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【吉田直樹のシャローイングレッスン】第3弾 力の方向は“横から上”【動画あり】

流行りの「シャローイング」を正しく理解し、モノにするためのシリーズ特集。第1弾では、シャローイングの現象について説明し、第2弾ではシャローイングを実践するうえで重要な2つの要素「シャットフェース」と「ハンドファースト」を解説。そして今回の第3弾では、シャローイングを完成させるもうひとつのキーワード「上向きの力」について説明してもらった。

PHOTO/Yasuo Masuda、Tadashi Anezaki、Blue Sky Photos THANKS/高室池GC

解説/吉田直樹
1978年生まれ。兵庫県出身。幼少期からアメリカで過ごし、世界の有名コーチの指導を受けた。現在は谷原秀人プロ、上井邦裕プロ、石川明日香プロのコーチを務める。兵庫県・芦屋で室内練習場「ラ・キンタ」主宰

●CONTENTS●
【第1弾】「シャローイング」は“する”ものではなく勝手に“なる”もの

【第2弾】シャローイングを極めるには「シャットフェース」が不可欠
【第3弾】力の方向は“横から上”が正解
【第4弾】“しゃがみ込む”動きを取り入れよう

力の方向は横から上が正解です

吉田 クラブは上から下に振り下ろすものだ、と考えているゴルファーはたくさんいると思います。

GD 昔からずっとそう言われてましたね。

吉田 でも、よく考えてみると、それはちょっとおかしいぞ、って気づくと思うんです。たとえば、ボウリングで考えるとわかりやすいんですが、もし上から下に力を使ったら、ほんのわずかなタイミングのズレで、レーンでバウンドしてしまうような投球になってしまいますよね。

GD そうですね。


吉田 ゴルフもボウリングと同じなんです。ターゲットは地面の下ではなく、地上にあるのですから、打ち出す方向に、つまり横から斜め上に向かって力を使うべきなんです。とくに、フェースを開閉させずに長いインパクトゾーンでボールをとらえるシャローイングでは、絶対に“横から上”が正解。いまPGAツアーで活躍している選手は、ひとりの例外もなく、この力の使い方で驚異的な飛距離を出しています。

「狙いを定めた方向に、正確に強いボールをリリースするには、上から下に力を使って腕を振り下ろすのではなく、腕を振り子のように使って、横から斜め上に向かって腕を振っていくはずです」(吉田)
「シャローイングによってシャローな軌道で下りてきたヘッドは、横から斜め上に向かって動くことでボールに最大限のパワーを伝えられます」

Drill
右手1本打ちで「横から上」の動きをつかむ

「8Iを右手に持ち、アプローチするようにオープンスタンスで構えます。ハンドファーストの形を保ったままボールを打ちます。これで、横から斜め上にクラブを振る感覚がつかめます」

ボールを運ぶ感覚を持つと
自然と「横から上」になる!

GD 横から上に向かって力を使う理論、言われてみるとそうなんですが、どういう感覚なんでしょうか。

吉田 プロがときどき口にする“インパクトでボールを運ぶ”感覚に近いと思います。

GD 「打つ」んじゃなくて「運ぶ」なんですね。

吉田 ボールを「打つ」というと、振り上げたクラブで上から叩きにいく感じになりやすいですよね。でも、ボールをフェースに乗せて「運ぶ」感覚と言われたら、インパクトよりも先を横から上に振っていきたくなりますよね。

GD なるほど。そのイメージは分かりやすいです。

吉田 スウィングのイメージを、「打つ」から「運ぶ」に変えるだけで、横から上に向かって力を使う感覚をつかみやすくなるんです。フォローのときにヘッドが通過していく道をイメージして、インパクトよりももっと先を振っていく感覚があるといいと思います。

Point
フォローのときのヘッドの通り道を通す

「ボールを運ぶイメージを持てば、右手の背屈もキープしやすく、フォローに向かって斜め上にクラブを振り抜きやすくなります。一方ボールを打つイメージだと、どうしても手を使って、クラブを上から振り下ろしたくなり、右手首の角度もほどけてしまいます」

Drill
体の真横のボールを8Iで打つ

「右手1本打ちに慣れてきたら、次はこのドリルです。この構えからボールを打つと、上から打ち込むことができません。クラブなりに振るだけで横から斜め上の軌道を体感できます」

そういえば「とんぼ」もこの打ち方をやっていた!

漫画「オーイ! とんぼ」の主人公も遊びのなかでこの打ち方を発見。シャローにしか振れないためダフらないのだが、なぜダフらないのかわからず、不思議がっていた

体を正しい順番で動かすことも
重要なポイント

吉田 シャローイングを完成させるために、もうひとつ大切なポイントがあります。

GD なんでしょうか。

吉田 キネティックチェーン、すなわち運動連鎖です。その人の最大のポテンシャルを引き出すためには、足、腰、体幹、腕、クラブの順に動かなければならないというものです。

GD 足から順番に動かしていくんですね。でも、頭では理解しても、実際にやろうとするとなかなか難しいですね。

吉田 そんな人には、この「フォースペダル」という練習器具がピッタリです。反発力があるので、地面反力を利用してヘッドスピードを上げる感覚もつかめます。食器を洗うスポンジやスポンジ製のボールなどでも代用できます。

GD どうやって使うんですか?

吉田 スウィングタイプに合わせて、右足または左足の下に置いて踏むんです。正しい順序で体を動かせるようになれば、シャローイングはまた一歩完成に近づきますよ。

「手打ちのアマチュアにとって、運動連鎖は大切なポイント。地面を踏んでスウィングすることで、下半身から動き出すコツがわかり、自分の最大限のポテンシャルを引き出すことが可能になります」(吉田)

左にスウェイしやすい人は右足でペダルを踏む

「スウィング中にひざが左に流れたり、右ひざが前に出て左に突っ込んでしまう人は、右足でペダルを踏んでください。切り返しでガニ股になるのがポイントです」

左腰が引ける人は左足でペダルを踏む

「上体の力に頼りすぎて、左腰が引けてしまう人は、左足でペダルを踏みます。フィニッシュでしっかりと左足に乗り、左サイドが一直線になればOK」

上に向かって振る!」という意識が大事

吉田 3回にわたってシャローイングの謎を解いてきましたが、上に向かって振ることができて、はじめてシャローイングが完成します。

GD というと?

吉田 体をこう動かそう、という意識がなければ、人は思ったとおりに動けません。上に向かって振る意識があれば、シャローに下りてきたクラブをシャットフェースのままハンドファーストに振り抜けるんです。つまり、シャローイングを完成させる究極のキーワードが、この“上に向かって振れ!”なんです。

Drill
ロープ素振りで上向きに振る感覚を染み込ませる

「ロープを連続で振ることによって、上に向かって振る感覚を体に覚え込ませることができます。トップは腰の高さまで、フィニッシュは大きく、でOKです」

週刊ゴルフダイジェスト2021年6月22日号より

吉田直樹のシャローイングレッスン
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【第4弾】“しゃがみ込む”動きを取り入れよう