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【浦ゼミナール】Vol.10 最適な「スタンス向き」は“番手”によって違います

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。スタンスの向きはスクエアが当たり前だと思っていたけれど、浦さんのスウィングを見るとドライバーはクローズでウェッジはオープン。これはなぜ?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

バックスウィングが
回りやすいようにクローズ

――浦さんって、ドライバーのスタンスがクローズですよね? やっぱり体の開きを抑えたほうが飛ばせるんでしょうか?

浦 たしかにクローズですけど、体の開きを抑えるためじゃないですよ。僕は体が硬いので、ちょっとクローズスタンスに立ったほうがバックスウィングがよく回るからクローズにしているんです。その意味では右を向いているクローズスタンスというより、右足をちょっと引いて立っている感じですね。

――そうなんですか?

浦 僕はいつも言っていますが、飛ばすためには助走距離が長いほうが有利。だったら体の右サイドをあらかじめ引いてクローズスタンスにしておき、最初から右に回りやすい状態を作ることで深いトップを作ったほうが飛ばせます。トップで「捻転差」なんかを作ろうとして「右サイドの壁」とか言っていたら、バックスウィングが浅くなって飛ばせませんよ。「捻転差」は、切り返したときに下半身がギュッと回ることによってできるんですから、バックスウィングやトップで体をねじることに意味はないんです。

――なるほど……。

浦 そもそも、その「体の開きを抑えたほうが飛ぶ」みたいな勘違いはしてほしくないですね。

――勘違いなんですか?

 逆に聞きますけど、インパクトで体が開いていないプロっていますか? 例外なく腰が大きく回って、人によってはベルトのバックル部分が目標方向を向くくらいまで回っている選手だっている。
肩のラインだってそうです。インパクトの段階では、少なからずオ—プンになっているはず。これで「体は開いちゃダメ」っておかしくないですか?

――うーん、たしかに。でもスライスするアマチュアの場合は体が開くのが早すぎてカット軌道になっているんじゃないんですか?

 それは体を開くのが早いのが問題なんじゃなくて、力を使う方向やバックスウィングの仕方が悪いから。飛ばしたいんだったら、むしろ切り返してすぐに体をガバッと開いちゃったほうがいいんです。これによって捻転差ができて、その腰の向きに向かってズバッと振ることでエネルギーが生じるんです。スタンスは、インパクト時の腰の向きを作るための土台でしかない。大事なのは腰の向きなんです。


インパクトでは腰も胸も開いている

「体を開くな」というのはスタイスするアマチュアへのレッスンでよく聞かれる言葉だが、インパクトで体が開いていないプロは1人もいないし、なんなら切り返してすぐに体を開いたほうが大きな捻転差は作りやすいということを知るべき

インパクトで体が開いていなければパワーは出せない。インパクトは自分の右腰の前で行われるべき

短い番手ほどスタンスを
オープン気味にする

 ちなみに、スタンスの向きは番手によって変わりますよ。

――そうなんですか? 具体的にはどう変わるのでしょうか?

 番手が短くなるほどオープンになっていきます。だいたい7番アイアンくらいがスクエアで、ウェッジなんかだとオープンスタンスになる。実は人それぞれ、いちばん力を出しやすい腰の向きがあって、すべてのスウィングはそのポジションでインパクトしたい。でも番手が変わると、クラブの長さやスウィングの軌道によってそのポジションに達するまでのタイミングが異なる。だから番手によってスタンスの向きも変えなきゃならないんです。

――いちばん力を出しやすい腰の向きって、どんな向きですか?

浦 柔軟性や筋力や体格や、そういった要因によって人それぞれです。でも、インパクトバックなどを思い切りバーンと叩いてみればわかります。そのときの腰の向きが、いちばん力を出せる腰の向きです。

――なるほど! このポジションですね。

 ドライバーやフェアウェイウッドなどの長いクラブは、深いトップからここに戻ってくるまでに時間もありますし、それによってパワーを出せるからスタンス=スタート地点の腰の向きはクローズ気味でいい。でもアイアンなんかはそんなに強振しないし、飛距離よりも精度が大事だから、クローズにしなくていいんです。パワーを出す必要がないアプローチは、最初から腰もスタンスもこの向き(オープン)にしておくことで、パワーが出すぎないようにするわけです。アプローチをオープンスタンスに構える本当の理由って。これなんですよ。

番手によってスタンスの向きも変わります


ドライバーやFW、ロングアイアンでは少しクローズ。7番アイアンくらいでスクエアになり、それ以下ではオープン。これは「いちばん力を出せる腰の向き」でインパクトするための準備。飛距離を出したいドライバーは、バックスウィングを深くするためにクローズにしても腰の向きを戻してくることができるが、飛ばす必要のないクラブは、最初からその位置に近いところからスタートしたほうが精度が出せる

「飛ばしたくない」アプローチは、最初からインパクト時の腰の向きを作っておくことで余分な動きを排除し、精度の高い動きをすることができる

―――じゃあ、自分のベストの腰の角度がわかっちゃえば無敵ですね!

 それはそうなんですけど、実はそんなにシンプルじゃなくて、ベストな腰の向きはいつも同じじゃないんです。その日の体調なんかによって結構ズレるので、本来はスタート前に必ず「今日のポジション」をチェックしてほしい。できれば普段から毎日やってほしいくらい。ほとんどのゴルファーは、このボジションに無自覚すぎますね。これを意識してやっている選手は、池田勇太選手とブライソン・デシャンボーくらいしか見たことがない。

――これが調子の波の正体ってことですか?

 まぁ調子を左右するのはこれだけじゃなくていろんな要因がありますが、1つの大きなポイントであることはたしかですね。

いちばん力が出る腰の向きを毎日チェックして把握する

月刊ゴルフダイジェスト2020年11月号より