【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみてVol.17「回らなければ、回さない! 無理せず飛ばす“フォロー練”」
家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!
ILLUST/Masaaki Takauji
最近母が楽しそうに練習している。昨年(※2016年)11月に「日本女子シニアゴルフ選手権」に出場し、9位タイとなった母。仕事や家事が忙しくて年間10ラウンド程度しかしないのに、そこそこの成績が出せるのは、やはり昔取った杵柄なのだろう。まわりからも「さすがだね~」と言われていたが、本人はいっぱいいっぱいだったようだ。試合後は、疲労困憊で2~3日寝込んでいた。
「年を取ったのと、太ったのとで、昔のように肩が回らないの。それを無理に回したら、肩甲骨が悲鳴をあげちゃって……」
いつも元気な母も、加齢には逆らえないようだ。イメージは昔のままなのだが、体がとにかくついていかないと嘆いていた。
二宮家は三者三様ならぬ、四人四様のゴルフだが、共通点もある。それは『レイドオフはしない』こと。理由はボールを強く叩けないから。にもかかわらず、母は最近レイドオフ気味になっていた。動画を撮って見せたら「えー、ほんまやね」と驚いていた。本人はまったく意識がないのに、そうなってしまった原因は肩が回っていないこと。だからといって、無理をして回すと、下半身が耐えきれなくなり(下半身も加齢により弱っている)、フォームを崩し、挙句のはてに体のあちこちも痛い、という悪循環。
では、どうするか!?
考えた末、母は「インパクトからフォローを綺麗にすればいい」という発想に至ったのだ。というわけで、今現在は、理想のテークバックを追求するのは諦め、ハーフショットでヘッドを走らせる練習を重点的に行っている。ときどき、フィニッシュをとるときもあるが、こちらも無理せず、すっと収まるポジションでよしとしているようだ。いわゆる、ダイナミックでかっこいいフィニッシュではないが、球はそれなりに飛んでいる。
「フィニッシュがとれるということは、ちゃんと打てている証拠でしょ?」という母に御意。
ボクもテークバックの位置やトップのカタチは気にしないタイプだ。インパクトからフォローがよければ、そのほかは少々イレギュラーでもいいと思っている。というか、母が言うとおり、インパクトからフォローがちゃんとしていれば、おのずと無理のないフィニッシュを迎えるはずだ。テークバックも無理に大きくしようとして、プレーンを大きく外すくらいなら、小さくてもオンプレーンのほうがいい。ゴルフはテークバックで打つわけではないのだから。
「いつもダウンジャケットを3枚着ているみたいな感じ……」
母は太って体が動きにくいことを、こう表現したが、今の時期はリアルにダウンジャケットを着こみ、満足なテークバックができなくなっている人も多いのでは。そんなときは、ぜひ次のフレーズを思い出してほしい。
「テークバックが小さくてもいいじゃないか、ヘッドが走っていれば!」(by今治の相田みつを)。
全員がチャンピオン! 二宮家
週刊ゴルフダイジェスト2017年2月21日号より