【スウィング研究】「トップは決して浅くない」馬場咲希の270Yフェードをコーチが解説
全米女子アマ優勝という日本人として37年ぶりの快挙を果たした高校2年生の馬場咲希。中学1年から指導する坂詰和久コーチにスウィングについて語ってもらった。
解説/坂詰和久
PHOTO/Hiroyuki Tanaka、Yasuhiro JJ Tanabe THANKS/GMG八王子ゴルフ場
馬場咲希
ばばさき。2005年4月生まれ。東京都出身。日本ウェルネス高校2年生。今年、関東女子ゴルフ優勝、日本女子アマ9位タイ、そして全米女子オープン49位の資格で出場した全米女子アマで優勝。憧れはネリー・コルダ。身長175センチ
「中1から僕のアカデミーで練習しています。当時から身長は高かったですが、とにかく線が細くてヒョロヒョロでした。今もまだ高校2年なので体作りはこれから。プロで活躍できるようじっくりトレーニングしていけばいいと思ってやっています。当初から、今できることをやり切ることに徹する子でした。まずは気持ちよく思い切り振ること。カタチは後でどうにでもなりますし、ケガをしない体使いだけアドバイスして、とにかく思い切り振らせていました。
スウィングについて、よくトップが浅い“ショートトップ”と言われますが、そんなことはありません。トップでの肩の入り方に注目すると、正面から見て右側の肩甲骨が見えるほど回転しています。これは手(クラブ)と体が同調して体をねじり上げている証拠。小手先でクラブを操らないので、弾道はねじれずパワーもしっかり伝えられています。肩をしっかり回すことが捻転の基本なので、スウィングの始動は、胸から動かすようアドバイスしてきました」
「今は、手元が右腰に下りてきたハーフウェイダウンからインパクトで、もう少し左サイドへ移行するよう指導しています。以前は、右サイドに重心が残ってボールに十分なパワーを伝えられていませんでした。焦らずじっくり改善して今の形まできましたが、骨盤が左足くるぶしの外側ラインまで、もう少し左へ移行できれば、さらに重たく強いボールが打てます。
持ち球はストレートフェード。本人が体を動かしやすいスウィングをした結果がフェード系になっているだけで、フェースが開いてインパクトしているわけではありません。逆に閉じて当たっているので“左からのドロー”と表現したい球筋です」
コンパクトでも肩の回転は大きい
正面から見たときに右の肩甲骨が見えるほど肩の回転は大きく深い。体の捻転が大きい証拠
骨盤の移行と回転を調整中
ダウンスウィングで右に重心が残りすぎるクセを調整してきたという今のスウィング。「もう少し骨盤が左へ移行できると、もっと強くて重い球になります」(坂詰)
クラブはウェッジまでブリヂストン
パターはトラス
ドライバーはブリヂストンB1 B-Limited。ロフト9.5度、シャフトはツアーAD D1-6のSフレックス。パターはテーラメイドのトラス、センターシャフト
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より
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