【ゴルフの急所】Vol.33 プレッシャーのかかるホールで体がスムーズに動かない! どうすれば克服できる?
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/六甲国際GC
OBや池が気になるホールや、フェアウェイが狭くて林に囲まれているホールに出合うと、体が動きにくくなってミスをしてしまいます。プレッシャーのかかる場面を乗り越える方法を教えてください(柴田廉さん・44歳・HC20)
OBや池や林が気になる。それは程度の差こそあれ、みんな同じだとボクは思います。その瞬間に失敗したくない、失敗するんじゃないかというネガティブな考えが生まれ、体がスムーズに動かなくなる。それも人間であれば当然の反応で、プロもアマも関係ない。誰もがそういう経験をしているし、誰もそのプレッシャーから逃れることはできないのです。
ただ、ボクは、それを乗り越えることにゴルフの楽しさがあると考えています。なんの不安も恐怖もプレッシャーも感じないゲームで成功しても、喜びの程度は知れています。真の喜びというのは、負の意識に打ち克つために考え、手段を講じ、努力をして成功を手に入れた先にあるのではないでしょうか。
では、どうしたらそういう場面を乗り越えられるのか? まず、心がけてもらいたいのは、「練習場はコースのように」プレーをするということです。
これは、常に本番=コースを意識して練習をするということ。コースに出たとき、自分がどうなるのか、どんなミスをするのかを知り、それを克服するための練習をしておくということです。
たとえば、練習場の打席に立ったら、自分の苦手なホールをイメージして球を打つとよいでしょう。
「あの柱の右はすべてOB」とか、「200ヤードの看板の左は池」というように、OBやペナルティエリアを設定したら、それらを避け、狙ったところに球を運ぶのです。
ここで大切なのは、ただ単に球を打つのではなく、同じリズムとテンポを意識してスウィングすることです。自分が気持ちよく感じるテンポを見つけたら、常に「イチ(フォワードプレス)」「ニ(バックスウィング)」「サン(インパクト)」と、頭のなかでテンポを唱えながらスウィングし、それを練習だけでなく、実戦でも実行し続けてください。
基本的に、プレッシャーを感じると、いいリズムでスウィングできなくなります。逆に言えば、常にいいリズム、テンポを意識しながらプレーしておくことで、プレッシャーのかかった場面でも、いいリズム、テンポでスウィングしやすくなるというわけです。
また、練習場でも、常に本番と同じルーティンで打つようにしてください。スタンスも変えずに何発も打てば、ナイスショットは出やすいと思います。でも、そんな練習は本番では何の役にも立ちません。本番で結果を出すためには、なるべく本番と同じ状態で練習しておく必要があるのです。
最後に。プレッシャーのかかる場面を乗り越えるには、いつでも自信を持って打てる「決め球」を作っておくことが大切です。それはスライスでも、フックでも、低い球でも高い球でも構いません。この球ならいつでも打てる。狙った方向とは逆には曲がらない。そういう球を作っておくことこそが、本番で結果を出すための練習と言えるのです。
Point 1
自分が気持ちよく打てるリズムとテンポでスウィング
リズムは、「イチ・ニ・サン」でも、「ワン・ツー・スリー」でも「1、2の3」でも構わない。自分が気持ちよく打てるリズム、テンポを見つけ、練習場でもコースでも、常にそれを頭のなかで唱えながらスウィングする。プレッシャーのかかった場面でも、それを意識することでミスが出る確率を減らせる
Point 2
自分の苦手なホールをイメージ
練習場では、自分の苦手なホールをイメージして練習する。練習場のなかにある目標物(柱や看板など)を基準にして、その右、もしくは左には絶対に打たないようにすることで、本番のOBやハザードに対応した練習ができる
Point 3
練習場でも本番と同じルーティン
練習場でも、本番と同じルーティンで球を打つ。ルーティンなしで打ってナイスショットする人でも、ルーティンを入れるとミスを連発したりする。それは、本番を意識した練習ができていない証拠なのだ
上手くなりたいという気持ちが大切!
「プレッシャーがかかって体が動きにくくなるのは、いいスコアで回りたい、上手くなりたいという気持ちがある証拠。さらに、それを克服しようとしているあなたには、ゴルフが上手くなれる大きな可能性があると思うので、頑張ってください」(寺西)
月刊ゴルフダイジェスト2023年11月号より