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【強いフェードを手に入れる!】#1 世界の主流は「プッシュフェード」 いったいどうやって打ってるの?

「フェードは飛ばない」というのは過去の話。弾道計測器の登場により飛びのメカニズムが研究され、さらにギアの進化も手伝って、今やフェードこそが理想的な弾道となっている。とはいえ、我々アマチュアのフェードは、イマイチ飛んでいる感じがしない。いったい飛ぶフェードと飛ばないフェードの違いはどこにあるのか、徹底的に追求していこう。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki、Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos THANKS/FIVE ELEMENTS

解説/河野勝成

こうのかつなり。矢野東のコーチとしてシード復活へ導く。データと感覚を融合させた最先端のレッスンが好評。東京・麻布の「FIVE ELEMENTS」でレッスンを行う

●CONTENTS●
#1 世界の主流「プッシュフェード」のメカニズム
#2 “球がつかまる”状態をつくっておこう
#3 フェードで270Y! 馬場咲希のコーチの教えとは?
#4 ドラコンプロに学ぶ「握り方」のコツ
#5 トップアマ3人のフェード習得法

ギアの進化でフェードが“飛ぶ弾道”に

フェードが「飛ばない」というのは、過去の話。ドライバーとボールの低スピン化によって、もともとスピン量が多いとされていたフェードでもスピン量が増えすぎることがなくなった。むしろ高弾道でキャリーを稼げるようになっている。矢野東プロをシード復帰に導いた河野勝成コーチは、「現代の飛ぶフェードには、インサイドからクラブを下ろして球を『つかまえる』ことが絶対に必要」と言う。少し左に向いた構えに対しては「インサイドイン」、その軌道に対してフェースはオープン(ターゲットよりはクローズ)で当たる。これが現在主流の「プッシュフェード」の基本セットアップとなる。

プッシュフェードがいい理由

●ロフトを立てて当てるから“強い球で飛ぶ”
現代フェードは、インサイドインのつかまえる(フェースを閉じていく)動きを使って打つ。さらにハンドファーストに当てることで、ロフトが立ち、初速の速い強い球で飛ばしていける

●体を回し続けるから“曲がり幅を抑えやすい”
フェードの場合、体の回転を止めずに回し続けるので、スタンスに対してのインサイドイン軌道が安定しやすい。そのため、スピン量と曲がり幅をコントロールしやすい

●左を向いて構えるから“左に振り抜きやすい”
フェードの基本スタンスは目標よりも左を向く。左サイドにクラブを振り抜くスペースが最初から確保されているので、思い切って左に振っていける。そのため、インパクトでの減速が少ない

●スウィングは変えないから“ドローからの変更が簡単”
ドローでもフェードでも、軸に対して「丸く振る」(アドレスの向きに対してインサイドインに振る)という点は変わらない。したがって、セットアップを少し変えるだけで球筋変更が可能の場合も

ドローとフェード、トータル飛距離は五分五分

総飛距離キャリースピン量初速
フェード321Y296Y2475rpm73.2㎧
ドロー319Y292Y2678rpm73.4㎧

同じロフトのドライバーで打つと、フェードは弾道が高くなりやすく、キャリーを稼ぎやすい。ドローはキャリーが短くなるが、ランは増える。つまりトータルではあまり変わらないのだ


クラブ自体もフェードが打ちやすい設計に

解説/松尾好員(クラブデザイナー)

●クラブとボールが低スピン化
ドライバーもボールも、以前よりはるかに低スピンになっているため、本来、スピン量が増えやすいフェードでも低スピン弾道が打てるようになった。

●ネック軸周り慣性モーメントの増大
慣性モーメントの増大により、フェースを一度開くと元に戻すのが大変になってきたため、フェースを閉じながら打つドローより、開いたまま打つフェードが有利になった。

●重心位置の変化
現代クラブは重心がトウ寄りのものも。フェース真ん中で打ってもスライススピンが入りやすく、フェード系弾道になりやすい。


これがプッシュフェードのメカニズム

「フェードというと、ややカット軌道という考えを持っている方は多い。でも実際は、スタンスに対してはイン-インの軌道になる。データが証明しています」(河野)

そのほかにも、強いフェードになる条件はいくつもある。

「スピン量に影響を与える『入射角』、出球の方向を決める『フェース向き』、曲がり幅を決める一因になる『ヘッド軌道』。これらが『約2度アッパー』で、『軌道に対して2度オープン』で、『スタンスに対してイン-イン軌道』であれば強いフェードになります」

軌道はスタンスに対してイン-イン。フェース面は目標と軌道の間を向き、ややアッパー軌道でとらえる必要がある

「弱いスライス」のインパクトはこうなっている

プルスライス(左に出て右に曲がる)
●軌道=アウト-イン
●フェース向き=軌道と目標の間

いわゆる“カットスライス”は、スタンスに対してアウト-イン軌道で、その軌道に対してフェースが開いた状態。フェースがターゲットよりも左を向いていれば、左に出て右に曲がる弾道に、フェースがターゲットを向いていれば、真っすぐ出て右に曲がる弾道になる。フェースが軌道よりも左を向いて当たった場合は、左に出て左に曲がる引っかけ(プルフック)になる

プッシュスライス(右に出て右に曲がる)
●軌道=イン-アウト
●フェース向き=軌道より右

インから下りるのが理想ではあるが、それが過度になってイン-アウト軌道となり、かつフェース面がその軌道よりも右を向いた状態で当たると、右に出て右に曲がる“プッシュスライス”になる。同じ軌道でフェース面が軌道と目標の間を向いていれば右に出て左に曲がるドローとなるが、フェースが目標よりも左を向いて当たると、引っかけになる。

では、どうすれば強いフェードが打てるようになる?
>>“球がつかまる”状態をつくっておこう
>>フェードで270Y! 馬場咲希のコーチの教えとは?
>>ドラコンプロに学ぶ「握り方」のコツ
>>トップアマ3人のフェード習得法

月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より