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【飛距離アップ①】飛ばせる打ち方み~つけた。今どき最新ドライバーはテンフィンガーがいいみたい!

時代によってスウィング理論も変遷してきたが、ここ数年で話題になっていることのひとつとして挙げられるのは、大慣性モーメントのドライバーだろう。そこで今回、創刊55周年記念として大慣性モーメント時代にマッチした飛ばせる打ち方を紹介しよう!

【解説】大西翔太プロ おおにししょうた。1992年生まれ千葉県出身。青木瀬令奈のコーチ兼キャディとしてツアーに帯同。スウィングだけでなく、ギアへの造詣も深い。ゴルフに関することならなんでも知りたがる研究熱心なイケメンコーチ

【クラブの特性を知る】

「現代のクラブは慣性モーメント(MOI)抜きには語れません」と言うのは、ギアへの造詣が深い大西翔太プロ。

大西 MOIとは、簡単に言えば〝回転のしにくさ〞の数値です。ヘッドが大きくなり、重心距離が伸び、重心深度が深くなっている傾向が強い現代のクラブは、総じてMOIの数値が高い。つまり、回転“しにくい”ということが言えます。

フェースの開閉にかかわるのは「ネック軸回り慣性モーメント(MOI)」

この数値が大きいとヘッドが回転しにくいため、フェースの向きは安定するが、フェースの開閉はしにくくなる。数値が小さいと球をつかまえやすい。現代のクラブはこの数値が大きく、フェースの開閉がしにくくなっている。

一昔前はフェースローテーションを積極的に使いながら打つのが主流だったが、今は違うと大西は続ける。

大西 回転しにくいということは、一度フェースを開くともとに戻りにくい。昔の感覚でスウィングすると、全部フェースは開いたままになります。だから、今はできるだけフェースの開閉を抑えたスウィングを目指したほうが効率よく飛ばすことができるのです。

そもそも慣性モーメント(MOI)ってなに?
それは「回転のしにくさを表す数値」のこと!

慣性モーメントとは、モノが回転しようとするとき、止まろうとするときに必要になる力を数値で表したもの。数値が大きければ回転しにくく、小さければ回転しやすいということ。

【例①】
外側に重さがあると転がりにくい

同じ重さの物体でも、ウェートがどこにあるかで慣性モーメントの大小は変わってくる。外側にウェートがあり慣性モーメントが大きいと転がりにくい。

【例②】
フィギュアの回転は慣性モーメントを小さくする

フィギュアスケートで回転速度を上げるときは両腕を体に引きつける。これにより慣性モーメントが小さくなり、回転しやすくなる。

【知っトク】 さまざまなMOIが存在している!

ゴルフクラブにはネック軸回りの他に、ヘッド左右、ヘッド上下、そしてクラブMOIが存在する。どれも回転のしにくさを数値化したもの。ただ、すべてを理解する必要はなく、現代のクラブは総じてMOIが大きい傾向にあることを押さえておこう。

【軌道】
横から打つ“ハンマー打法”

今は昔と違い、フェースの開閉を抑えたスウィングがいいという。では、開閉を抑えたスウィングとはどのようなものなのか?

大西 昔はクラブヘッドの開閉がしやすかったので、〝開いて閉じる〞動きを入れて打つのが主流でした。フェースローテーションを多く使うスウィングです。しかし、今のクラブでそれをやろうとすると、手遅れになります。自分で『やばい! 戻そう!』と思っても、戻りきらないのです。

では具体的に、どうしたらいいのか?

大西 簡単に言うと、ハンマーでものを叩くようなイメージです。釘を打つときもそうですが、力を加えたい方向にハンマーを振り下ろしますよね?釘打ちの場合は上から下ですが、スウィングをイメージしてください。目標方向に力を加えたいと思ったら横から打ち抜く形になるはずです。

ヘッドの開閉がしにくい今のクラブの特性を生かすには、ハンマーでモノを叩くように、ボールに対して直角に当てるほうがいい

今のクラブに適した打ち方であるとともに、それ以外にもメリットがあると言う。

大西 フェース面がスクェアな状態が長く続くことです。スクェアな状態が長ければ当然、安定したインパクトが実現します。再現性が高くなるので、飛距離もアップするんです。

【横から打つと①】
体や手の運動量が減って再現性がアップ

フェース面の向きを、体を使ってコントロールする必要がないため、体の余計な動きがなくなる。体の動きを最小限にしてスウィングでき、再現性がアップする。

【横から打つと②】
フェースがスクェアな状態が続きやすい

フェース面の向きが変わりにくいということは、一度スクェアな状態を作っておけば、その向きがズレにくいということ。打点がブレずに安定した弾道で飛ばせる。

【右手が主役】
テンフィンガーがいい

テンフィンガーといえばこの方! 篠塚武久さん

1945年生まれ。福岡市のゴルフ道場「桜美ゴルフハウス」を主宰。テンフィンガースウィングである桜美式ゴルフを提唱し、JGTO選手会長の時松隆光をはじめ、多くのゴルファーを育成している

入射角をゆるやかにして、フェースを返さずに打つのが、大MOIヘッド時代の打ち方というが、この時代にピッタリ当てはまる理論がある。手を返さず、ボールを横からレベルブローで打ち抜くテンフィンガーグリップでおなじみの「桜美式」だ。

子供のころからテンフィンガーを実践する時松隆光プロ

「テンフィンガーにすることで、体や腕をネジる動きが排除されます。さらに、右手主導だからパワーも出しやすく目標へ正確に運べる利点もある。フェースが返しにくい現代の大MOIヘッドには、最適なグリップだし打ち方になるんです」(篠塚氏)

これがテンフィンガ―グリップだ!

テンフィンガーのメリットとして、第一に“右手が使えること”という篠塚氏。
「右手を殺すなんていう常識をまず捨て、右手を積極的に使うスウィングを目指す」(篠塚氏)

桜美式ドリル

下手投げで腕をネジらない感覚をつかむ

右手でボールを持ち、ゴルフと同じに構える。その状態から目標に向かって下手投げでボールを投げる。インパクトからフォローにかけて腕をネジらずに動かす感覚を養える。

まだまだいるぞッ! 桜美ゴルフ育ちJrたち
テンフィンガーにしてよかった!!

●18年日本女子OPローアマ後藤未有さん(左)
●17年全日本学生優勝日本大学4年清水大成さん(中)
●18年国体個人の部優勝日本大学1年出利葉太一郎さん(右)

テンフィンガーを実践するアマチュアに続く

ILLUST/Hiroko Saito

PHOTO/ARAKISHIN、Shinji Osawa

週刊GD5月26日より

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