【待ってろ、ウエハラ!】Vol.22「打ち下ろしのパー3は“ラン”に注意」
ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治をゴルフで打ち負かすべく、精鋭コーチ陣に教えを請う本連載。第22回は、前回に続き青木翔コーチのもと、本番力を高めるラウンドレッスン。打ち下ろしのホールで抑えておきたいポイントとは?
ILLUST/Koki Hashimoto TEXT/SHOTANOW PHOTO/ARAKISHIN THANKS/六甲国際パブリックコース
オレは感覚派って言われることが多い。自分でもそう思っていて、一番大切にしているのは自分の感覚。イロイロ考えるよりコレだって思ったことのほうが突き進める。ゴルフにも距離感なんて言葉があるくらいだから、“感覚”は絶対に必要だと思うけど、いくらオレでもそんな簡単には身につかん。現役のころを思い返すと、とにかく練習や場数を踏んでいくうちに、ちょっとずつ“感”が身についてきてたと思う。最初は、“勘”から始まって、それが当たったり当たらなかったり。そんなことを繰り返していくうちに、なんとなくわかるようになってきてたね。遠くからキックされた楕円のラグビーボールが、どっちにバウンドして転がるかほぼ言い当てられるけど、それも経験の賜物。ゴルフではまだまだ“勘”のレベルやけど、得意の超成長であらゆる感覚を身につけてやるぞ。待ってろ上原!
大逆転ルールを勝手に設定
ここまで幾度となく繰り出された青木コーチの技を見てもなお「あくまでも勝負にこだわる」と食い下がる大畑。
大畑 これほどまでに手も足も出ないとは。悔しいけどさすがやね。
青木 一応、僕、ゴルフでご飯を食べていますから……。というか、ラウンドレッスンでこんなに対決モードの人初めてです(笑)。
大畑 相手が誰でも100パーセントでぶつかるのがオレ流やからな。とはいえ、ここまで青木コーチが圧勝……。
青木 マッチプレーなら、前のホールで僕の勝利が決まりでしたね。
大畑 でもオレは諦めんよ。ここからは1ホールでも取ったらオレの勝ちってことにしよう。
青木 今どき、バラエティ番組でもそんな大逆転ルール見ませんよ。でも、大畑さんのやる気がアップするなら受けて立ちましょう。
大畑 おっしゃ! しかも早速のパー3。ティーショットさえ決まれば、オレの勝ちはあるな。
一行は距離のある打ち下ろしのパー3にやってきた。オナーの青木コーチは抜群の距離感で、ピンハイにピタリと止める。
大畑 ほんま大人げない! じゃなくてナイスショット。
青木 だって僕が手を抜いても燃えないでしょ。最後までマジでやりますよ。
大畑 打ち下ろしなのに距離感バッチリやん。番手を小さくするってのは知ってるけど、その加減がわからん。振り幅とか力感で調整したほうがいい?
青木 あまり練習していないことをやるとミスしやすくなります。だから、打ち方は変えずに番手だけで対応するのでOK。もう少し細かい調整をしたいなら……ってまだ続きがあるのに打ってるし!
番手以外にもある距離調整の方法
大畑の打球はピン方向に一直線! キャリーでグリーンをとらえるが、ランが多くグリーン奥にこぼれてしまった。
大畑 やっぱりちょっと大きかったな。勘だけど、打つ前から何となくそんな気はしたんだよな。
青木 打ち下ろしは、今のようにランが大きく出やすくなります。同じ程度の高低差でも、打ち上げよりも影響を受けやすいんです。でも、打つ前の勘は合ってたので、それを信じるようにしてください。
大畑 今の状況なら、どうすればよかった?
青木 まずは番手で調整したいので、2番手下げる。でもそれだと距離が出ないと思ったなら、下げるのは1番手にして短く持つ方法もあります。あとは、ティーアップを後方に下げてもいい。そうすれば打ち方は変えずに、距離の調整ができますから。
大畑 なんや、やっぱりいろんな方法があるやん。打つ前に教えてほしいわ。
青木 いや、しゃべっている途中に打ったの大畑さんでしょ!
大畑 距離の感覚を磨きつつ、それに対応する方法を覚えておけば、中途半端な距離でも困らなそうやね。
グリーンを外した大畑のアプローチ。青木が爆笑する理由はいったい……?
到底勝負にはならないものの、着実にレベルアップをしていく大畑。しかし、次回、好調だった大畑に致命的な欠陥が判明する!
【オオハタ’s MEMO】
打ち下ろしはランに注意
番手と握る位置で調整する
令和の武蔵になる!
オオハタダイスケ
大畑大介。1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング。大阪の東海大仰星高で上原浩治と同クラス。ゴルフのベストスコアは91だが「本気を出せば上原に勝てる」と豪語するスーパーメンタル&フィジカルでゴルフ修行へ
迎え撃つは
ウエハラコウジ
上原浩治。1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで、メジャーリーグでも活躍したレジェンド。マウンド上の緊張感を今はコースで味わうのが楽しいという根っからのアスリート気質を持つエンジョイかつ本気ゴルファー。同窓生・大畑の挑戦を待つ
週刊ゴルフダイジェスト2021年12月21日号より