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Dr.クォンの反力打法 Vol.49 腕を振ってもヘッドは走らない?

KEYWORD

クォン教授の実験装置を使うと、足の力だけでなく、手の力(ハンドフォース)も計測できるという。スウィング中、手にはどんな力が働いているのか。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家女性こそ地面反力

前回のお話はこちら

吉田 以前も少しお話しいただきましたが、スウィング中の手の使い方について、今回は詳しく伺いたいと思います。

クォン うむ。これは勘違いしている人が多いから、しっかり説明しておきたいね。

吉田 お願いします!

クォン 下の図を見てほしい。これはトップからインパクトにかけての、手がクラブに加える力の大きさと向きを表している。

吉田 手から3つの矢印が出ています。

クォン 基本的には黒い矢印を見てもらえばいい。黒い矢印を、手の動く方向と、それと垂直の方向に分解したのが緑の矢印と青い矢印だ。

吉田 赤い矢印はクラブヘッドに働く力ですね。


ダウンの初期の段階(2)では、クラブのグリップ部分は下方向に動いているが、手の力(黒い矢印)は外向きに働いている。ハーフウェイダウン(4)からインパクト(5)にかけては、クラブは飛球線方向へと動いていくが、手の力の矢印は体の方向へと向きを変え、インパクトでは完全に体の方向を向いている

クォン これを見ると、ダウンスウィングの初期の段階(クラブヘッドが「2」の位置)では、手は体の外に向かって力を加えていることがわかる。

吉田 感覚としてはトップから手を(自分から見て)左下に振り下ろしていくイメージだったので、これは意外ですね。

クォン クラブが「3」の位置にあるときも、手の力はまだ体の外側を向いている。そして「4」のハーフウェイダウンになって、ようやく飛球線方向を向いていく。

吉田 でも先生、その次のインパクトの段階では、黒い矢印が自分の体の方向を差しています。感覚的には手を左(飛球線方向)に動かしているつもりですが。

クォン もちろん、手が動いている方向は左だ。でも力が加わっている方向は動きの向きと必ずしも一致しない。

吉田 たしかに先ほどの「2」の位置でもそうでした。

クォン 手には慣性が働いているから、トップから円を描くように左へと動き続けるけど、実際の力の向きは、「4」を過ぎたところから、内向きへと変化していくんだ。

吉田 インパクトでは手の力は完全に内向きなのに、ヘッドのベクトルは飛球線を向いています。

クォン そう。インパクトゾーンで最も大事なのは、手を中心にクラブがいかに速く回るかだからね。クラブが速く回れば、先端にあるヘッドが速く動くことになる。

吉田 なるほど。ヘッドを速く動かそうとすると、我々はつい手元を速く動かしたくなる。でも回転の中心となるべき手元が動いてしまったら、クラブは上手く回ってくれません。

クォン ヘッドが走らないばかりか、トップのミスが出やすくなるし、フェースも開きやすくなる。悪いことづくめだね。

ホウキを使うときは、手元を目標方向に動かすことで、あえて穂先を走らせないようにする。手元(左手側)を止めると、先が走ってしまい、ゴミが舞ってしまう。ゴルフのスウィングでも、インパクトで手を目標方向に強く動かそうとすればするほど、ヘッドは走らない

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Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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