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【アイアンで狙った距離を打つ方法】<前編>「ボールを押せていれば、ショートすることはまずありません」

スコアの生命線を握るアイアンに求められるのは「強い球」だ。上田桃子を筆頭に多くの女子プロを育てた辻村明志コーチは「ボールを押せるかがカギ」と語る。教え子・鈴木姫琉と一緒に強い球を打つコツを教えてもらった。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/鎌ヶ谷CC

辻村明志 つじむら・はるゆき。1975年、福岡県生まれ。日大ゴルフ部出身。上田桃子、小祝さくら、吉田優利らを育てたツアープロコーチ。プロ転向後、アジアンツアーを転戦。江連忠にレッスンの基礎を教わる。王貞治氏を育てた故・荒川博氏を師と仰ぎ、その指導法を学ぶ。現在、ツアールーキーの藤本愛菜、千田萌花を教えている。2023年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

鈴木姫琉 すずき・ひめる。2006年生まれ、東京都出身。麗澤高校卒。今季から辻村コーチの指導を受ける。今年のプロテストに挑戦する

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アイアンでショートは
どこかでミスしている

多くの女子プロを育ててきた辻村明志コーチは次のように語る。

「教え子たちに徹底させているのは、自分が思ったキャリーよりショートしないことです。ショートするということは、どこかにミスがあったことになります。タイミングがズレたのか? 当たりが薄かったのか? さまざまな理由でボールにエネルギーが伝わらず、ショートしてしまうんです。プロの世界ではオーバーはいいですけど、ショートはダメなんです。今の女子ツアーはバーディ合戦ですから、ピンをデッドに狙えない選手はなかなか勝てません。

ところがアマチュアは逆ですよね。ほとんどのショットがショートするはずです。その要因がボールを押せているかどうかです。強い球が打てればショートはしませんし、弾道が安定しますから、グリーンをピンポイントで狙っていけるようになります」

ボールを押すインパクトとは、ヘッドスピードが速いということなのか?

「アマチュアは、飛距離はヘッドスピードだと考えます。間違いではないですが、それだけではありません。(上田)桃子は、ヘッドスピードは速くないですが、圧の伝え方が上手いのでボールが飛びます。プロの場合、オーバーといっても数ヤードです。自分のキャリーを上回るゴルフができるほど、伸びしろは大きいです。思った距離が打てることは強い球の証しなんです」

【強い球とは?】

全エネルギーが伝わった球のこと

「強い球とは自分が持つエネルギーすべてが伝わった球のことです。その目安となるのがキャリーです。弱い球は飛ばないですが、強さがあれば飛びます。プロはほぼショートしませんからね」(辻村コーチ・以下同)

メリット1 【球の質】
強い球ほどボールは飛ぶ

「強い球はロフトが立ち、弱い球はロフトが寝ます。アマチュアはすくい打ちが多くロフトが寝やすいです。またロフトを立てようとハンドファーストを強めるとフェースは開きます」


メリット2【キャリー】
プロはショートしないアマチュアは届かない

「プロはショートしませんが、アマチュアはほぼショートするはずです。これがボールを押せているか押せていないかの違いです。思ったキャリーが出せていれば、ピンを積極的に狙っていけます」

メリット3 【方向性】
ボールが押せると狙ったラインに打ち出せる


「アイアンで飛ばそうとするとボールを上げようとしたり(前傾が起きる)、フェースターン(手首を返す)しがちです。これではボールは押せません。ロフトが立ったスクエアなインパクトだからこそ、ボールが押せてターゲットに打ち出せるんです」

メリット4 【球筋】
スクエアなインパクトなら曲がらない


「ボールを押せるインパクトは、ターゲットに対してフェース面がスクエアなインパクトでもあります。曲がるリスクは少なくなり、ドローでもフェードでも球筋が安定していきます」

押す=圧に耐えられるアドレスが必要

ここからは「強い球」を手に入れるためのレッスンだ。

「ボールを押すためには、まず押せるグリップと押せる構え方が必要になります。選手たちにいろいろアドバイスはしますが、最終的にはボールにどれだけ圧をかけられるか? この一点のみです。その意味でも圧をかけられるアドレスは不可欠と言えます」(辻村)

具体的には、どんなグリップや構え方になるのか?

「グリップでいえば、左手はウィークよりはストロングのほうが合います。右手は下から握るより、少し上めから持つとパワーが出やすいはずです。エネルギーが逃げない、圧をかけやすいグリップを意識することが大事です。

またアドレスについてもボールに圧を加えたいわけですからセンターよりはやや左軸がよく、左内ももの筋肉が締まる感じが理想的です」

押せるグリップ

「左手はストロングでショートサムで握ります。そうすると圧がかけやすいです。左手のストロングに合わせて右手を下から持つと手首がリリースしやすくなり、ボールが押せません。右手は少し上めから右手首に角度をつけつつ握ります」

押せないグリップ

左親指が伸びると押せないグリップに。右親指を伸ばすと手首も伸びやすい

【アドレス】センターよりやや左軸を意識

左内ももを締めた左軸なら押せる

「アドレスではセンター軸だと押しづらいですし、右軸では絶対に押せません。左内ももの筋肉がキュッと締まるようにするとやや左軸の、押せる構え方が作れます」

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週刊ゴルフダイジェスト2026年7月14日号より