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頑固おやじのクラブ工房Vol.21 風に負けない「低くて強い球」にお手軽チューン、調整のコツも。

暖かくなってきて、コースに行くのが楽しみになってくるこの季節。でも、いざラウンドしてみると、思わぬ強風に悩まされることありませんか?

Q、低く強い球になるチューンを教えて

春先は風が強く、9番アイアンでも流されてグリーンを外すことが。低めの風に強い球が打ちたいんですが、腕が追いつきません。鉛とかのカンタンなチューンで、打てるようになりませんか? (41歳・HC15 ・自営業)

A、上から打ち込むと逆に吹き上がる

「ショートアイアンが風に流されちゃって、グリーン外しちゃうんですよね。全然スコアにならなくて……。いや、低く抑えた球を打とうとはしているんですよ。でも、吹き上がって、持ってかれちゃうんですよね…」

常連さんの息子さんで、結構腕っぷしは強くて飛ばし屋なんだけど、スライサー。アイアンもスピ
ン量が多いタイプなんだな。

「低い球、どう打ってんだい?」

「1番手上げて、グリップを短く持って、球位置をスタンスの真ん中に寄せて、スリークォーターのつもりでコンパクトに……」

「ああ、それじゃ吹き上がっちまうな。まあ、セオリー通りなんだけどね」

やっこさんの打ち方だと、上から潰すようにヘッドが入りやすい。元々カット気味に振るタイプだから、余計にスピン量が増えちまうんだ。いくらロフトを立ててもムダになる。

「じゃ、打ち方を変えなきゃダメですか? それって、難しいですよね…」

「まあ、打ち込まないように意識するだけでも多少は変わるがね。今の打ち方でも、吹き上がらなく
するチューン、あるよ」

「エ? それ、お願いしますよ。あ、でもお高くないですよね?」

「大丈夫、超リーズナブルさ」

ヘッドに鉛を貼って
挙動をコントロール

風の強い季節に合わせるようなチューンなんて対処法的なものは、なるべくいじるスペックが少なくて、カンタンに元に戻せる方法がいい。グリップに細工するとか、ヘッドとかに鉛を貼るといったやり方がベスト。鉛だったら数百円で済むから超リーズナブル。ま、オイラの手間賃が入っても数千円だな(笑)。

ヘッドに鉛を張るだけのお手軽チューンだよ

「でも、アイアンとウェッジだけでも7本ぐらいになるから……」

「オイ、ケチくさいこと言うなよ。まあ、風が気になるのは球の上がる8、9、PWの3本だけでもいいし、他の番手は自分でいじったっていいよ」

「エ? そんなにカンタンにできるんですか?」

鉛貼りで大切なのは、考え方。たかだか2㌘程度でヘッドの重心位置まで大きく変えるなんてことはできないよな。アイアン、特にショートアイアンはロフトが寝ているから、ヘッド重心ていうかスウィートスポットより打点が下になる。するとインパクトでヘッドがタテ回転して、いわゆるギア効果でスピン量が増える。このタテ回転の動きを抑えられれば、上から打ち込んでもそこそこ吹き上がらない弾道にできる。で、それなら2㌘の鉛も効果的に使えるんだよ。

「ヘッドのタテ回転……。なんか、イメージできないんですけど」

「難しく考えなくていいんだよ、要はトウ上とヒール下の2カ所に分けて貼ると、ヘッドが回りにくくなる。基本はそれだけさ」

やっかいなのは、貼った重量と位置で、結果が一律ではないこと。たとえば、トウ上に多めに貼って
も、ヘッドのタテ回転が抑えられる場合と、逆に強まる場合がある。だから練習場で球を打ちながら貼り方を少しずつ変えて調整する必要がある。

「短く握るぶん、5㌘ぐらい貼った方が効果的ですかね?」

「いや、ヘンに重くしないほうがいいよ。ヘッドが回りにくくなると、抵抗感ていうか、ヘッドの重さ感が少し強まるからな」

月刊GDより(イラスト/コーチはじめ)