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距離感とマネジメント力が磨ける! 上達したいなら“距離計測器”が必須なワケ

今年、米男女のメジャーでも使用が認められた「距離計測器」。ラウンドで手にするアマチュアも増えた。感覚が鈍るという意見もあるが、上手く使えば、さらなる上達へと導いてくれる。すでに使っている人も、まだ使っていない人も、改めて距離計の有用性、使いこなし方を考えてみよう。

PHOTO/Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki THANKS/カレドニアンGC

解説/今野一哉

ツアー経験後、アマチュアを教えることに喜びと自分の成長を感じレッスンに専念。ギアにも精通。「18ゴルフ」主宰。「距離計測で自分を知ることができる。これが大切です」

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数字で自分を理解し
距離感の基準をつくる

今回の特集のきっかけは、解説者としてもおなじみの佐藤信人プロ。距離感について聞くと、「“距離感”はゴルファーとして大成するかの命綱。距離感を養ったりスコアを縮める方法を聞かれたら、ドライバーを1本買うなら距離計測器を買いましょうと言います。アマチュアの方も『測って検証して』を積み重ねるしかない。25歳でゴルフを始めた人でも、きちんとやれば距離感は養われます」

「ドライバーより距離計測器を買ったほうがいい!」(佐藤信人)

昨年シニアツアー出場時、距離計測器を使う佐藤。「『計測して153Y、打って10Yオーバーした、ではどうするか』とその積み重ねで距離感は養われていくんです」

距離計測器はもはやゴルファー必須の用具。その効果的な使い方について今野一哉プロに聞いた。まず、初心者に型を教える段階で距離計測は役立つという。

「数字はあらゆるところで説得力があります。ゴルフを始めるとき、グリップやアドレスを教え、ハーフ、クオーター、フルスウィングのそれぞれの構え、トップ、フィニッシュ……と教えていく。型にはめないといけない段階があって、数字も型の1つです。距離計で測った数字を使うと、安心感にもなり、形ができてくるんです。これをまず意識してつくり込むんです」

そのため、練習場の看板などの距離を測ることも大事だという。

「目測でこれくらいが30Yというのを理解することも必要。30Yの看板でも、打席によって変わります。また、練習場では、ボールが10%くらい飛ばなくなっていたり、それをもとに看板を設定していたりする。レンジ球だから27Yだなと理解して練習すればインパクトの瞬間の迷いはなくなってくるんです。測っても、どうせ自分はその通りに打てないという方もいますが、やらないとそのままで終わる。レベルを底上げしていかなければならないとき、数字を知っておくと具体的な目標ができる。ずっと散らかりっぱなしの練習を続けると上達しません」

こうして番手ごとの自分の大まかな飛距離を理解して初めて、基準ができる。ここから、感覚は育てていけるのだ。しかし、練習場では距離感を磨くことは考えないほうがいいと今野プロ。

「ライや落としどころが人工芝だったり、コースとは感覚が違います。ですから、練習場では自分の振り幅とインパクト感とボールの弾道をイメージすることを重視する方向にシフトしていきましょう」

感覚と実際の誤差を知り
フィードバックして修正する

では、コース上で距離感を磨くうえで、どのように計測器を活用すればよいか。まずは、コースでの自分の本当の飛距離を確認することが大事だと今野プロは言う。


「ピンまで測った距離を打てたかどうか、というよりは、誤差がどれくらいあったかを知ることが大事。フィードバックして修正するためのデータを残すのが目的です。それらを拾い集めて、今は思ったよりショートした、だったらもっと強く、という感覚を育てていくんです」

また、練習場とはボールもライも違うと改めて認識しよう。

「SWが人工芝からは90Y飛んでいたのに、コースだと綺麗に打っても40Yだったり、逆に100Y飛んだりする。でもこれも、ピンまでの距離を測るからわかる誤差。少し沈んでいるライでは飛ぶ場合があるとか、少し浮いているライではロフト45度以上のクラブはボールが高く上がってしまうとか、このライならこんなロスがあるということも認識できてくれば、自分の感覚を研ぎ澄ましていけるようになるんです」

また、距離を測っておくことで“インパクト感”も磨かれるという。これこそ距離感の正体だ。

「計測器を使うと明確な数字が出る。たとえば150Yをイメージしてインパクトしたとき、100点の当たりがカップインだとすると、60点の当たりだと感じたとき、それがどういう結果をもたらすか。バンカーに落ちるか、グリーンの端に止まるかなどを明確に理解する必要がある。また、結果が130Yにしかならなかったら、景色が怖かったのか、そもそも130Yのインパクトになってしまったのか、責任の所在や自分の弱点・課題などがわかるんです」

こうしてインパクト感(距離感)を磨いていくのだ。

「また、打ち終わったあとに測ることもいいと思います。1番大事なのは『答え合わせ』。この“当て感”は果たして何ヤードのインパクトだったかを知りたい。これから冬になってくると気温が下がって気圧が高くなり、150Y打つつもりでインパクトしているのに130Yしか飛ばないというシーンも出てくる。その日の空気感での自分のモノサシを把握するのは大事です」

そして自分のズレと実際の空気感をアジャストしていく。

「それを理解せずに150Yだから7Iだとこだわっていると、ずっと届かないまま1日が終わってしまう。自分の感覚とコースの環境に乖離があるならば、早い段階で調整に入らなければいけません」

このモノサシは、朝の練習場からつかむべきと今野プロ。

「パットならボールが転がっている姿、ショットならボールが飛んでいる姿をみて、空気感をつかんでいく。だから朝練でも当然、距離を計測することは必要。打ち方を考えるのではなく、これくらいであそこまで行くんだとつかむだけでいいんです。日本は四季がある国です。年間通してスコアを安定させていくためにも、気候や環境へのアジャストは必須。距離計測器は365日正確な数値を出してくれますから、そのための基準になるんです」

【朝練でも忘れず計測】
その日の自分とコースのモノサシをもつ

「プロでも上位選手は打席選びから考え、ボールが落ちるところまで見ている。練習場でもコースの距離感を探っているので、その週の試合にアジャストするのが早いんです」

【インパクト感を知る】
この当たりなら距離が何ヤードか把握しておく

インパクト感こそ距離感の正体。距離を計測して初めて、その1打のトライ&エラーができる。「100点のイメージをもち、誤差を知り、その点数を上げていくのが大事です」

【打ったあとに測る】
自分の感覚との答え合わせになります

インパクト感がどれくらいズレたかすり合わせをする。「自分で判断していく行為を、どんどん高い水準にしていくため、順番を逆にするんです」

測るのは
ピンまでの距離だけではない

計測によるスロープレーも気になるところ。そこで、今野プロに計測すべきポイントを絞ってもらった。

「そもそもプロはいちいち全部は測りません。主に使うのは、高低差が激しいとき、ドッグレッグ、バンカー上にピンを切っていたり手前に池などのトラブルがあるなどどうしても避けたいハザードがあるとき。以前、知人のプロに『脅威ほど測れ』と言われました。絶対クリアしたいハザードがあるときや、バンカーのアゴでピンの根元が見えないときなどです」

測るのは必ずしもピンまでの距離だけではない。

「ドッグレッグホールで奥に突き抜けたらどうしようとか、あの木に当たったらどうしようとか、ティーショットでの不安をなくしたいときにも測ります。あれは関係ない、これは関係ない、ここだけ気を付ければいい、というのが距離を測ると明確に出ます。するとドライバーでも積極的に狙ったラインに打っていけます」

たとえば写真のような右ドッグレッグホール。右サイドのバンカーを越えるには187Y。左奥の木までは230Yで届く。また右の高い木までは147Y。木の高さを測り、越えられそうならドライバーでショートカット。安全に行くならFWで左に、という具合に戦略を練ることができる。

距離計測器を使うことで、マネジメント力を磨けるのだ。

「それから、50~60Y以内も計測は必要。ウェッジは打つ距離の幅が大きいですから、インパクトに不安がでやすい。数値がわかっていれば、不安と緩みがなくなってくるんです」

競技では計測器が使用できない場合もあるのでルールの確認は必要。しかし、我々アマチュアこそ、感覚頼みにするのではなく、数字頼みにしてみるといい。

「コースでは目の錯覚がある。いいコースほど設計者が上手く使って攪乱させますから(笑)、景色に惑わされず、数字に対してしっかり打っていくべきときがあります。感覚を育てていくのが50%、数字を理解して上手く使っていくのが50%。これで安定したスコアが出せるようになります」

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月30日号より