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【「打つ」から「振る」へ】#3 トップアマがやっている“振り切る”ためのひと工夫

フィニッシュまでしっかりと振り切れるスウィングを身につけるためにはどうすればいいのか。ここでは経験豊富な2人のトップアマに、自身が実践している振り切るための工夫を教えてもらおう。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa THANKS/龍ヶ崎CC、エースゴルフスタジアム

川﨑邦朗さん「“壁”があると思っています」
年齢を重ねても飛距離を落とさないスウィングを研究。2020年の龍ケ崎カントリー倶楽部のクラブチャンピオン

●CONTENTS●
#1 伊澤利光に聞く「振り切れない原因」
#2 振り切れるようになる“いい素振り”の条件とは?
#3 トップアマがやっている“振り切る”工夫

HC+1 川崎邦朗さんの“振り切る”工夫

「ボールの手前に仮想のボールをイメージ」

かわさきくにお。49歳。HC+1。年齢を重ねても飛距離を落とさないスウィングを研究。2020年の龍ケ崎CCクラブチャンピオン

いくらトップアマとはいえ、打ちにいってしまうことも当然ある。川﨑邦朗さんは、「アドレス」にひと工夫を加え、振り切れるようにしている。

「ボールを打ちにいくのは、ボールを見るから。ボールなんかなければいいんですよね(笑)。そういうわけにもいかないので、実際のボールとは別のところに意識がいくようにしています。それが実際のボール位置よりもヘッド1つ分くらい手前に仮想のボールをイメージしてアドレスすること。すると、実際のボールに当たるときは、ヘッドが加速しながらインパクトを迎えられるというわけです」


「ヘッド1つぶん離して構えます」

実際のボールよりも手前に仮想のボールをイメージしてそこに構える。このボールを打つイメージを持っていれば、実際のボールへの意識が消え、気持ちよく振れる

ここもポイント! その1
お尻を上げ“スペース”を作る

ボールに当てたいという気持ちが強いと、近づきたくなる。お尻を真上に引っ張るように構えると、自分とボールの距離が広く取れ、いわゆる“懐”ができる。クラブの通り道ができるため、振り抜ける

ここもポイント! その2
ひじを下に向ける

「ヘッドを減速させる、ひじ引けや、アーリーリリースはアドレスでのひじの向きに原因がある」と川﨑さん。両ひじを下に向けて構えることで、腕のローテーションが自然とできるようになる。イメージは顔を洗うときの腕の形

スウィング中も両ひじが正面に向いたままのイメージで回転していく。すると、体の正面に腕があり続けるので、腕でボールに“当てにいく”というミスがなくなる

HC+2 舘英樹さんの“振り切る”工夫

「ルックアップで“ボールの先”に意識を向ける」

たちひでき。58歳。HC+2。数々の“日本”の付く大会で成績を残してきた茨城県を代表するトップアマ

メジャーで10勝、LPGAツアーでは通算72勝という驚異の成績を残している、女子ゴルフ界のレジェンド、アニカ・ソレンスタム。彼女のスウィングといえば“ルックアップ”が特徴的。そんなアニカのスウィングにヒントを得て、実践しているのが舘英樹さん。

「ルックアップのメリットはたくさんあるんですが、私が一番感じているのはボールの“先”に意識が向けられるので、球を運ぶ感覚が出てくることですね」(舘さん)

舘さんは調子が悪くなると、インパクトで力むクセがあると言うが、ルックアップで振っているとそのクセが出にくい。ボールの先が見えることで、インパクトの意識が消えるということだ。

「ヒントはアニカ・ソレンスタム」

LPGAツアーのレジェンド、アニカ・ソレンスタムのスウィングにヒントを得て、ルックアップを取り入れた舘さん。振り切れるようになるだけでなく、さまざまなメリットがあることに気づいたという。

ルックアップのメリット 1
押し込んで運ぶように振れる

ルックアップをすることで、ボールの先に意識が向き、インパクトから球を押し込んで運んでいけるようになる。「打って終わり」という感覚ではなく、フォローやフィニッシュまで一連の流れとして振ることができる

ルックアップのメリット2
振り抜いていく位置が明確になる

インパクトへの意識がなくなるため、振り抜きの位置が明確になる。振り抜く場所が決まっていれば、そこから逆算してスウィングを考えられるようになるため、テークバックで余計な動きが入らなくなる

月刊ゴルフダイジェスト2022年9月号より