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曲がらず飛ばせる! PGAツアーの主流はコレ ゴルフ版「バレルスウィング」の秘密に迫る<前編>

今、野球界で多くの選手が取り入れている「バレルスウィング」。実は、PGAツアーのトッププロも、同じような動きで飛ばしていた。曲がらずに飛距離を稼げるゴルフ版バレルスウィングとはいったいどんなものなのか?

PHOTO/Hiroaki Arihara、Getty Images THANKS/プレミアムゴルフスタジオ代官山


解説/糸山実

アマチュア指導の傍ら、練習ギアの開発なども行う。野球やバレーボールの選手だった経験を生かし効率的に飛ばせる方法を模索、近年ではバレルスウィング関連の発信に力を入れる

体験者/植村啓太

ツアープロだけでなく、アマチュアへのわかりやすいレッスンも行うプロコーチ。国内外問わず日々新しい情報をキャッチアップしており、数カ月前に糸山コーチの投稿を発見しコンタクトを取った


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野球の動きをヒントに
ゴルフにも応用

GD 糸山コーチはSNSを中心に、積極的にバレルスウィングについての発信を行っていますが、何がきっかけだったのでしょうか。

糸山 私自身、選手として野球をプレーしており、ゴルフコーチになった今でも大リーグを中心に最新のスウィング理論を学んでいます。そのなかで10年ほど前からトレンドになっている「バレルスウィング」をゴルフに応用できないのか、研究をしながら発信しています。

大リーグでは長打の確率が高くなる打法としてバレルスウィングがトレンドになっている。2年通算50本塁打以上を記録した大谷翔平はその代名詞的な存在

GD PGAの選手でもバレルスウィングを取り入れた動きが見られるんですか?

糸山 ホアキン・ニーマンのように右ひじが体に近くなるため、ボールに力を伝えやすいという利点があります。このような形のインパクトの選手が増えてきていますね。

GD 前傾角度が深くてパットのような動きに見えます。

糸山 ヘッドもパッティングのように動きます。つまりフェースの開閉が少なく、インパクトをゾーンでとらえられるので、打ち出し方向が安定しやすい。ほかにも体の正面からクラブが外れないなど、ミスに強い要素が多いのがバレルスウィングの特徴です。

“バレル”って何?

バレル(barrel)とは樽の意。スウィング中の人間を樽に見立てて、その樽から出ないように左右への動きが少ないのが特徴。元は野球において使われ始めた用語で、バットのヘッドが下から上に動くため「縦振り」と同義。打球角度がつきやすく長打が出やすいことや、速球への対応に優れるなど利点があるとされる

バレルスウィングのメリット

●曲がらない
フェースローテーションが少ないため、打ち出し方向が安定する。パットのようにクラブヘッドが動くのでインパクトが「点で」はなく「ゾーン」になる

●力が伝わりやすい
力を伝える右腕が体に近いことで、上半身で生まれたエネルギーを高効率でボールに伝えることができる。そのため「当たり負け」をしない

●振り遅れない
常に手元と上半身が近い位置にあるため体の正面からクラブが外れにくく、下半身リードで手元が下りてこないという「振り遅れ」の状態になりにくい

点ではなくゾーンでとらえる

GD 古今東西のスウィング理論に精通する植村コーチもバレルスウィングに興味津々だと聞きました。

植村 いやー、そうなんですよ。糸山“先生”と呼ばせてもらっています。僕のスクールのコーチがSNSでたまたま見つけ、「なんだこりゃ!」と。すぐに連絡を取りました。

糸山 一番驚いていたのは腕の使い方だよね。でも、数回レクチャーしたらすぐできちゃうんだからさすがだよ。

植村 一生懸命に力を出して振ってないのにヘッドスピードが上がってビックリしてます。インパクトが点じゃなくゾーンになるからフェースの方向性も安定しやすい。ただ、最初に教わった両ひじの向きは「ウソでしょ?」って感じでした。

糸山 右ひじは体の近く、左ひじは上に向けるやつね。

植村 だって先生の言うとおりにやったらヘッドがひっくり返っちゃって、バックフェースでボール打つ形になっちゃったんですから。

糸山 それでOKなのよ。このフェースを手で返すんじゃなくて、前傾角度を深くすることでひっくり返すのがポイントになるんだよね。

Point 1
片手素振りで右腕を回外させる

右ひじを体に近い位置でキープするには、右前腕を右方向に回す必要がある。ダウンスウィングをイメージしながら右手の甲を目標方向に向けるように回す

Point 2
左手だけでボールを速く投げる

バレルスウィングでは左ひじが上を向くのが正しい。左手にボールを持って目標方向に速く投げてみよう。左手のひらが目標方向を向いていればOK

>>後編はこちら

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号より