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「息子のためにどうしても勝ちたかった」ビジェイ・シン親子が2日連続50台でPNCチャンピオンシップ初戴冠

PNCチャンピオンシップで元世界ランク1位、メジャー3勝のビジェイ・シン親子が初の栄冠に輝いた。

挑戦16回目にして2日連続50台(59・59)をマークしたビジェイと息子カス君。初出場時は13歳だったが現在32歳。保険会社で働いている立派な社会人だから、カス君ではなくカス氏だ。

「これ(優勝)は私たちがずっと望んでいたことです」と息子が言えば、「彼と一緒に勝ったことは私のキャリアのハイライト。これまで何度もプレーしてきたし、私は彼のためにどうしても勝ちたかった」と父は声を詰まらせた。

10代の頃から参戦するたび、他の親子から「カス君は別格」と腕前を評価されていた。今回も出場したB・ランガーの息子ステファン氏も以前から「彼が一番ゴルフが上手い」と羨望の差しを向けていた。

だがこれまで2位を3回、ベスト5入り8回を重ねても優勝には届かず、「毎年ここで勝ちたいと思ってきたけれど、年々勝つのが難しくなってきた」。

ここ3年は往年のライバル、タイガー・ウッズと息子チャーリー君が話題を独占。J・トーマスはクラブプロの父マイク氏と参戦。J・デーリーⅡも実力をたくわえ、次々と栄冠をものにした。

現役時代最も勤勉で練習熱心といわれたシンも来年60歳。会社勤めのカス氏の練習量を考えると年々戴冠が難しくなるというシンの言葉もうなずける。しかし厳しい状況でも「来年は連覇を狙う。我々親子にとって大きな意味のあることだから」と父はきっぱり。

最終日(2日目)の朝、全体的に和気藹々としたムードのなか、ティータイムの1時間以上前に練習場に姿を現したシンは黙々とドライバーを打ち続けた。

途中、バックスウィングが小さくなり、球が飛ばなくなると「何を恐れているんだ!」と自分自身に喝を入れた。

練習の鬼は健在。来年も本気で優勝を狙ってくるはずだ。

16回目の挑戦でついに栄冠を勝ち取ったシン親子(PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe)

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月10・17日合併号より