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【ゴルフ野性塾】Vol.1765「打ち方ではない。最下点を変えるのは球の位置だ」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

本稿2022年12月26日に

書いております。
合併号と年末年始の号、入稿日が大きく変る。
本稿、年明けの発売となるが執筆者に求めて来るのはいつも年末の入稿である。
本稿、年明けの入稿でいい筈だが、編集者も正月明けは楽したいのだろうと推察。
その気持ちは分る。
だから年明けの入稿は求めず、今日の執筆入稿となった次第です。
一年に一度の私の優しさだ。

私はメールが使えない。
携帯はアナログ携帯。
10年前の機種を使っている。
電池を換えれば今も使える丈夫さが10年前の携帯にはあった。
そして、その丈夫さに依存して携帯電話を使っている。
今の携帯は写真も撮れるし、多くの情報も携帯から得られる様だが、私は相互の通話と送って来たショートメールを見るだけ。
周りは便利ですよと今時の携帯使用を勧めるが、私には簡単が一番の便利さである。
使うに難し過ぎるし、最新の情報を必要ともしていない75歳の人間だ。

この38年間、結構な数の連載を書いて来たが資料を必要とした事はない。
資料は全部、我が頭の中に在りだった。
そして今も資料必要とせずに書いている。
観戦記等の特集稿も資料なしで書いて来た。
そして、今年最後の執筆が本稿である。
現在時、午後1時57分。
これよりファックス送稿。
携帯でも送れます、便利ですよ、と周りは言うが、私にはその便利さが不便なのだ。
便利さが理解出来ぬ者に便利さを問うても、聞く耳持たずである。
12月26日の窓の外は晴れ。
雲が東と南の山の上に横広がりの空。
風邪引く事もなく、体調良好です。

球の位置を半個分右に移動せよ。

プロはアイアンショットでターフを取っていますが、僕の場合は、芝が削れるのはダフったときだけです。会社の先輩はアプローチでもターフを取っていて、「アイアンやウェッジはすべてダウンブローに打つ」と言います。塾長、アイアンはダウンブローに打たなければいけないのでしょうか。どうすればダウンブローに打てますか。(東京都・清水俊平・38歳・ゴルフ歴5年・平均スコア100)


トップ位置から打って行くが球は地面、両の足底の高さにありましょう。
然れば、高き位置より低き位置へと向えば、如何なる打ち方しようとダウンブローになります。
貴兄はダウンブローの是非を問うているが、ゴルフスウィングの総てがダウンブローである。
パットもそうだ。
高き位置から低き位置への動きを作るは上から叩きに行くダウンブローのみ。
他に叩きの手段はない。
アッパーブローに打つと言うが、それとてもダウンブローの後の動きの一つである。
トップからインパクト迄かインパクト直後迄はダウンブローのヘッドの動きであり、その後の動きには人それぞれの動きと型があると私は考えて来た。

貴兄はダウンブローに打っている。
そして、ターフを取るか取らぬかは、スウィングの最下点が球の手前にあるのか球の先にあるのかで変り行くものと思う。
スウィングの最下点が球と同じ高さなれば芝生を削らぬ打ち方となり、最下点が球よりも手前にあれば払い打ちかアッパーブローの打ち方になり、最下点、球より先にあれば芝生を削る打ち方となるは必然。
ここに異もなければ否定もないと私は思う。
簡単な話を複雑化させてそこから理論を生む傾向が欧米、日本にもある様だが、私はその様な退屈話に付き合っては来なかった。
どうせ消える話である。
消える話に付き合う程、私は物好きではない。

貴兄はダウンブローに打っている。
これで一つの疑問は解決されたと思う。
会社の先輩はダウンブローに打つと言っておられる様だが、ヘッド軌道の最下点が球の先にあれば芝生は削り取られる。
貴兄の先輩のヘッド軌道、最下点は球の先。
貴兄の最下点は球の手前。
この違い、いいとか悪いとか、間違っているとか間違っていないの話ではなく、人それぞれが持つスウィングの個性であろう。
個性は己のもの、大切にすべきと思う。その個性、いいものを生んで来たのならば尚の事、大切にすべきである。
個性を粗末にしてはいけない。
日本には人それぞれの個性を尊重する姿勢がいまだ稀薄とゆう気がする。
個性の尊重は民主主義の根幹と思うが、私は日本の民主主義は大きな成長変化の途中である様な想いを持っております。
そんな気持ちにさせられる機会が多いのです。
私は宗教に傾斜する者ではない。無宗教であり、数珠は亡くなった方の宗派に合わせ三種類持つ人間だ。
政党に傾く者でもない。
ただ、どちらかと申せば自由民主党好み、維新好みじゃありますが。
60歳過ぎた頃より人それぞれ、然り気なく過すを己の生き様として来たが、然り気なく生きて来られたかはいまだもって不明ではある。

貴兄はアドレス時の球の位置を変えればよいのです。
スウィング、感覚を変えてはいけない。
己を変えるな。
球の位置を変えるだけでいい。
それで貴兄の二つ目の疑問は解決出来よう。
今よりもアドレスの中心部へ移す。
球半個の移動でいい。
ただ、それ以上に必要なのは、ダウンブローに打ちたいとの願望を失くす事だ。
ダウンブローに打てているんだからその願望は意味持たぬ願望と思う。
ヘッド軌道の最下点、インパクト前後のどこに在るのかを知るは大事。

ただ、どうして芝を削る打ち方を正しい打ち方と考えるのかが私には分らない。
私は芝生を削らぬ打ち方を続けて来た。
研修生時代、芝生の上からの練習なんて出来なかった。
研修生とプロの練習には大きな二つの違いがあった。
プロは目立たぬ位置であれば、芝生の上から球を打てたし、コースグリーンに向っての球打ちも出来た。
研修性はベアグラウンドかバンカーからの球打ちが許されており、芝生から球3球でも打てば始末書を書かされ、次に同じ事をすれば減俸処分が待っていた。
アプローチ練習もグリーンに向っての練習は許されず、練習ラウンド中、グリーンを外した時がアプローチ練習の出来る時だった。
私は芝生の上からの球叩き、そしてグリーンに打って行けるアプローチ練習に憧れた。
ゴルフ始めて3年と11カ月でプロになった。プロでなければ許されぬ環境を手に入れた時が一番嬉しい事だった。
現在のゴルフ場研修生の練習環境は知らぬ。
研修生を抱えるそれぞれのゴルフ場、それぞれの練習環境あると思うが、恵まれし環境多く在る事を願う。

貴兄は体・技・心を変えるな。
今のままで行け。
変えるはアドレス時の球の位置。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号より