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【夏ラフ攻略!】<後編>“ツン浮き”は5W、“メラ沈”は7Iか8I。状況別・番手選び&打ち方のポイント

やっかいな夏ラフを攻略するには、まず4パターンある芝の状態を把握することが重要だと小野寺誠プロは言う。では、芝の状態を見極めたら、どの番手でどのように打てばいいのか。さらに詳しく聞いていこう。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi TEXT/Kosuke Suzuki THANKS/ゴルフ倶楽部成田ハイツリー

解説/小野寺誠

1970年生まれ。16歳で渡米してゴルフを学び、帰国後プロ入り。現在はシニアツアーに挑戦しつつ、年間200ラウンド以上のラウンドレッスンを行っており、コースとアマチュアを知り尽くす

>>夏ラフは「4つのパターン」に分類できる

ツンツン系はウッドも可能

夏のラフに入ったらまずは脱出、と考えがちなアマチュアは多いが、ライをきちんと判断できればFWで飛ばすこともできると小野寺誠プロ。芝質が「ツンツン」か「メラーン」か、浮いているか沈んでいるかの4つのパターンで、それぞれどんな番手でどう打てばいいかを教えてもらった。

「“ツンツン”な芝は意外にウッド系でも勝負できます。とくにツンツンかつボールが浮いている“ツン浮き”の状態なら、3Wは難しくても、5Wは十分打てる。“ツン沈”でも打ち込まずにレベルに振れればUTである程度の距離を稼げます」


一方“メラーン”とした芝ではアイアンの番手選択にちょっとした工夫が必要だ。

「メラーンとした芝でかつボールが浮いている“メラ浮き”は、UTでラインを出していくのもアリですが、アイアンで打ち出し角を確保できれば意図的なフライヤーで普段以上に飛ばすこともできるんです。普段UTで打つ距離を6Iで打てる場合もありますよ」

また最も難度の高い“メラ沈”に関しては、安易に「ウェッジで脱出」はおすすめしないと小野寺プロ。

「ロフトの多いウェッジでは上っ面に当たって全然飛ばないミスも出やすいので、実は7~8Iくらいで打つのがいちばん安全だと覚えておいてください」

パターンA「ツン浮き」
(芝はツンツン×ボール浮)

おすすめ番手: FW、UT

5WやUTを使ってしっかり距離を出せる

FWやUTで距離を稼げるライだが、芝の抵抗を想像してインパクトで合わせてしまうのはNG。右肩、右腰、右ひざを一緒にボールの先まで押し込むイメージでしっかり振り切ろう

パターンB「ツン沈」
(芝はツンツン×ボール沈)

おすすめ番手: UT

打ち込むのは絶対NG! UTでレベルに振ろう

フルショットの距離は出しにくいがUTである程度飛距離を稼ぐことは可能。スタンスを狭めにし、ゆるやかな入射角のレベルブローでロフトなりに打ちたい

パターンC「メラ浮き」
(芝はメラーン+ボール浮)

おすすめ番手: UT、6I

UTでライン出しか6Iでフライヤー狙い

方向性重視ならUTでライン出し。ヘッドを浮かせて構えフィニッシュまで止めずに振り抜く。届かせたいなら6Iで意図的にフライヤーさせるのもアリだ

パターンD「メラ沈」
(芝はメラーン+ボール沈)

おすすめ番手: 7I、8I

ロフトが多きすぎるクラブはミスしやすい

グリーンに届かせるのは難しいので脱出最優先。ただしウェッジは上っ面に当たるミスが出やすいので、普段150Y前後で打つ番手を使うのが安全

どのパターンでもレベルブローが鉄則

夏ラフの4種類のライでの打ち方を教わったが、どのライでも共通するのは「レベルブロー」。芝の抵抗を想像して強くインパクトしたくなる気持ちはわかるが、上からガツンと打つのがミスのもとだと小野寺プロは言う。

「ラフで打ち込んでしまうと、ボールの下の空間を生かせず上っ面に当たるミスも起こりますし、何よりロフトが立って球が浮きにくくなります。フェースとボールの間に芝を噛んでスピン量が減るのに打ち出し角まで減ると、ボールはドロップして飛びません。レベルブローで、フィニッシュまで振り切る意識を持つのがラフの鉄則なんです」

レベルブローだとヘッドが芝の中を通過する範囲が長くなるが、その抵抗に「負けないように」と考えすぎると打ち込みがちになる。抵抗でヘッドスピードが落ちるのは覚悟し、両足の間の芝をバサッと刈るようなイメージでレベルに振ること、スウィングを止めずにヘッドを加速させながらフィニッシュまで振り切る意識を持つことがポイントだ。

「ラフでは、どんなライでも上からガツンは絶対ダメ。ミスするならハーフトップでいいと思えば軌道もレベルになりやすいですよ」

ドロップやチョロはレベルに振れてないから起こる

上から打ち込んでしまい打ち出し角が足りないと、ドロップして飛ばずにまた次もラフへ。今度は球を上げようとしてアッパーになり、チョロが出るのはラフでの最悪の負の連鎖だ

レベルブローのポイント1
あごを軸にして左右の肩を入れ替える

力んで上体が突っ込むと入射角が鋭角になる。アドレス時のあごの位置を基準に左右の肩を入れ替えるようにスウィングするのがポイント。左右対称のゆるやかな弧で振ろう

レベルブローのポイント2
右肩、右ひじ、右腰を左足の上までしっかり回す

レベルに振るには、右肩、右腰、右ひざの3点をセットで左足の上まで押し込むことが大事。どこかが先行したり、遅れるとあおり打ちや打ち込みすぎになるので注意しよう

レベルブローのポイント3
フィニッシュまで振り切って、ヘッドを加速

インパクトを“点”で強く意識するとスウィングが止まってしまう。フィニッシュまで体の回転を止めずに振り切ることで、ヘッドは加速し、芝の抵抗に負けにくくなる

レベルブローのポイント4
上から入れようとするのは絶対ご法度

ボールが浮いていようと沈んでいようと、上から打ち込むのは絶対NG。打点が上にズレてポッコンのミスになりやすいし、ロフトが立って打ち出し角が不足しやすい

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より