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【浦ゼミナール】Vol.19 アイアンの距離感は「フォロー」で作る。コントロールショットの極意

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tsukasa Kobayashi
THANKS/√dゴルフアカデミー

身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、飛ばしのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第18回は、アイアンで距離をコントロールするための重要なポイント教えてくれた。

前回のお話はこちら

ドライバーとアイアンは
別のスウィングが必要

――これまで浦さんにはドライバーでの「飛ばし」についていろいろお聞きしてきましたが、ドライバーとアイアンやウェッジではスウィングに違いはあるんでしょうか?

浦 もちろんありますよ。ドライバーは極論すればどこまででも飛べば飛ぶほどいいショットですが、アイアンやウェッジはそうじゃない。普段7番アイアンで150ヤードの人が170ヤード飛んでしまったらスコアになりませんよね。ましてアプローチやコントロールショットは、普段100ヤードとか80ヤード飛ぶクラブで50ヤードとか30ヤードとか距離を抑えて打つ。これが同じはずがありません。

――それはそうです。ではアイアンやコントロールショットをうまく打つには、何が必要なんでしょうか?

浦 大雑把に言えば、ドライバーとは正反対の「飛ばさない」技術が必要です。
車の運転に例えれば、ドライバーのフルショットがアクセルをベタ踏みにしてゴールラインを走り抜けるようなスウィングだとしたら、コントロールショットは停止線でピタッと車を停めるようなスウィング。この停止線の設定が距離のコントロールで、停止線があるスウィングとないスウィングは完全に別の技術。停止線がないと「タテの距離感」は生まれないので、狙った距離を正確に打つことはできません。

――なるほど。狙ったところにボールを止めるにはスピードを制御する技術が必要ということですね。

 そのとおりなんですが、大事なのはその「止め方」です。まず第一に、距離のコントロールは振り幅で行うわけですが、この振り幅はバックスウィングではなくフォローの大きさで作るということ。停止線はフィニッシュです。距離は「どこまで上げたか」ではなく「どこまで振ったか」で調節します。フィニッシュの位置を「ここまで」と決めて振ればバックスウィングの大きさは勝手に決まるので、そこに意識を向ける必要はありません。これは結果論ではあるんですが、とても重要なことです。
 部屋の中の50センチ先のゴミ箱と、3メートル先のゴミ箱とに、下手投げでゴミを投げ込む動きを想像してください。「素振り」をするときに考えるのはフォローで手をどこまで出すかだと思います。手をどこまで引くか考えますか? バックスウィングの振り幅を考えるのはこれと同じで、とても不自然なことなんです。

――たしかにそうですね。

 そして2つめのポイントは、このフィニッシュの位置をブレーキではなくアクセルの加減で調節すること。アクセルを踏んで走っている状態から、停止線の直前でブレーキをギュッと踏んで車を停めるのではなく、途中からアクセルをゆるめて、ブレーキを踏まなくても停止線でスッと停まれる運転。これがコントロールショットの極意なんです。

【コントロールショットの真髄】

ブレーキを踏むのではなく
アクセルワークでフィニッシュを作る

距離感を作るのはスウィングの振り幅だが、振り幅はバックスウィングを「どこまで上げるか」ではなくフォローを「どこまで振るか」で決める。しかもスウィングにブレーキをかけて止めるのではなく、アクセルをどこまで踏みどこでゆるめるかで調節する

アクセル振り幅を
コントロールしたい

――ブレーキで車を停めるのと、アクセルの加減で車を停めるのはどう違うのでしょうか?

浦 フィニッシュが停止線だとしたら、インパクトの瞬間はそれよりも手前で通過するある1点ということになります。ブレーキで停止線に停めようとする場合は、インパクトを通過する際の速度がバラバラでもブレーキの踏み具合によってとりあえず停止線に車を停めることはできます。つまり、振り幅は同じに見えてもインパクトが安定せず飛距離もそろいません。また、ブレーキの強さによって車体がグラついたりヨレたりする、つまりスウィングが不安定になるリスクも高いんです。
 しかしアクセルをゆるめて車を停めるときは、停止線の位置さえ決まっていればインパクトを通過する瞬間の速度は自ずと一定になるはず。ブレーキという余計なエネルギーも加わらないので、いつも安定したスウィングで安定した距離を打つことができるというわけです。

――なるほど、ニュアンスはわかりますが……実際のスウィングでの違いはどうなるんでしょうか?

浦 ブレーキで距離をコントロールしている人は、だいたいの場合フィニッシュがちょっと行きすぎて、少し引き戻すような動きが生じます。急ブレーキを踏んで停まると、体がGで前に飛ばされそうになった後シートにバンって戻されますよね? あれと同じです。
 アクセルコントロールができている人はああいうギュッと止まる感じがなく、静かにフィニッシュに収まります。むしろ、打った後にフィニッシュから10〜15センチくらいスッと手が前に動く人もいる。
 プロゴルファーとスウィングの話をしていると、フォローを作った後、手首を持ち上げながら小指側に折るような動きが自然と出たりするんですが、この感じが出ている人は、「アイアン上手そうだな」って思いますね。

フィニッシュで止まらず
15センチ先まで手を進める

アクセルコントロールで距離感を作るには、フィニッシュ後に手元が戻るのではなく、少し進むようなイメージが大事。スウィングの余韻として、クラブの重さを感じながら手元が少し上がるようなイメージがほしい

――これは形をマネすれば身につくんでしょうか?

浦 はい。こういった動きはアクセルコントロールができていないとマネすることさえできませんから、ぜひ形をマネしてください。最初に決めたフィニッシュまで振ったあと、手元を意識的にスッと持ち上げる動作なんかは、意識しているだけで確実に上手くなりますよ。
 それから超おすすめなのが、インパクト後に右手を放してフィニッシュで左肩を触る練習。右利きの人はだいたい右手を使ってブレーキをかけるので、その右手をグリップから放してしまうんです。これがコントロールショットでスムーズにできるようになったら、アイアンは相当上手になりますよ。
 どちらの動きも、クラブの重さを感じていないとできない動き。下の写真のように、クラブを指の上に立ててバランスを取る遊びを普段からやっていると、意外と効果がありますよ。

打ったあと
右手で左肩をタッチ

アクセルコントロールを身につけるには、インパクト後に右手を放し、右手で左肩を静かにタッチする練習が非常に効果的。アイアンやウェッジでやってみよう

指の上にクラブを立てて
バランスを取ってみよう

指先の上に立てたクラブを倒さないようにバランスを取る遊びは、クラブの重さと重心を感じるのに有効

浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より