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【陳さんとまわろう!】Vol.217「グリーン周りのやっかいなラフ。欲張りは禁物です」

TEXT/Ken Tsukada ILLUST/Takashi Matsumoto
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/河口湖CC、久我山ゴルフ

日本ゴルフ界のレジェンド、陳清波さんが自身のゴルフ観を語る当連載。今回のお話は、ラフからのアプローチ。陳さん流のやさしい寄せ方を教えてくれる

前回のお話はこちら

プロみたいな「ラフからウェッジ」は
ちょっと難しい

陳さん 暑いですね。水分ちゃんととってる?

――はい。梅干しも持参してます。

陳さん アハハ……、用意がいいじゃない。熱中症にならないようにね。さて今日は何をやりましょうか。

――この季節のやっかいなラフの克服法でいきましょう。

陳さん
 ラフ、ね。私にはほとんど縁のない状況ですけど。ラフには滅多にボールを打たないことをアナタもよく知っているでしょ。

――だいぶ前に1回、(河口湖CC)東コース9番のティショットを右ラフに打ち込んで、その日使用の右グリーンが狙えなかったことがあったように記憶してます。

陳さん へえ。記憶いいんだねえ。だからラフからの打ち方よりも、本当はラフに入れないことを覚えなくちゃいけない。冗談ですがね、ラフの打ち方を話すというのはものすごく難しいんですよ。同じ状況がないために。それに応じて打ち方も違ってくるからね。だからその場限りの技術でいかなくちゃいけない。状況いろいろ、打ち方いろいろだから説明が難しいんだねえ。

――しかしその中にも基本となる考え方や打ち方はありますよね。

陳さん あります。たとえばヘッドを上からドスンと打ち込まないこととか、打ち込んでお終いにしないでフォロースルーをしっかりとるとかね。それから順目のラフの上にボールが乗っているときはフェアウェイウッドでも打てますが、逆目の中に入っているときはもうショートアイアンしか使えないとか。それから考え方としては、ラフからはダフッたりトップさせることが多いですから、距離を欲張らないでいちどフェアウェイにボールを出すことを心掛けたほうがいいですよ。私、よく生徒さんと一緒にコースを回りますがね、ラフに打ち込むとたいがいラフの中から2回、3回って続けて打つんだねえ。

――ではそうならないように、状況を見つけながら進めましょうか。

陳さん 
いいですよ。じゃあ、そこのグリーン周りのラフからいきましょう。グリーンの左右や奥に外すとよく出会う状況です。

――グリーンエッジから1メートル外。ピンまでの距離は10メートルぐらい。ボールがラフの中にすっぽりですね。

陳さん この状況からみなさんはたぶんウェッジを使うと思うの。プロがそうやってますからね。でもプロはこのような状況から何千回もボールを打って、打ち方を学んでいるから上手く寄せられるわけよ。でもアナタたちは違うんだ。夏に何回かのゴルフをやって、そこで出会うだけですからね、プロを真似てウェッジでボールを上げて寄せようとしてもたいてい失敗するの。大ダフリしたり、ハーフトップさせてグリーンの反対側までボールを飛ばしたりね。

――なんだか耳が痛いですね。

陳さん 痛いということは、よく失敗しているわけね(笑)。こういう所ではパーがとれるアプローチショットを勉強しなくちゃいけないんですよ。勉強するクラブはウェッジじゃなく7番、8番、9番アイアン。これでボールを転がせて寄せるんだ。

――でも、ボールの頭が葉先より下に沈んでいます。大丈夫……?

陳さん 私、これでもトーナメントプロなんですよ(笑)、何試合にも勝っている。その私が言うんですから信じなさい。この状況でも十分ボールを打てるし、上げるよりやさしく寄せられますよ。(つづく)

陳清波

ちん・せいは。1931年生まれ。台湾出身。マスターズ6回連続出場など60年代に世界で日本で大活躍。「陳清波のモダンゴルフ」で多くのファンを生み出し、日本のゴルフ界をリードしてきた

月刊ゴルフダイジェスト2021年10月号より