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高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.56 「縄文式の家を建てろ」

高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」。第56話は「定規で測らなくてもだいたいの柱の長さは誰でも分かる」というお話――。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。

志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

ヤンキーよりスケ番がいい

高松 今回はアマチュアFさんが一緒に回ってくれたんやけど、「奥田プロとほんまにラウンドできるんですか?」いうて、最初は疑ってたんよ。奥ちゃんは旬のプロやからな。

奥田 いやいや、旬はもうだいぶ終わってますわ。最後にもがいてるだけです。

高松 ゴルフは自分の人生観が如実に出る。そういう意味で奥ちゃんのゴルフは今が一番ええとオレは思うけどな。

奥田 とにかく今日はシュンとならんように頑張りますわ(笑)。それでFさんですけど、ゴルフが全体的にシュンやなしに、ちゃんとしすぎてますね。

高松 そやな。女の人に特に多いけど、全部のことをきちんとしたがる。

奥田 方向を定規で測ったようにきちんと合わせて、ゆるみのないようにしっかり固めていうことですわね。

高松 そうそう。きちんとしてとんでもない球がぎょうさん出ると、今度はさらにきちんとせないかんのやないかとなる。悪循環やね。

奥田 ちゃんとしてる人ってほとんどが球にパッティング用のライン入れてるけど、Fさんもしっかり書いてますわ。

高松 前の晩にあの線書いてるときは楽しいんやろうけどな。アクション映画で戦いに行く前のコマンドーが、顔にカモフラージュの線塗ってるシーンとよう似てる。あれやると一人で百人はやっつけそうな感じするもんな。でもな、どうせなるならコマンドーよりスケ番。

奥田 スケ番ですか。久しぶりにスケ番って言菓聞きましたわ。

高松 ヤンキーやないで。スケ番やで。

奥田 ヤンキーもあまり聞きませんけど、すんません、ヤンキーよりスケ番ってさっぱり分かりませんけど。

高松 ヤンキーはただのヤンキーやけど、スケ番は一本ぴしっと筋が通ってる。奥さんはいい素質持ってるから、スケ番の気分になったらすぐようなる。

奥田 筋の通ったワルですか?

高松 ちょっとちゃうけど、要は一般の人は「こうせないかん」ということをちゃんとすることが上達に結びつくと思うてるけど、実際はそれが邪魔をするやろ。

奥田 クラブを自在に操るのがゴルフやのに、こうせえ、ああせえいう変な宗教みたいなのにつかまったら、それができへんいうことですわね。

高松 うん。まっさらなジュニアに技術論を教えるようなもんで、かせを自分でつけてまう。

奥田 そういう意味でFさんはもっとスケ番になれいうことですわね。でも先生、それを別の言い方すると、家を建てるんでも、最新の設計施工できっちりした家やなしに、まずは縄文式の家を建てたらええやないかい、ということでええんですかね。

高松 縄文式の家?

奥田 はい。全部を完璧にしようとして木材を定規で細かく測らんでもええいうことです。人間は感性を持ってるから、ここの柱にはだいたいこのくらいの長さの木が必要とか、それくらい分かる。

高松 たしかに目分量でも縄文式の家なら十分できる。なるほど。縄文式の家を建てる気でゴルフせえか。それもええな。(福田さん「スケ番より家作りで例えてもらったほうがよう分かります」)

奥田 そうでしょう。自分のゴルフのことはさっぱり分からんのに、なんで福田さんのことは分かるんやろ。でも、僕がいくらアマチュアの人を手取り足取り教えても変わらないのに、先生が具体的なことをなんにも教えなくてもスウィングが激変する。その理由がよう分かりますゎ。こういう縄文式でいけみたいな言菜のほうがやっぱり効きますね。