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【浦ゼミナール】Vol.43 バンカー克服の第一歩はオープンスタンスをやめること!

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。「バンカーショットは、フェースを開いてオープンスタンスで構え、カット軌道で鋭角に打ち込む」という誰もが聞いたことのあるこのフレーズを、浦さんは全否定。その理由とは?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

オープンスタンスは
百害あって一利なし

――今回はアマチュアにとっての鬼門、バンカーショットについてお聞きしたいのですが。

浦 はい。じゃあバンカー攻略の最大のコツをお教えしましょう。バンカーに絶対に入れないことです。

――それはそうですけど……。

 「けど」何なんですか? 「入れたくなくても入っちゃうこともあるじゃないですか~」ってみん
な言うんですが、本気で絶対にバンカーを避ける狙い方をしていますか? ここをすっ飛ばして打ち方の話をするからダメなんです。

――おっしゃるとおりです……。

浦 バンカーショットの技術を身につけるより、バンカーに絶対に入れないマネジメントのほうが簡単で、しかも圧倒的に有効です。アマチュアは、ここのところを甘く見すぎています。とくに「バンカーが苦手なんです」って言う人ほどその傾向は強い。バンカーショットの練習もしないくせに。とまぁ、こんなそもそも論を言っても始まらないので、いいでしょう。打ち方の話をしましょう。でも大前提として、このことは絶対に忘れないでくださいね。

――はい、肝に銘じます。

浦 ではアマチュアがバンカーが苦手な理由は何かというと、その一つはオープンスタンスにあるんじゃないですかね。誰が言い出したのかわかりませんが、なぜかゴルフの常識みたいになっていますけど、バンカーでオープンスタンスにする理由は、私にはほとんど思いつきません


――フェースを開いてカットに振るためじゃないんでしょうか?

 フェースを開くのは、バウンスを使うために必要な場合もありますが、どうしてカットに振る必要があるのか説明できますか?

――上から打ち込んでダフらせるためですか?

 鋭角に打ち込んだらヘッドが砂に潜ってしまって、うまく脱出できません。いまUSPGAの選手は、スクエアに構える人がほとんどですよ。バンカーだからってカットに振る理由はないんです。

――じゃあダフらせる必要はないんですか?

 ダフらせるというか、ボールの下までヘッドを届かせる必要はあります。でもバンカーでは足をグリグリと砂に埋めるでしょう。これは下半身を安定させるためじゃなく、体の位置を下げるためです。普段よりも足の位置が低くなるんですから、普通に振ってもダフるに決まっています。なのにスウィングまで余計なことをするから難しくなるんです。

スクエアに構えて普通に振ればいいんです

バンカーだからといってオープンスタンスに構える必要はない。さらに上から打ち込む必要も、カット軌道に振る必要もない。足を少しだけ砂に埋めたら、真っすぐ立って真っすぐスウィングするのがいちばん簡単だ

オープンスタンスで腰を大きく落とし、ハンドダウンに構えるのはミスのもと

実はバンカーは
左に飛ぶ要素が多い

――オープンスタンスにするのは、フェースを開いてボールが右に飛ぶのを相殺する意味はありませんか?

 それも違います。実はバンカーショットって、左に飛ぶ要因が多いショットなので、フェースを開いても左を向く必要はないんです。実験したんですが、スタンスを10度オープン、フェースを10度オープンにしてスタンスなりに振ると、ボールはターゲットよりも4~5度左に飛ぶんです。

――どうしてですか?

 まずは足を埋めてボール位置が高いので、つま先上がりと同じような状態であること。腰を落としてハンドダウン気味に構える人なら、それがさらに強調されます。それからフェースを開いてヒールから砂に接地すると、その抵抗でフェースが閉じる動きが生じます。これらがボールを左に飛ばすんです。

――なるほど。そうだったんですね。

 だからバンカーでは、フェースは開いてもいいですが、スタンスはスクエア。足を少し埋めて、普通にスウィングするだけでいいんです。スクエアに立つと、ちょっと素人っぽいというか、上手そうに見えないのが難点なんですが(笑)、それがイヤな人はつま先を開いて、両ひざを少し内側に絞るようにして構えると上手そうに見えますよ。下半身が安定してスウェイしにくくなる効果もあります。何なら少しクローズに立つくらいでもいいと私は思います。林由郎さん、佐藤精一さんといった名手は「右足を引いて立て」って言っていましたし、そのほうが左のカベができてエネルギー効率もよくなり、脱出しやすいかもしれません。

――スウィングには何かコツはあるんですか?

 あまり大振りせずに、アプローチの延長の感覚で振ること。同じ振り幅なら、距離は概ねアプローチの半分くらいになると思ってください。そしてインパクトからフォローにかけて、少しハンドアップにするように、手首を小指側に折りながら振り抜いていくのがちょっとしたコツです。握手の手を差し出すように、親指を下に向けるような動き。そしてインパクト後は、フェース面が自分の顔を向くように、左ひじを抜きながら振り抜いていくと、ソールが砂の上を滑るようにスムーズに抜けていきます。ソールの突っかかりもなくなって、前述の左に飛ぶ要因が相殺されてフェースが返りすぎずに抜けるので、狙ったところに飛ばせるんです。

トウを下げるようにフォローを出していく

手首を小指側に折るように、ハンドアップ気味にインパクト。左ひじを抜きながらフェースが自分の顔を向くように振っていく。

親指を下に押し下げるようにハンドアップに振り抜いていくと、フェース面が管理しやすく、左にも飛びにくい。ハンドダウンはミスの元凶

アドレスでひざを少し内側に絞ると上手そうに見える

バンカーでスクエアに構えていると、なぜか下手そうに見えるのも事実。そこでつま先を「ハ」の字に開き、両ひざを内側に絞るようにテンションをかけて立ってみよう。下半身が安定してスウェイしにくいうえ、結構「上手そう」に見える立ち方だ

月刊ゴルフダイジェスト2023年10月号より