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【ヘッドデータは嘘つかない】小ぶりなのにやさしく飛ばせる! キャロウェイ「APEX DCB」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイの『APEX DCB』アイアンを取り上げる。

APEXの中でも最もやさしい

プロからアベレージまでさまざまな腕前のゴルファーが使用するキャロウェイ 『APEX』シリーズ。そのなかで、いちばんやさしいといわれるのが今回紹介する『APEX DCB』だ。

DCBは「ディープ・キャビティ・バック」の略で、『APEX』のフォルムを踏襲しながら、キャビティは深く広く、ワイドソールで、オフセットもより大きめと、やさしさを重視したモデルになっている。

クラブを計測していこう。いつもながら数値はすべて7番を実測した値になっている。クラブ長は36.75インチとやや短く、軽量シャフトのNSプロ 950GH neo仕様でクラブ重量は422.8gと重く、かつスウィングウェートもD3.2と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントが273万g・㎠と大きくなり、本来はドライバーのヘッドスピードが46㎧~47㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計になっている。

Point1 クラブ全体慣性モーメントが273万g・㎤と大きい
Point2 ネック軸周り慣性モーメントが6239g・㎤とやや大きい
Point3 スイートスポット高さが21.8㎜とやや高い

小ぶりながら重心距離が長い

ヘッドは全体にはオーソドックスな形状で、プロモデルのようにやや小ぶりな大きさとなっている。標準の『APEX』よりも強めのグースネックと厚いトップライン、そして広めのソール幅が特徴的だ。フェースのトウ側が高いので、アドレスではアップライト感が出て、つかまるイメージが湧く。また、やや小ぶりなヘッドの割に、重心距離が長い設計なのも面白い。

実際に試打したところ、まず『APEX』よりも強いグースネックと広いソールで少しやさしさ感が出ている。試打クラブに挿さっていたNSプロ 950GH neoのSフレックスは、ダウンブロースウィングにも耐えてくれる適度なしっかり感がある。またロフト角30度とストロングロフトながらも、いわゆる“激飛び系”といわれる25度前後のような極端なストロングロフトではないので、フェアウェイのあるがままの状態からでも球が上がってくれる。また米国モデルらしくソールのバウンス角が大きめなので、ダウンブロースウィングでのソールの抜け感はなかなか良い。

フェース面は軟鉄よりもかなり硬いステンレス製なのでインパクト音は高く、打感も軟鉄フェースよりも硬いが、球の弾きがあっていいイメージがある。また、やや小ぶりなヘッドだが重心距離は40.3㎜と長く、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも6339g・㎠と大きめなのでダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やか。スイートスポットの位置がフェース中央よりもややトウ寄りで、普段フェースのトウ寄りに球が当たりやすいフック系プレーヤーに良さそうだ。

左から5I(23度)、7I(30度)、9I(36度)。アメリカモデルにしてはFP値が小さめで、構えたときにトウ側が高いので実測値以上にアップライトに見え、球がつかまるイメージが強い

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

キャロウェイ

APEX DCB アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より