「9度のS」「10.5度のSR」…あなたのヘッドスピードではどのスペックが一番飛ぶ? 最新ドライバー28モデル70スペックをHS別で打ち比べ!
ドライバーを購入しようと思ったときに悩むのが、ロフトを9度(9.5度)にするか、10.5度にするか。シャフトをSRにするか、Sにするか……。以前は、10.5度だと上がりすぎ、軟らかいシャフトは曲がりやすい、というイメージがあったが、ギアの進化によりドライバーは低スピン化し、軽量で軟らかくても、ねじれにくく曲がりにくいシャフトも登場。そこで今回は、主要メーカーの最新ドライバー28モデル、70スペックをHS別に打ち比べ、どのロフト角&シャフト硬さの組み合わせが一番飛ぶか調べてみた!
PHOTO/Kosuke Mori、Tomoya Nomura THANKS/GC成田ハイツリー、エンジョイゴルフ
解説&試打/鈴木悠介
2016年プロテスト合格。試合に出場しながらインドアスタジオ「千葉銀座CC」でレッスンも行う。千葉学芸高校出身
軟らかくても飛ぶスペックがある
「ヘッドスピードが速い人ほどスピン量が増えるので、ロフトが立っていたほうがスピン量が抑えられ飛距離が出ます。しかし最新ドライバーのなかには低スピン化が進み、9〜9.5度では球が上がりにくいモデルもありました」と全70モデルを試打した鈴木プロ。
「逆にHSがそれほどなくても球が上がりやすいものもあり、表示ロフトだけで自分に合ったスペックを判断するのは難しくなっています。シャフトもしかりで、モデルによって硬さやしなり具合は異なり、『SR』でもしっかりしているものもあれば、『S』でも扱いやすいものも。『S』=『硬いから曲がらず飛ばせる』、『SR』=『軟らかくて曲がる』とは一概に言えません。そこで全モデルを打ち比べて、HS別にいちばん飛ばせる“最適スペック”を探してみました」
キャロウェイ「EPIC」
●EPIC MAX「HS44m/s以上は10.5度ではつかまりすぎ」
「つかまりがよくスライサーにうってつけ。HSが遅めでもヘッドが自然に返ってくる。SRはシャフトがしなって球が上がりやすいが、HSが速い人だと引っかけになりやすい」
●EPIC MAX LS「10.5SならHS40m/sでも球が上がる」
「ロースピンモデルにしては球が上がりやすく、HS42m/sあれば打てる。ただし球のつかまりはそれほどよくはないので、フェード系の球が出やすく、ドローを打つにはHS44m/sは欲しい」
●EPIC SPEED「SRのほうがしなり戻りが感じられる」
「HS40~42m/sだと球がつかまりにくいので10.5度がオススメ。SRのほうがインパクト前後でしなり戻りが感じられてタイミングがとりやすい。『10.5SR』はHS44m/s以上でもドロー、フェードが打ち分けられて高弾道」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
EPIC MAX | 10.5 SR | 10.5 SR | 9 S | 9 S |
EPIC MAX LS | 10.5 S | 9 S | 9 S | 9 S |
EPIC SPEED | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 S | 9 S |
テーラーメイド「SIM2」
●SIM2「10.5度でもつかまりにくい」
「いわゆる“逃げ顔”で、HSが速い人が叩いても左に行かない。HS44m/s以下では10.5度でもつかまりにくくスライスになりやすい。左に行く“引っかけスウィング”の人にはいい」
●SIM2 MAX「HS46m/sでもつかまりすぎない」
「『SIM2』よりはつかまるが、左に行くほどではなくストレート系のいい弾道。ドローを打つにはHS46m/s前後は欲しい。10.5度のSRだとHSが遅めでも球が上がって飛距離も出た」
●SIM2 MAX-D「SRだとボールが上がりやすい」
「つかまりはいいが、スライサーの“お助けクラブ”ではない。球が上がりやすくハイドローが打てるが、その分、SRだとHSによってはしなりすぎて引っかけることも」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
SIM2 | 10.5 S | 10.5 S | 9 S | 9 S |
SIM2 MAX | 10.5 SR | 10.5 S | 10.5 S | 9 S |
SIM2 MAX-D | 10.5 SR | 10.5 S | 9 S | 9 S |
ピンゴルフ「G425」
●G425 MAX「9度でも球は上がるが10.5度のほうが飛ぶ」
「HSに関わらず9Sはややハードなので10.5度のほうがボールが上がり飛距離も出る。HS40m/sならSよりSR」
●G425 SFT「HS40m/sのSRは初速と打ち出し角のバランス◎」
「10.5度はつかまりもよく球も高い。スライサーにおすすめだが、スピン量は全般的にやや多め」
●G425 LST「打ち出し角12度が飛びの目安」
「どのヘッドスピードでも打ち出し角が12度台と飛ばせる角度。飛距離性能だけならこのモデルがいちばん」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
G425 MAX | 10.5 SR | 10.5 SR | 9 S | 9 S |
G425 SFT | 10.5 SR | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S |
G425 LST | 10.5 SR | 10.5 S | 9 S | 9 S |
コブラ「キング ラッド スピードXB」
●キング ラッド スピードXB「HS44m/s以下なら迷わず10.5SR」
「思ったよりシャフトがしっかりしていて、HS44m/sでもSRで十分なほど。パワーがないとボールが上がりにくく、つかまらないので、HSが速くて叩ける人以外は10.5度が安心。実際に10.5SRのほうが距離が出ます」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
キング ラッド スピードXB | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 SR | 9 S |
タイトリスト「TSi」
●TSi 2「10度でも打ち出し角が高くなり過ぎない」
「HS40m/sだと9度のSでは球が上がらずスライス気味に。HS42~44m/sでも10度も試したほうがいい」
●TSi 3「SRシャフトはスピンが入り過ぎた」
「10度のSRはボールが上がりやすいけど、スピンが多く入りすぎる。球もつかまりにくく飛距離をロスする」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
TSi 2 | 10 SR | 9 S | 9 S | 10 S |
TSi 3 | 9 S | 10 S | 10 S | 10 S |
ヤマハ「RMX」
●RMX VD「10.5度は球が上がってロースピン」
「フェード系の球が打ちやすいヘッドで、10.5度のほうが球が上がりやすい。ドローを打つにはもっとパワーが必要」
●RMX VD59「SRシャフトの初速がいちばん速い」
「ややグースが入っているのにつかまりすぎるわけでもなく、右にも行きにくい。曲がりにくいので飛距離をロスしない」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
RMX VD | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S |
RMX VD59 | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 S |
ダンロップ「ゼクシオ12」
●ゼクシオ12「9.5度でも10.5度並みに球が上がり飛ぶ」
「HS40m/sでも9.5Sがドンピシャで、つかまったいい球が出ます。10.5度やSRはつかまりすぎたり、振り遅れてしまう」
●ゼクシオX「HS40~44m/sで適正スピンは10.5S」
「『12』よりつかまりにくいが、球は上がりやすい。SRはスピンが多くなってしまうので、Sのほうが弾道が安定します」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
ゼクシオ12 | 9.5 S | 9.5 S | 9.5 S | 9.5 S |
ゼクシオX | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S | 9.5 S |
ダンロップ「スリクソンZX」
●ZX5「10.5Sは適正な高さでロースピン」
「それほどつかまるクラブではないので、9.5度より10.5度のほうがいい球が出やすい。SRは少しバラつきます」
●ZX7「HS42m/s以下だと9.5度は上がりにくい」
「『ZX5』より球が逃げやすく、さらに上級者向き。HS40m/s前後ならSよりもSRのほうがボールを上げやすい」
【HS別最適スペック】
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
ZX5 | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S | 9.5 S |
ZX7 | 10.5 SR | 10.5 S | 9.5 S | 9.5 S |
ブリヂストン「B」
●B1「HS42m/s以下は10.5度、HS44m/s以上は9.5度」
「真っすぐの強い球が出ます。『B-Limited』ほどではありませんが、HSがある程度ないと9.5度は厳しい」
●B2「10.5Sの打ち出し角と初速が最適」
「つかまりがよく、ドローが打ちやすいですね。HSが遅めでも9.5Sで打てます。10.5Sはハイドローで飛びます」
●B-Limited B1「HS46m/s以上が必要」
「HS46m/sは必要で、それ以下だと上がりにくく、ボールは右に切れていきます。上級者が叩けるモデルです」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
B1 | 10.5 S | 10.5 S | 9.5 S | 9.5 S |
B2 | 9.5 S | 9.5 S | 10.5 S | 10.5 S |
ミズノ「ST」
●ST-X「HS44m/s以上は10.5SかST-G220」
「HS42m/s以下だと10.5Sはスライスしやすい。SRのほうがヘッドが走って球もつかまる。HSが速くて叩きたい人は『ST-G220』(9Sのみの設定)がおすすめ」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
ST-X | 10.5 SR | 10.5 S | 10.5 S | 10.5 S |
プロギア「RS」
●RS「スピン量多めでキャリーが出る」
「HS46m/sでも10.5SRはヘッドが戻ってくるので振りやすく、気持ちのいいドローで飛ばせます。9.5Sはドローが打ちにくい」
●RS-F「HS40m/sのSRは初速と打ち出し角のバランス◎」
「右に行きやすいのでHS44m/s以下は10.5SRのほうが球がつかまって飛ばせる。叩ける人なら9.5S」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
RS | 10.5 SR | 10.5 S | 9.5 S | 10.5 SR |
RS-F | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 SR | 9.5 S |
本間ゴルフ「T//WORLD GS」
●T//WORLD GS「打ち出しが高い10.5度は安定感が抜群」
「つかまりがいいのに9.5SならHS46m/sでしっかり振っても、ほぼストレートのいい球。10.5度ではつかまりすぎます」
ヘッドスピード別おすすめスペック
HS40m/s | HS42m/s | HS44m/s | HS46m/s | |
T//WORLD GS | 10.5 SR | 10.5 SR | 10.5 SR | 9.5 S |
>>さらに詳しい試打データを
知りたい方は誌面をチェック!
週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より
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