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【マスターたちに学ぶアプローチ上達法】<前編>“ランダム打ち”こそ最強の練習法だ!

今年、初めてマスターズを訪れたプロコーチの辻村明志が、最も感銘を受けたのが、毎回異なる目標を狙うアプローチ練習だった。我々アマチュアにも真似できる、マスターたちの練習エッセンスをいただこう。

PHOTO/Blue Sky Photos ILLUST/Hiroshi Matsushima

辻村明志 上田桃子や吉田優利、渋野日向子など最強女子プロ軍団を率いつつ、有望なジュニア選手も指導。オーガスタ女子アマの決勝ラウンドに進出した六車日那乃も門下生の1人。2023年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

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ランダム打ちで
対応力が上がる

初めてのマスターズ観戦となった辻村は、意外にも「プロコーチとしての血が騒いだのは練習場だった」そう。

――なかでもアプローチ場で深〜くうなずきながら見ていましたが、その理由は?

辻村 多くの選手が同じ場所からさまざまな目標を狙ったり、1球ごとに打つ位置やライを変えていましたよね。オーガスタはグリーン周りの起伏が激しく、技術の多彩さが求められます。だからこそ、あらゆる状況を想定して1球1球違う球を打つ練習に時間をかけていたのでしょう。

――対応力とイメージ力が培われるということですか。

辻村 はい。多くの選手が1球ごとにフェース面を綺麗にしていました。これは毎回スピン量まで見ている証拠で、それだけ実戦に即した練習をしているということ。対するアマチュアは、同じ場所を何度も狙う反復練習に終始するケースが多いと思います。もちろんこれはこれで再現性を高めるため必要ではありますが、対応力を高める練習にも時間を割くべき。よく『アプローチは遊びながら上達する』と言いますが、遊ぶようにいろんな球を打つことで実戦力を磨いてほしいですね。

「ホアキン・ニーマンの練習なんて、まるで“遊び”です」(辻村)

ホアキン・ニーマンは22年にLIVへ移籍したため、最近の詳細なスタッツは残されていないが、21年までのグリーン周りの貢献度は常に10位以内。そんな名手も1球打つごとに場所を変え、低い球や高い球、スピンの強弱などを毎回打ち分けていた。この日のランダム練は、キャリー9 : ラン1のロブショットで締め

マットの練習場でも
対応力は磨ける

とはいえ米国ゴルファーが状況対応力や観察眼に優れている理由は、環境によるところが大きい。日本で芝から練習できる環境は少なく実際ランダム練をすることは難しいが、マットの練習場でも十分に近いことはできるという。

辻村 たとえば30〜50ヤードくらいの地点にピンフラッグやカゴがあるところは多いですよね。そういった場所で1球1球狙いを変えて打つだけでも対応力は高まります。ここで大切なのは、必ず1球ごとにボール後方から目標を見てターゲットラインをイメージし、そこに対して構えること。これはコースでのルーティンを磨く意味でも効果があります。

そして、もう1つ大切にしてほしいことが弾道をイメージすること。その通り飛ばなくても構いません。球の高さを想像で毎回変えるだけで、自然と体が反応するようになります。マットはライの観察という点では劣りますが、ぜひ試してください。

対応力を高めるランダム練は、技のバリエーションを増やす効果もある。身近に芝のアプローチ練習場がないからといって諦めることなく、ぜひこの練習法に時間を割いてみてほしい。

例えば左から順に狙うのではなく、左端→右端→中央など、大きく方向を変えるのが効果的。※他の打席への打ち込みなど、安全面に配慮して練習を行ってください

ランダム打ちのポイント1
惰性はダメ!「毎回スクエアに構えてください」

アドレスをそのままにして右を狙ったり左を狙ったりする人を見るが、これはNG。「対応力が培われないどころか、動きがバラバラになることでヘッド軌道も不安定になり、再現性も落ちかねません」

ランダム打ちのポイント2
2つの“目線”でスタンス方向と弾道イメージを作る

構えるとき、頭を動かすことなく目線を下に移すことでスタンス向きを定め、そのまま目線を目標方向へ移すことで弾道イメージを作る。「松山英樹選手の目の動きなんて、とても参考になります」

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週刊ゴルフダイジェスト2024年5月21日号より