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【PGAツアーエキスプレス】Vol.15 ジャスティン・トーマス「ミスを引きずらない強さ」

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第15回は、今年の全米プロを制したジャスティン・トーマスの強靭なメンタルについて。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)
PHOTO/Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos

ジャスティン・トーマス
1993年生まれアメリカ出身。2016年にツアー初優勝を挙げると、17年には全米プロでメジャー初制覇。今年の全米プロでメジャー2勝目を飾った

世界のトップ選手の強靭なメンタル

「良いショットを記憶し、悪いショットを忘れる。そしてそれを引きずらない。トップ選手が必ず行っていることです」

アメリカ国内でもトップ20に入るゴルフインストラクターのトッド・アンダーソンは言う。メンタルスポーツと言われるゴルフにおいて、一流と超一流を分けるのはこの部分かもしれない。今年はそれを思い知らされる出来事があった。しかもメジャーで。

今年の全米プロゴルフ選手権は、ジャスティン・トーマスがウィル・ザラトリスとのプレーオフを制し、メジャー2勝目を飾った。その優勝に至る段階での出来事。最終日、6番のパー3。5番アイアンを手にしたトーマスのボールは、右に抜け、隣のホールのバンカーにつかまってしまったのだ。「シャンクしたんだ。完全なシャンクだよ(笑)。それ以外に言いようがないね」(トーマス)

シャンクしたことにさほど問題はない。その証拠に、そのすぐ後のショットを6mにつけ、ボギーで収めたからだ。トーマス自身も「僕にとって間違いなく、人生最高のボギーだったよ」と話した。

アンダーソンの言葉を借りるなら、“悪いショットを引きずらない”のが超一流プレーヤーの証し。だが、いくらプロとはいえ、シャンクしたクラブをもう一度握るのは少しためらうだろうし、ミスが頭をよぎるはず。しかも、メジャーの優勝争いの真っただ中ならなおさらだ。しかし、トーマスは次のホールで5番アイアンを手にした。キャディのマッケイは言う。

「残りは197ヤード、グリーン右には池、左から右に傾斜していて、とてもシビアな状況だった。彼は迷わず5番を抜いたよ。彼自身もそのクラブで成功させる必要があると自覚していた。結果は3メートルにつけるスーパーショット。あとでトーマスと『あの週の最高のスウィングだった』と話したよ」(マッケイ)

シャンクのミスをリセットし、完全に勢いづいたトーマスはザラトリスをとらえ、プレーオフに持ち込み、競り勝った。

「フラストレーションはもちろん溜まっていた。でも、すぐに吐き出すことができてよかったよ」(トーマス)

大事なのは、間違いを起こした理由を自分自身で理解し忘れる。そして、次のショットに集中する。ためらわず、心に決めたように打つ。トーマスにはそれができた。まさに、メジャーチャンピオンの名にふさわしい男だ。

16-17年シーズンには年間チャンピオンに!

2017年は全米プロのメジャー優勝だけでなく、その年、5勝を挙げる活躍で年間チャンピオンを獲得した

月刊ゴルフダイジェスト2022年10月号より

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