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【マスターたちに学ぶアプローチ上達法】<後編>打ち方よりも大事なのは「回転軸」と「リズム」

今年、マスターズを初観戦したプロコーチの辻村明志が、マスターたちのアプローチ練習にヒントを得て、アプローチ上達において大切なことをレクチャー。

PHOTO/Blue Sky Photos ILLUST/Hiroshi Matsushima

辻村明志 上田桃子や吉田優利、渋野日向子など最強女子プロ軍団を率いつつ、有望なジュニア選手も指導。オーガスタ女子アマの決勝ラウンドに進出した六車日那乃も門下生の1人。2023年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

>>前編はこちら

回転軸の中心だけは
徹底的に意識

辻村 いかにランダムな練習が効果的といっても、基本は変わりません。特に球筋や打ち方を変えるとアマチュアの方は“回転軸の中心”がおろそかになりがちですが、どんな場面でもココだけは絶対に変えてはいけません。

――球の高低により回転軸の中心は変わりますよね?

辻村 はい。球を上げたいときは右、低く打ち出したいときは左寄りになりますが、最初に設定した軸を動かしてはいけないということです。

――なるほど。基本の位置の目安はありますか?

辻村 人によって違いはありますが、だいたい左太もも内側が基準になりますね。まずアドレスで肩、骨盤、ひざ、足をスクエアに構え、お腹を締めるように骨盤を立てて前傾します。そのうえで回転軸を意識して、ここをズラすことなく回ることで、再現性の高いアプローチができます。打ち方を変えるとき、意外と忘れがちな軸。だからこそ強くイメージしておきたい


「基本は左太もも内側。ここを中心に回ります」

回転軸の中心は、人によっても打ちたい球によっても変わってくる。「目安としては、球を上げたいときは右寄り、低く打ち出したいときは左寄り。大事なのは一度設定した軸を動かさないこと!」

どんな状況でも
リズムは不変

軸が決まったら、次はリズム。こちらも打ち方や球筋にかかわらず、不変の要素だ。

辻村 特にアプローチにおいて大切なのが“リズムとテンポ”です。私はよく教え子たちに『“イチ・ニー・サン”のリズムで打ちなさい』と言いますが、リズムとテンポを一定にすることでスピードやタッチが安定するうえ、アプローチで絶対に避けたい緩みや力みといったミスが出る心配もなくなります。練習場で久常涼選手を見たのですが、アドレスに入って打つまでがすごく短いんです。アドレスに入ってから止まっている時間が長いとリズムを作りにくくなりますが、久常選手のように構えてからよどみなく動くことができれば、リズムは安定しやすいはずですよ。

――ほかに注意点は?

辻村 リズムやテンポを意識するとき、『サン』をインパクトにしてはいけないということです。アプローチが苦手な方を見ていると、インパクトを終着点にしているケースが多いですが、これではインパクトで力みや緩みといったミスが起こりがちです。あくまでも終着点の『サン』はフィニッシュなのです。

「サン」はインパクトではなくフィニッシュ

インパクトを終点に設定すると、手先で調整してしまい、力みや緩みといったエラーが起こりがち。「あくまでも、終点は振り抜いた後。インパクトは無視するくらいが一番良いです」

アプローチが安定する
とっておきドリル

軸とリズムができたら、最後にもう1ポイント。

辻村 頭の上すれすれに“天井”をイメージし、そこに頭をつけたまま回ってください。これによりヘッドの通る道が上下にズレにくくなり、ダフリ、トップといった打点ミスが減ります。

Drill
“天井”に頭をつけたまま回るイメージ

アドレスした後、頭にピッタリくっついた天井をイメージ。スウィング中、その天井に頭をつけたまま回ることを心がけると上下動が起こりづらいという

天井をイメージしたら、そこから頭が出ても下に行ってもダメ。「打点の上下ミスを減らすために、よく前傾の維持が指摘されますが、それより意識しやすいはずです」

もう1ポイント
「アプローチが上手い人は重心が低い!」

「アプローチだけでなくパッティングでも言えますが、重心が低いと回転が安定するので打点のミスなども起こりにくい。松山選手のそれは理想形の1つですね」

週刊ゴルフダイジェスト2024年5月21日号より