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【陳さんとまわろう!】Vol.218「寄せるなら、やっぱり“ワッグルショット”です」

日本ゴルフ界のレジェンド、陳清波さんが自身のゴルフ観を語る当連載。今回のお話は、ラフからでも打てる転がしのアプローチについて。

TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ

前回のお話はこちら

転がしで寄せにいくほうが
圧倒的にミスが少ない

――前回の続きです。グリーン周りのラフに入ったボールをピンに寄せる方法ですが、ここで陳さんはウェッジでボールを上げて寄せるのは失敗が多いからやめなさいと。

陳さん はい、やめなさいと言って7番、8番、9番アイアンでボールを転がすことを考えなさいと話しましたよ。ボールが深いラフの中に入り込んでいる場合は別。そのときはロフトのあるクラブを使わなくちゃいけませんがね、この状況のようにボールの頭が葉先より下に沈んでいる程度のラフなら、転がして寄せるほうが失敗が少ないんだ。距離感も合わせやすいですよ。

――ランニングアプローチということですね。

陳さん はい。ワッグルショットで打てばいいんです。ワッグルショットはこれまでも紹介していますが、覚えておくとストロークセーブにうんと役立ちますから、ここでまた見本を見てもらいましょうか。簡単ですけど、でも簡単じゃないよ。(笑)

――コツがあるんですよね。


陳さん ワッグルショットはみなさんがボールを打つ前によくやるワッグルの要領で打つ方法です。ヘッドの重さを感じるように手首を軟らかくしておいて、リストコックだけでクラブを振るわけね。

――ワッグルですから、動きは小さいし、振り幅もほんの少し。

陳さん そうです。だからロフトのあるクラブを大きく振りながらボールを上げて寄せようとするよりやさしいんですよ。ピンを目の前にして大きく振るのは不安じゃない? それで手加減するとボールの手前を打ったりして失敗するんだ。しかし振り幅が小さければ、そんな不安がありませんから上手くいくんだねえ。
ただ、ワッグルショットにはコツが一つあるの。それはテークバックでクラブヘッドをリストコックだけで上げたら、コックした状態を保ったままニーアクションの動きを使って打っていくんですよ。ですからインパクトではハンドファーストになっていなくちゃいけない。ここが大事なんですよ。

――構えもハンドファースト。そしてハンドファーストのまま打つ。

陳さん ニーアクションを使わないで、コックをほどきながらヘッドを先に出すようなヘッドファーストで打つ人がいますがね、これはよくないんだ。失敗するの。手前をダフったり、ボールの頭を叩いたりね。

――では、見本を見せてください。 

陳さん ラフだからといってヘッドを打ち込まないようにね。掃くような感じで打ってフォロースルーをちゃんととるように。ニーアクションを使わないとヘッドが抜けないことがありますから気を付けて。状況はグリーンエッジから1メートル外側、ピンまで10メートルぐらい。これならどのクラブでも使えますよ。じゃあ7番で打ちましょうか。ボールが低く出ますからランが多いです。

――ああ、いいですね。2メートルぐらいのキャリーのあと、ピン左手前50〜60センチに付きました。

陳さん これはね、実はベン・ホーガンから学んだんですよ。日本のワッグルはリストを使わずに、腕とクラブを一体化させて行うものでしたけど、ワールドカップ(1956年)に行ったときにウエントワース(英国)の会場でホーガンがリストコックを使ってヘッドを上げるのを見て、「アレッ」て思ったんだねえ。なんであんなことやるんだろうって。でもすぐ理解しましたよ。
(つづく)

陳清波

ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた

月刊ゴルフダイジェスト2021年11月号より