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【クラブ駆け込み寺】Vol.9「友人のアドバイスでアイアンのシャフトを重くしたのですが、左へのミスがいっこうに解消しません」

“頑固オヤジ”が勇退し、あとを継いだのが練習場で小さな工房を営む通称“アニキ”。今回は「アイアンのフックのミスを抑えたい」という相談が寄せられた。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q. シャフトを重くする以外に
アイアンの左へのミスを解消するチューン法は?


アイアンで時々フックするミスが出ます。友人からはシャフトを重くするよう勧められて、試しに交換しましたが結局直りません。どうチューンしたら改善できますか?


シャフトの挙動と重量は今や別物

6月に入ったら、また海外ツアーでの日本勢の快挙が増えましたね。コーンフェリーツアーで大西魁斗が初優勝。そして、全米女子オープンで笹生優花が2度目の戴冠。今年の後半も、明るい話題が期待できそうです。

「先日、アイアンのシャフトを重くしたらフック、左へのミスを抑えられるという話を真に受けて、セット丸ごとシャフト交換したのに、結局フックが止まりません。どうするのが正解なんでしょう?」

この相談者は、ラウンド仲間に、こう言われたそう。

「キミは7番で165ヤード打てるのに、『NS950』は軽すぎるよ。だからフックする。『モーダス』とか、100グラム以上にしないとダメだよ」

いまだに、『フックのミス=シャフトがヤワ=重量が軽すぎ』というイメージを持つアマチュアは多いようですね。でも、これは大間違いです。

「昔はシャフトがスチールだったから、軽量=肉薄=ヤワだったんです。下手に硬く仕上げると、折れるというより割れるので。ですが、製造技術が進化して、現在ではカーボンはもちろん、軽量スチールも強度は上がり、挙動もしっかりしています。重くしてフックやヘッドの返りを抑える、という発想自体、ナンセンスですよ」

ラウンド仲間さんの言葉を逆に解釈すると、重いシャフト=硬くてしなりにくく、ねじれない=シャフトの挙動が少ないほどつかまりすぎない、というイメージでしょうか。

現在では、挙動の管理がしっかりした軽量タイプはいくらでもあります。

「シャフトの挙動の相性は使い慣れの要素も大きいんです。たとえばシャフト交換の直後は、そこそこ上手く打てたはず。それは、今までとの違和感を解消するように、合わせているから。でも、コースへ出ると元通り。余裕がなくなるからですよね」


グリップ位置でフックを抑える

ヘッドの走りを極めたいドライバー用なら話は別ですが、ことアイアン用シャフトでつかまりすぎてフックする、といった特性のシャフトは、市販品にはありません。

つかまりが良い高弾道設計でも、よほどスウィングで調整しないとグリーンを外すほどのフックはかかりません。多少しなるとはいっても、昔のヒッコリーのように15度もねじれるわけでなし。

「すると、どうすればフックミスをなくせますかね。シャフトでないとすると……」

「いや、シャフトでもフレックスを硬めにするとかなら、多少は効果が出る可能性があります。挙動の幅が減り、少しつかまりにくくなるので。ただ、逆のミス、プッシュとかシャンクが出る危険性もあります」

「ウーン、やはり練習ですかね……」

「1つ、提案が。ライ角を1度前後、フラットにしてみませんか」

「それこそ、プッシュのミスとかになりませんかね」

「いや、フラットにすることで、アドレスから手元をグリップ1本ぶんぐらい低く構えやすくするんです」

アイアンで時々フックするミスは、強く打とう、高く打とうとして伸び上がり、手元が浮いてフェースが返ったり、ヘッドを跳ね上げたりするパターンが多いんです。フラット気味のヘッドで構えると、わずかに手元が低いアドレスになり、その傾向が抑えられる。アドレスのルーティンで防止するわけです。申ジエ、笹生もフラットなライ角で左へのミスをなくしています。

「もちろんフラットすぎはダメですが、アナタの軟鉄ヘッドなら何度でも調整できます。ちょうどいいライ角、試して探してみませんか」

ちなみに、ライ角以外ならシャフトの挿し換えで“番手ずらし”も有効です。番手をずらすことで適度に硬さ、長さの微調整もできるので。シャフトをそのまま再利用するのでリーズナブルです

月刊ゴルフダイジェスト2024年8月号より