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Dr.クォンの反力打法 Vol.48 “質のいい”運動連鎖を実現するには「リズム」が大事!

バイオメカニクスの第一人者、クォン教授による「反力打法」第48回。前回は切り返し時の「運動連鎖」の仕組みを教えてもらったが、今回はさらに運動連鎖を掘り下げる─。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる

【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家女性こそ地面反力

前回のお話はこちら

吉田 下の図の赤、緑、グレー、青の4つの線は、それぞれ骨盤、胸郭、腕、クラブの回転スピードの変化を表しているということでした。

クォン うむ。回転速度の数値がマイナス(ゼロの線より下)のところは右回転、すなわちバックスウィングを表している。

吉田 「E」の段階で青い線(=クラブの回転速度)がマイナスからプラスに転じているということは、ここがトップということですね。Eの段階ではすでに、骨盤、胸郭、腕が左回転=ダウンスウィングを始めていることがわかります。

クォン クラブがまだバックスウィングを続けている「D」の段階で、骨盤がすでに左回転を始め、次いで胸郭、腕が左回転を始める。このように、運動が体の中心部から周辺部へと連鎖していきながら、最終的に末端部が加速する仕組みを「運動連鎖」と呼んでいるんだ。

吉田 回転速度を見ても、骨盤や胸郭に比べ、腕やクラブのほうが速くなっています。


クォン そうだね。それから回転速度が最大になるタイミングが部位ごとに異なっているというのも重要。たとえばバックスウィングでは、骨盤と胸郭が最初に回転速度が最大になり(A)、次いで腕(B)、クラブ(C)と回転速度が最大になるタイミングがズレている。

吉田 バックスウィングのクラブスピードが最大になる「C」の段階では、すでに他の部位は減速を始めているというわけですね。

バックスウィング=右回転のスピードは、最初に骨盤(赤い線)と胸郭(緑の線)が最大になり(A)、次いで腕(グレーの線)、そしてクラブ(青い線)とスピードが最大になるタイミングがズレている(B、C)。体の中心から末端部へと運動が連鎖している証拠だ

クォン バックスウィングから切り返しにかけては、体の中心部から末端部へという運動の順序が明確だが、ダウンスウィングにおいてはバックスウィングほど明確な差が見られないという点も面白いね。

吉田 たしかに、ダウンスウィング時の回転速度は、赤(骨盤)、緑(胸郭)、グレー(腕)がほぼ同時に最大になっています(F)。これはなぜですか?

クォン ダウンスウィングは約0.25秒(男子プロの場合)という非常に短い時間で行われるからね。

吉田 なるほど。回転速度が最大になるタイミングをズラしている暇なんてありませんね。

クォン いずれにしても、ただクラブヘッドを速く動かすだけなら、もっと運動順序に差をつければいい。でもゴルフはインパクトの正確性、再現性も大事だから、正確性を損なわない範囲で運動連鎖を活用してもらいたい。

吉田 そのためには?

クォン トップで動きを止めることなく、リズムよくスウィングすることが大事だね。

トップで動きを止めずにリズムよくスウィングするためには、以前紹介したロープ素振りが有効

Vol.49へ続く | 反力打法TOP

Dr. クォン&吉田洋一郎
『驚異の反力打法』

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