもいろいろあるけれど……でも、もしかしたら最後は「運」命なのかもしれません。

私は昨シーズン、パットの不調もあって、2023年のシード権を逃してしまいましたが、これも運命というか、必然だったのかなあ、とも思っています。

もしかしたら、そろそろ次のことも考えろよ、というサインかもしれません。

ただ幸いなことに、すでに2023年の数試合の出場権はありますし、多くのスポンサー様からも激励いただきましたので、もう少しツアープロでいようかと思います。ということで、まずは全試合出場できるように、3月の最終予選会に出場するつもりです。

厳しい予選会になるとは思いますが、初めてオフに真面目にゴルフをするシーズンになるので、もし上手くいけば春先から良い状態で試合に臨めるかもしれない、という楽しみもあります。

読者の皆様、これまで愛読いただき、誠にありがとうございました。また近いうちに、新しい連載でお目にかかりましょう。それまでしっかりネタを仕入れておきますから(笑)。

田村尚之

1964年6月24日生まれ。「日本ミッドアマ」2連覇、「日本アマ」2位などを経て49 歳でプロへ転向。2016年「富士フイルムシニア」でツアー初優勝

月刊ゴルフダイジェスト2023年2月号より