【寺西明の急がば回るな!】Vol.5「球の回転に敏感になれ」
寺西明「急がば回るな」
30歳からゴルフを始め、シニアツアーの賞金王にもなった寺西明が、自身の失敗をもとに、スクラッチプレーヤーを目指す全てのゴルファーへ「最短で72を出す」ためのメソッドを伝えていく。今回は自身が長く続ける練習法について語る。
TEXT/Kiyoshi Ogiku PHOTO/Yasuo Masuda
前回、72で回るためには、さまざまな球筋を打ち分ける練習が必要だという話をしました。
ただ、それはショットだけではなくパットも同じだと、ボクは考えています。 おそらくほとんどの人が、パターをただ漠然と真っすぐ打とうとしていると思います。
でも、パターマットで同じ2mを打つにしても、転がりやスピード、当たり方をイメージしながら、一球一球違う球でカップに入れるという練習をしてもらいたいのです。
たとえば、フックスピンをイメージしてインサイドアウトに打つ、スライススピンをイメージしてカットに打つ、アッパーブローで順回転をかけるように打つ、ダウンブローで球をつぶして打つ、芯よりもトウ寄りで打つ、ヒール寄りで打つ、芯の上で打つ、下で打つ……などなど。
とにかく、思いつく限りいろいろやって、そのときどんな打感になり、どんなスピードで打ち出され、どんな転がりになるのかというデータを、自分のなかに蓄積していくのです。
この練習にはさまざまな意味があります。何よりこういうことをやっている人と、やっていない人では、球の回転に対する感度に大きな差が出てくるのです。
たとえば、一見真っすぐ転がった球でも、打点や軌道や入射角度によって、打ち出しでほんの少し球がねじれることがあります。
そんなとき、一緒に練習しているプロに、「今のは少しスライス回転がかかったね」「フック回転が入ったね」と言ってみるのですが、なかなか理解されません。
そんな違いに気づけるのは、ボクが昔ビリヤードの選手だったことも大きな理由なのですが、パターでさまざまな球を打ち分ける練習をしてきたからなのです。
そして、それくらい球の回転に敏感だからこそ、パッティングが得意になれたし、30歳という遅いスタートからでも賞金王になれたのだと、ボクは考えています。

ミスの原因もすぐにわかる
そんな、プロでも理解できない回転などわからなくてもいいと考える人がいるかもしれません。
でも、球の打ち出し、スピード、回転をコントロールして球を目標に近づけ、1打でも少なく回ったプレーヤーが勝つのがゴルフという競技です。
そのためには、球の回転に敏感になって困ることはないのです。
なぜミスをしたのかが明確になる。
また、こういう練習をしていると、本当にいい転がりがどういうものかがわかるようになるし、自分のミスの理由にも気づけるようになります。
カップを外したとき、「なんで外れたんだろう?」ではなく、「あぁ、今のはこんな当たり方をしたから外れたんだ」ということが、瞬時にわかる。
そうしてミスの原因がわかるようになればすぐに対策も立てられるし、同じミスを繰り返さなくなるわけです。
また、さまざまな球を打っていると、一見ミスのように感じるパットが実戦で使えることにも気づくはずです。
たとえば、ボクはフックラインを打つときは、球をいつもより右に置き、トウ寄りで打つことがあります。
そうすると、ミスをしても球が左に出ることはないので、カップを外す確率を下げられるのです(逆に、スライスラインは左に置いてヒール寄りで打つ)。
他にも、急な上りはアッパーに打って順回転をかけることもあるし、急な下りはわざと芯を外して球の勢いを殺すこともある。
そういう技も、普段からいろいろな球を打っていれば、自信を持って実戦で使えるというわけです。 このように、さまざまな球を打つ練習をしていると、真っすぐ打っているだけでは気づかないものに気づくことができます。
ただ、注意したいのは、この練習は一度や二度やっただけでは効果がないということです。
少しずつでいいから、毎日ずっと続けていく。
そうすることで、この練習の本当の大切さに気づくことができるし、ボールをコントロールしてイメージどおりの球を打つという感覚が、確実に身に付いてくるのです。

解説/寺西明
30歳から本格的にゴルフを始め2015年のプロテストで一発合格。20年には日本シニアオープンを制し、シニアツアーの賞金王となった異色の経歴を持つプロ。自ら起業した製造業の社長を務める
月刊ゴルフダイジェスト2026年10月号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック




















