Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 体重移動ではなく“背中のうねり”で飛ばす!? ゴルフ版「バレルスウィング」の秘密に迫る<後編>

体重移動ではなく“背中のうねり”で飛ばす!? ゴルフ版「バレルスウィング」の秘密に迫る<後編>

野球界では10年ほど前からトレンドになっている「バレルスウィング」だが、実はゴルフにも応用できると糸山実コーチは言う。PGAツアーの飛ばし屋たちに共通して見られる動きだというが、どうすれば身に付くのか? 引き続き話を聞いていこう。

PHOTO/Hiroaki Arihara、Getty Images THANKS/プレミアムゴルフスタジオ代官山

解説/糸山実

アマチュア指導の傍ら、練習ギアの開発なども行う。野球やバレーボールの選手だった経験を生かし効率的に飛ばせる方法を模索、近年ではバレルスウィング関連の発信に力を入れる

体験者/植村啓太

ツアープロだけでなく、アマチュアへのわかりやすいレッスンも行うプロコーチ。国内外問わず日々新しい情報をキャッチアップしており、数カ月前に糸山コーチの投稿を発見しコンタクトを取った


>>前編はこちら

ヘッドが自然とスクエアになる

GD 右ひじを体に近くし、左ひじを上側に向けると、インパクトで思い切りフェースが開いてしまうと思うのですが……。

糸山 それは棒立ちの状態で行っているからです。両肩を結んだラインが垂直になるくらい上半身を思い切り倒してみてください。そうすると腰の前にスペースができるはずです。そこに右ひじを持ってくるとフェースはちゃんとスクエアに返ってきます。

植村 ニーマンの倒れ込みの角度はすごいですね。そして腰の折れ目のところにちょうど右ひじが入るスペースができています。

糸山 右ひじが体に近いことでパワーを逃がさずにクラブに伝えられます。また、右肩がボールに向かって上から押さえ込むような形になり、これも力を漏れなく伝えるのに重要な役割を果たしています。

植村 これは苦戦しました。だって今までこんなに深く前傾を倒したことがないですから(笑)。でも上半身を深く倒すほど、フェースがスクエアに返ってきやすくなります。

糸山 それがボールにエネルギーを効率よく伝えられる形なんです。


お手本スウィング①ホアキン・ニーマン
目線が90度になるくらい上半身を倒す

インパクトでの前傾角度の深さはPGAツアー随一。頭は地面と平行になるほど倒れ両肩のラインもほぼ垂直にまで立っている。これにより右腰の前にスペースができ、そこに右ひじを通すように近づけているのが特徴

Point 1
左の尻を背中側に引っ張り上げる

腰を回転させる際、左腰を背中側に引っ張り上げるように動かすと、ニーマンのように上半身を倒したインパクトを作りやすい

Point 2
前傾角度を深くすると
フェースがスクエアに戻ってくる

前編で教わった肘の動きを、前傾が起き上がった状態で行うと、手元が浮いてフェースが開く。パッティング時のように、前傾を深くすることで手元が低くなり、クラブヘッドがスクエアな状態になる

右肩の付け根が
あごの下に向かう

GD 「曲がりづらくなるひじの使い方」や「力が伝わりやすい前傾角度」を教えてもらいましたが、そもそもバレルスウィングの飛ばしのエネルギーはどこにあるんでしょうか?

糸山 ズバリ背中です。切り返しで右の肩甲骨をグワンと顔の下に持ってくるように動かします。

植村 僕の中では、体の内側でうねりが発生しているような感覚でした。

糸山 そう。手とか下半身じゃないんですよ。だから右への体重移動とか、トップを高く上げるという意識は全く必要ありません。体の内側の筋肉を動かしてうねりを発生させるというのはとても良いイメージだと思います。アマチュアの人は普段使っている手にもっとも意識が行きやすいので、背中くらい真逆を意識するとちょうどよいと思います。

お手本スウィング②スコッティ・シェフラー
切り返しのきっかけは右の肩甲骨

バレルスウィングでは右の肩甲骨が切り返しのきっかけになる。背中側にある右腕の付け根を顔の下に持ってくるようなイメージで動かすと、上からボールに圧を加えるような力強いダウンスウィングになる

Point 1
両腕が胸の上に乗るようにセット

アドレスの際に二の腕が胸の上に乗るようにして構えると、切り返し以降で右腕が動かしやすくなる。わきを締めるような意識で構えてしまうと、切り返しの際に右わきが窮屈になり背中側のうねりを使えない

Point 2
背中に意識を集中させる

「切り返しは背中から動き始める」くらいの意識を持つとよい。ひじの使い方ばかりに気を取られていると、手元が浮いてフェースが開きやすくなる

右サイドに乗る意識は要らない

植村 一般的には下半身リードだと言われますが、バレルスウィングではむしろ下半身を動かさないほうがいいんじゃないかとも思います。

糸山 そうですね。特にテークバックでは右と左で引っ張り合う状態を作りたいので、ファウラーのようにガニ股になるくらい下半身が踏ん張る形でもよいかもしれません。

植村 右ひざが流れないようにするのがポイントだと思います。

お手本スウィング③リッキー・ファウラー
ひざの位置を変えずに始動する

バレルスウィングは、左右の体重移動ではなく体の中で上下のうねりを使う。テークバックで両ひざを外側に踏ん張って下半身をどっしりさせるガニ股のイメージを持つと、上半身でうねる動きが作りやすい

Point
正拳突きのように両手で引っ張り合う

うねりを作り出すには体の右側と左側で引っ張り合うように逆に動かす必要がある。地面に向かって正拳突きをするように繰り返し動かし、上半身がうねる感覚を体感してみよう

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号より