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【ショートトップで飛ばす】#2 切り返しのタイミングは「左腕が地面と平行」

「ショートトップ」のスウィングを身につける上で、重要なポイントのひとつが「切り返しのタイミング」。スウィング改造によってショットトップを取り入れた矢野東プロに、切り返しで意識すべき点や効果的な練習方法を教えてもらった。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/Five elements

解説/矢野東

やのあずま。1977年生まれ群馬県出身。43歳のときにスウィング改造を行い見事シード復帰。08年以来の優勝が期待される

●CONTENTS●
#1 なぜ「ショートトップ」でも飛ばせる?
#2 切り返しのタイミングは「左腕が地面と平行」

#3 小さなトップでも「十分な捻転」が得られるワケ
#4 「体とクラブの同調」がカギを握る

「左腕が地面と平行」
が切り返しのタイミング

もともとトップが大きい人は、いきなり「ショートトップにしてください」と言われても難しい。それは切り返しのタイミングが変わるから。ショートトップのスウィングへと改造し、シード復帰を果たした矢野東プロは「思っているよりもかなり早いタイミングで切り返す必要がある」と話す。

「感覚としては左腕が地面と平行になる位置。でも、今まではここまで低い位置で打っていなかったので、我慢できず振りにいったり、上げすぎてしまったりしていました。そこでポイントとなったのが手首。柔らかくムチのように使うことでタイミングの悩みが解消され、だんだんと違和感なく振れるようになったんです」


【Before】以前はオーバースウィングかつ腰の開きが早かった

以前はオーバースウィング気味でトップで体が起き上がっていたという矢野。切り返し以降、腰が先行しすぎて振り遅れることが多かった

【After】トップを小さくしたことでより効率よくパワーが伝わるように

体の捻転量は保ちつつも、ショートトップにすることでパワーを逃がすことなくボールに伝えられるようになった

ショートトップでも違和感なく切り返すコツ
「手首をムチのように柔らかく!」

手首を柔らかく使うことで、左腕が地面と平行という早いタイミングで切り返しても、ヘッド側が動き続けるため自然と適度な「間」ができる。ヘッドの運動量も十分確保されるため、飛距離もしっかり出る

手首を柔らかく使うポイント1
フィンガーで握る

手首を柔らかく使うには、手とグリップが固定されてしまう「パームグリップ」ではなく、指で握る「フィンガーグリップ」のほうがいい。グリップ圧も手首が自由に動くくらいゆるく握る

手首を柔らかく使うポイント2
真下にボールを放り投げるイメージ

手首を柔らかく使うためには腕にはある程度の力感が必要。切り返しからボールを真下に投げるように腕を振り下ろす。そうすることで、右腰が前に出ずヘッドがインサイドから下りやすくなる

小さいトップ=飛ばない
という考えがなくなった

手首をムチのように使うことで、地面と平行で切り返す感覚は養えた。しかし、完全に習得するまでにはかなり時間を要したと矢野プロは話す。

「切り返しのタイミングを習得するのは正直かなり難しかったです。以前は飛距離を重視するならトップを大きく、安定性を重視するならショートトップと思っていたので、飛ばそうとしてコントロールできる範囲でトップを大きくしていたんです。」

しかし、コーチにアドバイスを受けショートトップを試してみると、飛距離が落ちるどころか逆に伸びて、曲がりも減ったという。

「ビックリしましたね。なんで飛ぶんだろう、と。そこからスウィングについてじっくり考えるようになったんです。それでわかったことは、トップは小さくても、体はしっかり回っている。加えて、クラブと体が同調しやすいから、振りにいっても曲がらずに飛んでくれるということ。もともとトップが大きかった僕にとって切り返しのタイミングをつかむのは難しかったですが、飛ぶとわかったので必死になってスウィング改造に取り組んだんです」

【ショートトップのメリット1】
振りにいっても曲がらない

体とクラブが同調しやすいショートトップは、振りにいっても、ヘッドが暴れずに曲がりにくくなる。つまり、振れば振るほど飛距離が出て、曲がらないスウィングといえる

【ショートトップのメリット2】
クラブがインサイドから下りやすい

ショートトップにすることで、自然とクラブはフラットに上がる。すると、切り返し以降もクラブはインサイドから下りやすくなり、つかまった球が打ちやすくなる

特に時間を費やしたのは、ゆっくり素振りを行うことだった。

「今まで大きいトップだったのに、左腕が地面と平行の位置で切り返すのは、とても違和感がありました。その状態で球を打っても、体が動きを覚えていないのでまったく意味がありませんでした。だからまずは動きを体に叩き込むために、ひたすら素振りをやりました」

素振りのコツは、3つのポジションで動きを止めること。

「1つ目は左腕が地面と平行な位置、2つ目は切り返した直後、そして3つ目がインパクト。この3つのポジションで一度静止し、それをつなぐようにゆっくり素振りをして切り返しの感覚を養いました」

矢野プロは、自分と同じように勘違いをしているアマチュアは多いと話す。

「まずは“トップが小さいと飛ばない”という考えを捨てることが肝心です。180度考え方は変わりますが、コツと感覚さえわかればショートトップにすることは可能です。スウィング改造の先には体験したことのない、飛距離と安定感が待っているのでぜひ試してみてください。僕はこれからもショートトップにすれば年齢に関係なく飛ばせることを体現していくつもりです」

Drill
3分割ゆっくり素振り

ショートトップのスウィングを体に染み込ませるには、3つのポジションで静止しながらゆっくり振る素振りが有効だという

月刊ゴルフダイジェスト2022年8月号より