【ショートトップで飛ばす】#1 トップは“小さい”ほうが飛ぶってホント?
ジョン・ラームに代表されるように、近年コンパクトなトップで飛ばしているプロも多い。「もともと身体能力の高い選手だからコンパクトでも飛ばせるのでは?」と思ってしまうが、実はアマチュアこそショートトップを取り入れるべき、とプロコーチの吉田直樹は言う。果たしてその真意とは?
TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa、Takanori Miki、Blue Sky Photos THANKS/武庫ノ台ゴルフコース
解説/吉田直樹
よしだなおき。谷原秀人や小祝さくらなど多くのトッププロを指導。「効率」を一番に考えてレッスンを行う
●CONTENTS●
#1 なぜ「ショートトップ」でも飛ばせる?
#2 切り返しのタイミングは「左腕が地面と平行」
#3 小さなトップでも「十分な捻転」が得られるワケ
#4 「体とクラブの同調」がカギを握る
ショートトップは
いいことずくめ
ショートトップ最大のメリットは「再現性の高さ」。そのため「アマチュアにこそ最適」と吉田直樹コーチは言う。
「大きいトップは『毎回同じスウィングができる』という前提なら飛距離的にも有利ですが、アマチュアの場合はスウィングがバラつくデメリットのほうが大きい。その点、ショートトップはシャフトがねじれにくいので、プレーンに引き戻すのが簡単だし、インパクトに向かってどう加速させるかということだけに集中できる。また、体の回転を先行できるので、ハンドファーストでロフトを立ててインパクトできるなど、メリットだらけなんです」(吉田)
【メリット1】
インパクトに意識を集中できる
ダウンスウィングに入ってから、最小限の動作でインパクトに向かって加速する態勢が整うので、クラブの動きをあれこれ考えずに、インパクトに集中できる
【メリット2】
シャフトのねじれが少ない
クラブの運動量が小さくなることで、シャフトにかかるトルクも小さくなる。クラブが暴れたりねじれたりすることが少なくなるので、プレーン上に戻しやすくなる
【メリット3】
ハンドファーストに当てやすい
トップからクラブを引き下ろす距離が短くなるので、そのぶん体の回転を先行でき、ハンドファーストに当てやすくなる。分厚いインパクトが可能になる
ショートトップ=浅いトップ
ではない
今年に入ってから吉田コーチの指導を受けている小祝さくら。昨シーズンと比べると、明らかにトップがコンパクトになっているが、これでもまだまだ道半ばだという。
「ショートトップというと、ただ手を上げる位置を低くすればいいと思っている人が多いんですが、小祝プロのトップを見ればわかるように、体はしっかり回っているというのがポイント。とくに右腰は、右のお尻を左のお尻に寄せていくような感覚で、しっかり回すのが絶対条件。そのうえで、無駄に手を持ち上げないのがショートトップ。トップが『浅い』のとは全然違うんです」(吉田)
ショートトップでも腰はしっかり回す
腰をしっかり回すことで、ショートトップでも十分な捻転を生み出せる。目安としては、トップで右腰が真後ろを向くぐらい。右尻を左尻のほうに寄せていくイメージ
>>では、ショートトップを身につけるにはどうすれば?
Point 1
切り返しのタイミング
ショートトップにすると、大きなトップに比べて切り返しの“間”が短くなる。切り返しのイメージをガラッと変える必要がある
Point 2
ムリに体をねじろうとしない
トップからの切り返しで生じる自然な捻転があれば十分なパワーを生み出せる。それ以上に捻転しようとすると、軸ブレなどを起こしやすい
Point 3
クラブと体を同調させる
テークバック、ダウンスウィングとも、クラブと体が同調して動くことが大事。右腕が常に体の幅の中に収まっていれば、クラブだけが単独で動くのを防げる
月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より
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- 最高峰のPGAツアー選手をはじめ、渋野日向子など多くのトッププロが取り入れ、結果を出している「シャローイング」。強靭な体を持ったアスリートゴルファーだけが可能なスウィングと思われがちだが、我々一般ゴルファーでも、飛距離を伸ばし、かつ曲がらないショットを手に入れるためには有効な動き。では、そもそもどんな動きで、どうすれば身につけることができるのか。動画での練習法なども交え、吉田直樹コーチが分かりや……