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「シャローイング」一辺倒の風潮に待った! 本当に飛ばせるのは“1プレーン”だ<前編>

TEXT/Kosuke Suzuki
PHOTO/Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos
THANKS/平川CC

流行りのスウィング理論「シャローイング」は、バックスウィングの軌道よりもダウンスウィングの軌道がフラットになる“2プレーン”といえるが、浦大輔プロによると、バックスウィングとダウンスウィングが同じ軌道を通る“1プレーン”こそが基本であり、かつ最も飛ばせる打ち方だという。

解説/浦大輔

身長171センチで420ヤード飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√dgolf academyを主宰

シンプルだからこそ
最も
効率よく飛ばせる

GD 浦さんは常々「スウィングは1プレーンが理想」と言っていますよね。いま、シャローイングとか、軌道がループするようなスウィング理論が盛んですが、実際のところ、どうなんですか?

浦 とりあえず余計な理屈は置いておいて、シンプルに考えてください。クラブを振ってボールを打つのに、切り返しでループするゆがんだ軌道と、バックスウィングとダウンスウィングが同じ道を通る1プレーンと、どっちが効率いいと思いますか?

GD たしかに1プレーンのほうがシンプルですが、たとえば2プレーンのほうがパワーが出せるとか、そういうことはないですか?

浦 そんなことはないですよ。疑っているなら、壁にカナヅチでクギを打ちつける動きを想像してください。普通に真っすぐ引いて、同じ軌道で真っすぐ振り下ろしますよね。わざわざカナヅチをループさせてクギを打つ人はいません。強く、正確に叩くということを考えたら、理屈としてどちらが理想かというのは明白です。

クギを打つときは誰だって1プレーン

壁に横からクギを打ち込もうとしたら、カナヅチを真横に引いて、同じ軌道でそのまま真横から打ち込むのが自然で効率的。2プレーン理論は、カナヅチをわざわざ上に振り上げ、下に振り下ろしてからクギを打つようなもの

GD なるほど……。ではなぜ2プレーン理論が流行るのでしょう?

 基本的に2プレーン系の理論は、理想よりも現実と向き合ってスウィングをアレンジする過程で生まれた理論だと思ってください。たとえば切り返しでループさせてインサイドから下ろすのは、クラブが重くて扱いにくい時代にそれをスピーディに振り切るための方法論だったり、もともとカット軌道でスライスが多いアマチュアに向けた中和策だったり。もしくはバックスピン量の多いクラブで飛ばすために、低スピンの球を打つためのテクニックだったり。でもこれらも、基本的には理想としての1プレーン軌道を目指すなかでのアレンジなんだということを忘れないでください。

GD 浦さんから見て、理想の1プレーンスウィングというのは存在しますか?

浦 やっぱりモー・ノーマンですね。極端にハンドアップな構えから、本当にシンプルな1プレーンでスウィングする天才的ボールストライカー。PGAでは未勝利ですが、スウィングはサム・スニードやタイガー・ウッズらから絶賛され、「ドライバーで250ヤード先の橋を狙って通した」などの伝説的なエピソードがたくさんあります。

伝説のボールストライカー、モー・ノーマン
個性的だが、多くのトッププロが絶賛する超効率的スウィング。ハンドアップな構えから、上げた軌道と下ろす軌道が完全に一致する究極の1プレーンスウィングだ

GD なんだかブライソン・デシャンボーみたいなスウィングですね。

浦 そのとおり! 2人とも考えていることは一緒。いかにシンプルな軌道で振るかということに尽きると思います。全米プロで復活優勝したフィル・ミケルソンもきれいな1プレーンです。デシャンボーはドライビングディスタンス1位ですし、ミケルソンも50歳で驚くほど飛ぶ。彼らの強さと飛距離が1プレーンの効率のよさを証明していますよ。

B・デシャンボー

モー・ノーマンを彷彿とさせるハンドアップな構えから、余計な手の動きを排除したシンプルなスウィング

P・ミケルソン

50歳で全米オープンを制したミケルソンも、よく見ると1プレーン。ベテランながらよく飛ぶのも納得

2プレーン系の理論も
実は1プレーンを目指している

「2プレーンを説く理論の多くは、プレーヤーの現在のスウィングやクラブの特性などを考慮したうえで、1プレーンを目指しつつ折り合いをつけたひとつの妥協策なんです」(浦)

では、理想的な1プレーンを
身につけるにはどうすればいい?

>>後編へ続く

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より