【頑固オヤジ】Vol.153「3番ウッドが苦手です。打ちやすくするチューンナップ法は?」
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「3番ウッド」について。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 使い勝手が良くなる
3番ウッドのチューンは?
3番ウッドが苦手で、せめてティーショットのレイアップ用に使えるようにしようと練習していますが、プッシュアウトのミスが直りません。短尺化するとか、何かいいチューン、ありませんか?(41歳・HC13・自営業)
いろいろ試せるカチャカチャ系
最近は中古ショップでシャフトだけ買えたりするよな、ホーゼルスリーブ付きの。
スリーブはテーラーメイドとかキャロウェイ用とかが多いけど、気に入ったシャフトが見つかればレンチひとつで交換できるんだから、お手軽だよな。
先月、それを生かせる相談が来たんだよ。
「読者からの質門です。3番ウッドが苦手で、ティーショットでもプッシュアウトのミスが出るそうです。シャフトを短くしてミート率を上げるのはどうですか、と」
担当さん、ここんところ取材とか忙しかったらしく、久しぶりの顔合わせだよ。
「私も苦手で、1インチぐらい詰めて5番ウッドの長さにしたら当たるようになるかな、と……」
やれやれ、当たらないのを長さのせいにするなら、ドライバーなんか打てなくなるよな(笑)。
「単純に短くしたら、ヘッドスピードが落ちて余計球が上がらなくなる。刻むからゴロでいい、てことならUTとかに持ち替えればいい。せっかく3番ウッドを使うなら、そこそこキャリーを出して、狙い打ちできるようにしないとダメだろ?」
「まあ、そうですね……。じゃ、ロフト角を増やすとか、ライ角をアップライトにするとか。可変ホーゼルならすぐ試せますよね」
「相談者が可変ホーゼル、カチャカチャ系の3番ウッドを持っていなかったら、お試し用に中古でもいいから1本、用意してくれるといいんだけどな。いろいろ試して打ちやすいスペックを見つけたら、ネック固定タイプを選んでもいいけど。まずはどうすればラクにつかまるかを知らないとな」
ドライバーに近づけるのも手
「カチャカチャ系で試すとして、まずはアップライトにしてみるのがいいんですかね?」
「カチャカチャでロフト角を増やそうとすると、フックフェースになるから、今度は引っかけのミスが怖くなる。アップライトにするのも同様。程度モンだよな」
「ウーン、それならやっぱりシャフト交換ですか? フレックスを変えるとか……」
「なあ、さっき短尺の話が出たけど、逆に長尺化もアリだよ」
「え? 余計当たらなくなるんじゃないですか?」
「この相談者もそうだけど、ドライバーは苦手意識なしで打てる人、多いよな。だったら、ドライバーに寄せるチューン、アリだろ」
長くて当たらない、は思い込み。たとえば7番ウッドと3番アイアンじゃ7番ウッドのほうが長いけど、打てないのは3番アイアンだよな。要は球がつかまって上がるかどうかで、シャフトが多少長くなっても関係ないのさ。
「カチャカチャ系なら、ドライバーのシャフトに替えるのもカンタンだろ。FWのほうがホーゼルのエンドがソールに近くなるぶん短くなるけど、2インチぐらい伸ばせるはず。で、これを1インチぐらい短く持って振ってみるんだよ」
ドライバーのシャフトはFWより軽く、さらに短く握ることでクラブ全体の慣性モーメントも適度に抑えられる。
「面白いモンで、レイアップでも3番ウッドだとリキんで振り回す人、多いよな。でも、普通より長尺と思うと丁寧に振ってもヘッドスピードが乗る安心感がある。で、短く持っているから加減して狙う気分になるし、スムーズに振れる。ドライバーを短く持って振るより、一回り小さく、やさしく感じて打てるからいいんだよ」
で、冒頭の中古ショップの話。ドライバーのシャフトなんかゴロゴロしているからお手頃価格でこのチューンができる、てワケさ。
短く握るより、カットしたらダメか、て? 切る費用だけ、ムダだと思うよ(笑)。
月刊ゴルフダイジェスト2022年7月号より