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【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.37 「経験を生かさない」ゴルフダイジェストWEB

「経験をもとに計算するから失敗する。ただ認知すればあとは勝手になにかする」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第三十七話。

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

奥田 たとえば20ヤードのアプローチが残ってそこから寄せる場合に、過去に同じような場所から打った経験をもとに、距離感やフィーリングを出そうとする人がいますけど、これは実はあかんことなんですよね。

高松 当たり前やがな。そういうのを世間ではフィードバックいうんやろ。オレからしたら何をフィードバックするっちゅうねんと思うわ。そこから打つの初めてちゃうんかい。

20ヤードのアプローチ。以前に寄せた「似た状況」に頼る? 頼らない?

奥田 ただ状況が似てるだけで、まったく同じではないですからね。

高松 そうそう。まず間違いなくバージンのはずや。

奥田 ただ、それがわかっていても、ついつい自分の経験をフィードバックしようとしてしまう時があるんですわ。

フィードバックしようとしてしまう時もある

高松 奥ちゃんでもあるの?

奥田 ええ。たとえば上りのスライスラインで転がせる状況としたら、仮に6番アイアンで行こうかとなりますわね。

高松 それでええやん。

奥田 ただ、自分の経験上、6番やとちょっと強めに入るとピンをオーバーしやすいなとか、それを嫌がると当たりが薄くなるなとか、そういうことが頭に浮かぶんです。

高松 それは1回打ってからの話やろ。まず打っても、もしそこから2回目打つ機会があったら考えればいいんちゃうの。いくら似た状況からアプローチしたことがあっても、そこから打つのは初めてなんやから、そんなデータなんて役に立たんやろ。

奥田 そしたら、ここはグリーンが硬そうやなとか、下からでも走りそうやというような、自分が感じたことはどう処理すればええんですか?

高松 そう自分で感じたんなら、それが一番確かなデータやがな。ただそれを認知したらええねん。

奥田 なるほどただ認知すればそれでいいわけですね。その先に何かを生むのがあかんわけで。

高松 そこが一番大きな話。経験からフィードバックすると、頭の中で計算が始まるやろ。速いとか遅いとか、どっちに曲がるとか、そういうことをただ認知したらそれでええの。その先に計算や作為が入ると失敗する。

奥田 なるほど。滑りやすい下り坂を下りるときは、みな自然に滑らないように歩きますわね。別に計算なんてしていない。それと同じことで、ただ認知したら自分で勝手になんかしよるいうことですか。

高松 そうそう。認知した時点でOKなんよ。だって、直前のホールでまったく同じようなアプローチしてても、失敗する人は結構おるやろ。なんや、さっきのアプローチのほうが上手かったやんいうて。それでその人は何をフィードバックしたんやっちゅうことよ。

ただ状況を認知するだけでええねん

奥田 以前、トーナメントでえらいグリーンが速かったいう話をしたら、先生が「そしたら日本で一番遅いグリーンやという気でパッティングせないかん」と言われました。それも同じことですね。

高松 だって速いいうことはもうわかってる話やから、それだけでええねん。そこから先に頭の中で何かを生んだらあかんから。

奥田 こないだも大雨の時に、バンカー内のカジュアルからドロップしたら、目玉でしかもバンカーのアゴ。ピンは下り斜面に切ってあるし、こんなもんもうダボでもトリでもなんでも一緒や思うて打ったら、それが入りましたから。

高松 そんなもん経験もフィードバックも関係ないやろ。それより開き直りみたいなもののほうが実はよっぽど強いわ。

【通勤GD・今日のことば】フィードバックはいらん。認知するだけでええんよ

月刊GDより