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【“ミスした後”のマネジメント】<後編>バンカー越え、林の中、傾斜地……ケガを最小限で食い止めるには?

ティーショットで思い切りチョロしたりアプローチで、まさかのシャンク……。突発的なミスは数あれど、大切なことは「その次の対処法です」と村上貢プロ。後半では、さらに様々なシチュエーションでの対処法を教わった。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/葉山国際CC

解説/村上貢 

変化に富んだ36ホールを持つ葉山国際CCの所属プロとして、日々ラウンドレッスンを行う。実地に基づいた的確なコースマネジメントに定評があり、生徒は初心者からトップアマまで幅広い。PGAトーナメントプロ資格所持

>>前編はこちら

CASE 2 大ダフリでバンカー手前
打ち方よりも大切なのは“状況把握”

スウィングスピードが落ちるアプローチは芝の影響が大きいと村上プロ。

「アプローチでは、時間が許す限りライの状態を確認したいですが、得意でない人ほど、この確認作業が雑。同じ振り幅でもラフに浮いているか沈んでいるか、順目か逆目か、芝の強さや密度によって飛ぶ距離も飛び方も変わります。場合によって番手を替える必要もありますし、1本でやるなら打ち方を変える必要もある。傾斜も関係しますし、それこそ数え切れないくらい選択肢が出てくるわけです」

ライの確認は何を重視すればよいのか?

「慣れていないと短時間ですべての状況を把握することは難しいですが、ボールと地面の間に“刃”が入るスペースがあるかだけは絶対に確認しておきたいところ。隙間さえあればミスする確率は低いので、最悪のケースは避けられます。ただ飛び方や飛距離は変わるので、ここは覚えるしかありません。ミスは仕方ないですが、このライでどう飛んだかを蓄積することはとても重要で、これを積み重ねることが上達につながるのです」

アプローチは打ち方より状況判断と経験だと村上プロ。慣れないうちは安全策に徹するのがよさそうだ。

球が浮いていても沈んでいても絶対に“奥”狙い

バンカー越えのアプローチとなった場合、ピン位置が手前でも奥でも、狙うべきは“バンカーから遠い場所”。「ラフは当然抵抗が増えるので、キャリー距離が落ちることも見越して多少大きめに打つ必要があります」


ライによって“飛び方”が変わる
「平坦なフェアウェイからの距離感は、ある程度の物差しは持っているはずですが、状況が変わると“なんとなく”になりがち。そこで緩みや力みが出るのです」
●球が飛ぶケース
順目、地面が硬い、芝が短い、芝の抵抗が少ない、左足下がり
●球が飛ばないケース
逆目、球が沈んでいる、芝の抵抗が大きい、左足上がり

もう1ポイント
飛ぶライはウィーク
飛ばなそうなときはストロングに握る

器用に振り方や振り幅を調整するのは簡単ではないことから、村上プロが勧めるのはこちらの方法。「左手の握りを変えるだけで飛距離は変わります。ウィークに握るとフワリと上がって飛距離が落ち、ストロングは前に飛ぶ力が強くなります」

CASE 3 ボールが斜面に!
4つの立ち方で「傾斜を消す」

斜面からのショットはスウィングを変えず、セットアップだけで対応する。「上体を前後左右に傾けることで斜面に対応します。傾斜に合わせて上体を傾けることで、言ってみれば“傾斜を無効化”します」

左足下がり
背骨を左に傾ける

左足下がりの傾斜に合わせ、背骨を左に傾ける。左足を少し前に出し、両ひざを結んだ線は目標を向くように

左足上がり
背骨を右に傾ける

左足上がりでは、傾斜に合わせて背骨を右に傾ける。左足を若干引き、両ひざを結んだ線が目標を向くようにする

つま先下がり
前傾を少しだけ深める

つま先下がりでは前傾を若干深める。球がつかまりにくくなるため左を向くのが定説だが、村上プロによると、体が止まり腕が走ることから球はつかまりやすいので、目標を向いて良いと言う

つま先上がり
傾斜に合わせて前傾を起こす

つま先上がりの傾斜に合わせて前傾を起こす。こちらは顕著に球がつかまりやすくなることから、右を向くか、若干オープンに構えると良い

CASE 4 林の中
UT、7I、9Iの3本で対応

「まず少しでもグリーンへ近づけるルートを探し、ダメなら横を探す。見落としてはいけないのが上の枝や地面に出た根などで、これらに合わせ番手を替えます」

上方の枝が邪魔
UTで低く打ち出す

球を上げたくないときだけでなく、特に上げる必要がないときはUT。小さい振り幅なのでミスも少なく、上手く打てる確率も高い。「ただし、地面に出た根だけは気を付けてください」

ベアグラウンド
9番アイアンでロフトなりに

「芝のないベアグラウンドは、ヘッドが深く入りすぎたり、下をくぐることがないため、案外簡単だったりします。ただしボールは上がりにくく、自分で上げにいくとミスになるので、ロフトの寝た9番を選ぶと良いです」

7番アイアンはオールマイティに使える

ある程度の球の高さを確保でき、かつ上がりすぎないことから、一番のおすすめは7番アイアン。「ウェッジを持つ人も多いですが、ミスを考えると振り幅は小さいにこしたことはないです」

CASE 5 グリーン脇の逆目
フェースをかぶせてイン-アウトに振る

最後に、見落としやすい落とし穴的状況があると言う。

「グリーンそばのラフやちょっと長い芝の花道などは楽勝と思いきや、逆目が大きく影響します。こういうときはストロングに握り、フェースを左に向け、イン-アウトに振ると良いです」

フェースをかぶせ、フックを打つイメージ。左手をストロングに握ると、より小さい振り幅で距離を出しやすくなる

週刊ゴルフダイジェスト2024年12月3日号より